リースバックの会社の比較:家賃・買取価格・契約期間・買戻しの見方
この記事のもくじ
リースバックは、自宅を会社に売って代金を受け取り、その会社に家賃を払いながら同じ家に住み続ける契約です。会社を比べるときは、いくらで買い取るかだけでなく、家賃、普通借家か定期借家か、契約期間、買戻しができるか(できるなら価格)を同じ表に並べます。買取価格が高く見えても、家賃や契約期間の条件しだいで、住み続けられる年数と総支払額は大きく変わります。比べる項目を決めてから見積もりを集めると、会社ごとの違いがはっきりします。
リースバックの会社を比べる8つの項目
国土交通省は、リースバックを「住宅の所有者が住宅を売却して代金を得て、売却後は買主の事業者に賃料を払って住み続ける契約」と整理し、売買と賃貸借が一体の取引として宅建業法の解釈を示しています(2026年10月1日施行)。事業者が売主に告げるべき主な事項は、買戻し特約、家賃、契約期間と更新、定期借家かどうか、第三者への譲渡の可能性、修繕費の負担などです。下の表は、この告知事項に沿って作った比較表です。会社ごとに1列ずつ埋めてください。
| 項目 | 会社の書面で見る点 | なぜ見るか |
|---|---|---|
| 買取価格 | 売却額、代金以外に払う金額とその目的 | 手取りが変わる |
| 家賃 | 月額、支払時期、改定の定め | 払い続けられるか |
| 賃貸借の種類 | 普通借家か定期借家か | 住み続けられる期間が決まる |
| 契約期間と更新 | 年数、更新の有無と条件 | 期間後の暮らしを決める |
| 買戻し | 特約の有無、期限、価格、条件 | 出口の選択肢になる |
| 第三者への転売 | 会社が物件を売る可能性と、賃貸借への影響 | 大家が替わる場合に備える |
| 修繕費 | 誰がどこまで負担するか | 家賃以外の出費が決まる |
| 解約・違約金 | 解約の条件と違約金の額 | 途中でやめるときの負担 |
上の8項目のうち、価格だけが目立つ広告は避けて、表の空欄が残る会社は、書面で答えをもらうまで比較に入れないようにします。ガイドラインは、売買価格や家賃の算定根拠、売却代金が家賃の何か月分に当たるかの説明、告知事項の書面での交付を、事業者が対応することが望ましい事項としています。望ましい事項は義務ではないので、こちらから「書面でください」と頼む必要があります。
買取価格は家賃の何か月分か:自分で計算する
リースバックの買取価格は、仲介で売る場合の査定額と並べると低くなることがあるので、仲介の査定も取って差を確かめます。価格の高い安いを見るときは、売却額を月額家賃で割り、家賃の何か月分に当たるかを出すと、条件が違う会社どうしを同じ物差しで見られます。次の数字は説明のための仮定で、筆者の計算です。
| 売却額 | 月額家賃 | 家賃の何か月分 | 年数に直すと |
|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 10万円 | 200か月 | 約16年8か月 |
| 2,000万円 | 12万円 | 約167か月 | 約13年11か月 |
| 1,500万円 | 10万円 | 150か月 | 12年6か月 |
2,000万円で売って月10万円を払う場合、家賃の合計が受け取った代金に並ぶまで約16年8か月です。住み続ける年数がそれより短いなら、受け取った代金のほうが多く手元に残る計算ですが、家賃は更新や改定で変わることがあります。固定資産税や大きな修繕の費用が不要になる場合がある点も、国土交通省は特徴として挙げています。ただし、これは所有者でなくなるからで、賃借人になると家の改装や設備の取り付けには制限がかかります。
住宅ローンが残っている家は、売却代金からローンを返し終える必要があります。足りるかどうかは住宅ローンが残っている家を売る方法で順番を確かめてから、比較に進んでください。
普通借家か定期借家か:住み続けられる期間の違い
家賃の次に見るのが、賃貸借の種類です。普通借家は、期間の満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知がなければ、同じ条件で更新したものとみなされます。貸す側(会社)が更新を断るには、正当な事由が必要です(借地借家法26条・28条)。
定期借家は、公正証書など書面で契約すると、更新がなく、期間が満了すれば終わると定められます(借地借家法38条)。契約の前に、会社は更新がないことを書いた書面を渡して説明しなければならず、説明がなければ更新なしの定めは無効です。期間が1年以上の契約では、貸す側が期間満了の1年前から6か月前までに終了を通知します。満了後も住みたいときは、改めて契約を結ぶ合意が要ります。
「ずっと住み続けられる」という説明は、普通借家か定期借家かで意味が変わります。国民生活センターは、事例と相談の増加を踏まえて、本当にそのまま住み続けられる契約かを確かめるよう注意しています。契約書の賃貸借の欄に「定期建物賃貸借」とあれば、期間の終わりの暮らしを先に決めておきます。
買戻しと第三者への転売:出口の条件を確かめる
買戻しは、売った家をあとで買い戻す約束です。ガイドラインは、買戻しができる場合もあるが条件や価格に留意するよう求めています。確かめるのは次の4点です。
- 買戻しの特約が契約書に書かれているか。
- 買い戻せる期限はいつまでか。
- 買戻しの価格はいくらか。売却額と同じとは限りません。
- 家賃の滞納など、買戻しの権利を失う条件があるか。
もう一つ見落としやすいのが、会社が物件を別の人に転売する可能性です。大家が替わった後も賃貸借が続くのか、条件が変わるのかは、事業者が告げるべき事項に入っています。転売の可能性と、賃貸借への影響を契約書で確かめてください。
会社を選ぶ前の手順:免許の確認から2〜3社の比較まで
比べる順番は、次のとおりです。
- 会社の免許を確かめる。 買主が宅建業者であるか、宅建業者が売買を媒介するかが、ガイドラインの対象です。国土交通省の宅地建物取引業者情報検索で免許番号と所在地を照らします。会社の選び方は不動産会社の選び方と免許番号の確かめ方にあります。
- 2〜3社に同じ条件で見積もりを頼む。 家の状況、住み続けたい年数、買戻しの希望を同じ言葉で伝えます。
- 書面で8項目を埋める。 口頭の説明は、書面に書かれているものだけを事実として扱います。
- 仲介で売る場合と比べる。 売らずに別の家へ移る選択肢は、老後の住み替えで扱っています。
リースバックを比べる選択肢の一つとして、事業者の条件を取り寄せる方法があります。申し込む前に、次の3点を確かめてください。
- 自宅を売る契約にクーリング・オフはないので、契約書に署名する前に条件を確かめ、納得できなければ断ってよい
- 買取価格だけで決めず、家賃・契約期間・買戻しの書面を取り寄せて比べる
- 家族にも条件を見せ、一人で急いで決めない
リースバックの基本はリースバックとは:家を売って住み続ける契約の家賃・買戻しの注意、ローンの返済が苦しい人の併用はリースバックと任意売却の併用にまとめています。売る側の事情が苦しいときに、強引な勧誘を受けたら自宅の買取・リースバックの強引な勧誘の断り方と相談先を読み、困ったときの窓口は相続手続きの無料相談窓口一覧で選べます。
国民生活センターによると、リースバックの契約当事者の約7割が70歳以上で、相談は増えています。国土交通省のガイドラインの脚注では、全国の消費生活センター等に寄せられた相談は、2022年度116件、2023年度227件、2024年度242件、2025年度214件でした。親の家のリースバックを子が後から知るケースもあります。判断が難しいときは、契約の前に家族と一緒に書面を読み、消費者ホットライン188も使ってください。
よくある質問
Q. リースバックの家賃は、近所の賃貸より高くなりますか?
家賃の水準を決める公的な基準はなく、会社ごとに算定の考え方が違います。国土交通省のガイドラインは、売買価格や家賃の算定根拠を事業者が説明することを望ましい事項としています。近隣で募集されている同じ広さの賃貸の家賃と並べて、差がある理由を会社に聞いてください。
Q. リースバックで売った家は、あとから買い戻せますか?
買戻しができるかどうかは、会社と結ぶ契約の内容で決まります。買戻しの特約の有無・期限・価格は、事業者が売主に告げるべき事項に入っています。口頭の説明ではなく、売買契約書や特約の書面で、いつまでに・いくらでと書かれているかを確かめます。
Q. 契約してから「やっぱりやめたい」と思ったら、取り消せますか?
自宅を不動産会社に売った場合、売主はクーリング・オフを使えません。国民生活センターは、分からない点があるうちは契約しないよう呼びかけています。すでに契約した後で困ったら、消費者ホットライン188で近くの消費生活センターを案内してもらえます。
出典・参考にした公的な情報
- 住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(リースバックに関するガイドライン)(国土交通省)
- 強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!(2025年5月21日)(国民生活センター)
- 高齢者の自宅の売却トラブルに注意(2021年6月24日)(国民生活センター)
- 借地借家法 第26条・第28条・第38条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法 第3条・第37条の2・第47条・第47条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業者情報検索(国土交通省)
- 住宅のリースバックに関するガイドブック(2022年6月24日)(国土交通省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。