不動産売却の流れ / Q&A

リースバックと任意売却は併用できる?住み続けるための条件

この記事のもくじ
  1. 条件1:借入先が認める売出価格と、売却後の住まい方
  2. 条件2:買主がだれかで、確かめる点が変わる
  3. 条件3:家賃を払い続けられるか
  4. 進める順番
  5. 住み続けられないと分かったとき

任意売却のあとも住み続ける形は、借入先が売却の条件を認めること、買主が賃貸に応じること、家賃を払い続けられることの3つがそろったときに成り立ちます。リースバック(自宅を売って、買主に家賃を払って住み続ける契約)の仕組みはリースバックとはにあり、任意売却の流れは任意売却とは?競売との違い・流れ・相談する前に知ることにあります。ここでは、二つを組み合わせるときに確かめる条件を順に見ていきます。

条件1:借入先が認める売出価格と、売却後の住まい方

任意売却は、借入先が売出価格を確認し、その価格で買い手が見つかった場合に抵当権の抹消に応じる売り方です。住宅金融支援機構のパンフレットは、機構が通知した価格より下で購入希望者を見つけても、抵当権の抹消に応じられない場合があるとしています。つまり、価格を決めるのは売主と買主だけではありません。

機構の手続きで公開されている流れは、売却と引渡しを前提に書かれています。パンフレットも、競売より引渡しの時期を調整しやすい点を利点に挙げていますが、売却後に売主が借主として住み続ける形については書かれていません。住み続ける案があるときは、申出書を出す前に、借入先(保証会社を含む)へ次の点を聞きます。

  • 売却後に売主が借主として住む形でも、売却に応じてもらえるか
  • 買主がその条件を受け入れる場合、売出価格の確認に影響があるか
  • 後ろの順位の抵当権者や差押えをした人がいる場合、その人たちの同意の見通し

売却の条件を借入先が認めても、売却後の賃貸借の契約は、売主と買主の間の別の契約です。契約の項目は、リースバックと同じように確かめます。

条件2:買主がだれかで、確かめる点が変わる

住み続けるための買主には、おおまかに事業者(不動産業者・投資家)と親族の二つがあります。

比較表:買主の種類ごとに確かめること
買主 確かめること 根拠
不動産業者(リースバックの事業者) 業者が買主、または業者が売買を媒介する場合は、国土交通省のリースバックのガイドラインの対象。家賃、契約期間、更新、定期借家か、買戻し特約、第三者への譲渡の可能性を契約書で確かめる 国土交通省ガイドライン
個人の投資家 賃貸借の条件(家賃・期間・更新)を書面にする。定期借家なら期間満了で終わる 借地借家法26条・38条
親族(親・子・きょうだい) 特別の関係がある人への売却は、3,000万円特別控除と譲渡損失の特例の対象外。著しく低い価額で買うと差額が贈与とみなされることがある 国税庁 No.3302・3390・4423

事業者が買主の場合は、国土交通省のガイドラインが売買と賃貸借の両方の説明項目を整理しています。国民生活センターは、長時間の勧誘で契約してしまった例や、家賃を値上げされて払えなくなった例を紹介していて、自宅を不動産業者に売った場合にクーリング・オフはできないとも注意しています。任意売却を勧める業者とリースバックを勧める業者が同じ会社だとしても、それぞれの条件を別々に確かめてください。業者の選び方は任意売却の業者の選び方で整理しています。

親族に買ってもらう場合は、税の面で先に確かめる点が三つあります。

  1. 親子や夫婦など特別の関係がある人への売却では、居住用財産の3,000万円特別控除が使えません。
  2. 同じく、住宅ローンが残る家の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例も使えません。
  3. 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けると、時価との差額は贈与とみなされ、贈与税の対象になります(時価は、土地・家屋では通常の取引価額)。

売却の相手が親族でも、借入先が確認する売出価格が基準になるので、「安く売る」形にはなりません。機構のパンフレットは、購入希望者を広く探すことを前提に書かれています。親族に売る場合も、その段取りで借入先が応じるかを事前に聞きます。

条件3:家賃を払い続けられるか

任意売却のあとは、残った借金の返済と、新しい家賃の両方が毎月の支出になります。機構のパンフレットは、売却後に債務が残るときの返済額を、生活状況を踏まえて本人と決めていくとしています。この額と家賃を合わせて、収入に収まるかを先に計算します。

例(筆者の計算):月々の収入が22万円、残債の返済が3万円、家賃が9万円なら、残りは22万円-3万円-9万円=10万円です。この10万円で、食費、光熱費、医療費、税金、保険料を払えるかを見ます。家賃を12万円に上げれば7万円です。足りなければ、家賃が低い物件へ移る、期間を限って住む、といった別の道を並べます。

家賃は契約書で決まります。定期借家なら、期間が満了すれば賃貸借が終わり、更新はありません(借地借家法38条)。普通借家なら、期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知をしないと、同じ条件で更新したものとみなされます(26条)。どちらの契約かで、住み続けられる見通しが大きく変わります。

進める順番

  1. 借入先に、返済条件の変更と、任意売却に応じる場合の手順を聞く
  2. 住み続けたい理由と期間(子どもの学校、介護、仕事など)を整理する
  3. 売って転居する場合と、家賃を払って住み続ける場合の毎月の支出を並べて計算する
  4. 買主の候補ごとに、上の比較表の確認点を整理する
  5. 契約書案を、家族か専門家(弁護士・司法書士)に見せてから署名する

窓口の番号と受付時間は相続・不動産売却の無料相談窓口一覧にあります。勧誘がしつこいときや契約の内容に不安があるときは、消費者ホットライン188でも相談できます。

住み続けられないと分かったとき

借入先との話や買主の条件が整わず、住み続ける形が難しいと分かったときは、転居の時期を調整する道に切り替えます。機構のパンフレットは、任意売却は競売より引渡しの時期を調整しやすく、退去後の生活設計を立てやすいとしています。転居先の確保と引っ越しの費用を、売却のスケジュールと並べて考えてください。

売却益が出るかどうかによって税金の扱いも変わります。任意売却でも譲渡所得税はかかる?自宅の3,000万円控除との関係で、利益が出る場合と損失が出る場合の特例を確かめられます。離婚が理由で家を売る場合は、離婚で家を売却する流れも参考になります。

よくある質問

Q. 任意売却をしたあとに、そのまま同じ家に住み続けられますか?

住み続けられる場合はありますが、決まるのは売却の相手と条件です。住宅金融支援機構の手続きでは、借入先が確認した売出価格で買い手を探し、売買が成立すれば抵当権を外します。買主が賃貸に応じて、借入先も売却の条件を認めれば、住み続ける形が成り立ちます。買主が見つかっても住み続けることが決まっているわけではありません。

Q. 親に家を買ってもらって、そのまま住むのはどうですか?

親や子など特別の関係がある人への売却は、居住用財産の3,000万円特別控除も、住宅ローンが残る家の譲渡損失の特例も使えません。さらに、買主が時価より著しく低い価額で買うと、差額が贈与とみなされることがあります。任意売却では借入先が確認した売出価格が基準になるため、親族間でも価格を自由には決められません。

Q. 任意売却後の家賃が払えなくなったら、どうなりますか?

賃貸借の契約内容に従って、家賃の滞納として扱われます。契約期間や更新、解約の条件は契約書で決まるため、署名する前に確かめます。売却後に残る借金の返済計画と、家賃を合わせて、毎月の支出を計算してから契約します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

リースバックとは:家を売って住み続ける契約の家賃・買戻しの注意

任意売却とは?競売との違い・流れ・相談する前に知ること

任意売却でも譲渡所得税はかかる?自宅の3,000万円控除との関係

離婚で家を売却する流れ:財産分与・ローン・売るタイミング