マンション売却でいくら残る?手取り額の計算方法とローン・税金
この記事のもくじ
マンションを売って手元に残るお金は、**売却価格 −(売却の費用)−(住宅ローンの残高)−(売った利益にかかる税金)**の順に引いて出します。筆者の計算例では、4,000万円で売り、ローンが2,200万円残っている自宅マンションの場合、売却の費用を引くと手元に残るのは約1,660万円です。自宅の3,000万円特別控除を使えれば税金は0円ですが、使えない場合は約139万円の税金がかかり、手取りは約1,521万円まで減ります。以下、この順番どおりに計算の手順を示します。
マンション売却でいくら残るか:計算式と4つの手順
手取りを出す計算は、次の4つの手順に分けると迷いません。
- 売れる価格の見込みを決める:査定額そのものではなく、近くの成約価格や査定の根拠から「この価格なら売れそう」という額を置く。調べ方はマンションの売却相場の調べ方。
- 売却の費用を引く:仲介手数料・印紙税・抵当権の抹消の費用など。
- ローンの残高を引く:決済の日に一括で返す額。
- 税金を引く:売った利益(譲渡所得)にかかる所得税・住民税。翌年に払う。
手順2と3は決済の日に代金から差し引かれ、手順4だけは売った翌年に払います。決済の日に口座に残った額を全部使ってしまうと、翌年の税金が払えなくなるので、計算の段階で分けておきましょう。
手順1・2:売れる価格と売却の費用を見込む
ここからは、次の条件の自宅マンションを例に計算します(数字は筆者が置いた例です)。
- 2014年10月に3,500万円で購入(建物2,000万円・土地の権利1,500万円。購入時の諸費用は計算を簡単にするため含めない)
- 鉄筋コンクリート造。購入から売るまで自分で住んでいた
- 2026年10月に4,000万円で売却。住宅ローンの残高は2,200万円
売却の費用は次のとおりです。
| 費用 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 仲介手数料(上限) | (4,000万円×3%+6万円)×1.1 | 138万6,000円 |
| 印紙税(軽減措置) | 1,000万円超5,000万円以下の契約書 | 1万円 |
| 抵当権の抹消の登録免許税 | 1,000円×1個(敷地権が登記された区分建物と仮定) | 1,000円 |
| 合計 | 139万7,000円 |
仲介手数料の「×3%+6万円」は、告示の区分(200万円以下5%、200万円超400万円以下4%、400万円超3%。いずれも税抜)から導いた速算式です。司法書士の報酬とローンの一括返済の手数料は事務所や金融機関で違うので、この例には入れていません。実際の計算では見積もりの額を足してください。ほかにどんな費用がありうるかは、前の記事の不動産売却にかかる費用一覧で確かめられます。
手順3:住宅ローンの残高を確かめて引く
ローンが残っているマンションは、決済の日に買主から受け取る代金で残りを一括で返し、抵当権の登記を消してから買主に引き渡します。手取りの計算に使う残高は、決済予定日の時点で一括返済に必要な額です。返済予定表の残高に、その日までの利息や一括返済の手数料が加わることがあるので、借入先の金融機関に「この日に一括で返すといくらか」を聞いて確かめます。
例では2,200万円を引きます。ここまでで、4,000万円−139万7,000円−2,200万円=1,660万3,000円が決済の日に手元に残る額です(筆者の計算)。
売却価格から費用を引いてもローンの残高に届かない場合は、この計算がマイナスになります。そのときの考え方は住宅ローンが残っている家を売るにはと、その先のオーバーローンの記事で扱います。
手順4:売った利益にかかる税金を計算する
税金は、手取りではなく**「売った利益」に**かかります。利益(譲渡所得)は「売った金額−(取得費+譲渡費用)」です(国税庁 No.3202)。
取得費は買ったときの金額ですが、建物は年数とともに価値が減るものとして、減価償却費に当たる額を引きます。自宅など業務に使っていない建物では、「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」で計算し、鉄筋コンクリート造の償却率は0.015です(No.3261)。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 建物の減価償却費相当額 | 2,000万円×0.9×0.015×12年 | 324万円 |
| 取得費 | (2,000万円−324万円)+1,500万円 | 3,176万円 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料138万6,000円+印紙税1万円 | 139万6,000円 |
| 譲渡所得(利益) | 4,000万円−3,176万円−139万6,000円 | 684万4,000円 |
| A:自宅の3,000万円特別控除を使う | 684万4,000円−3,000万円→0円 | 税金0円 |
| B:控除を使えない場合の所得税 | 684万4,000円×15% | 102万6,600円 |
| B:復興特別所得税 | 102万6,600円×2.1% | 約2万1,500円 |
| B:住民税 | 684万4,000円×5% | 34万2,200円 |
| 手取り(A) | 1,660万3,000円−0円 | 約1,660万円 |
| 手取り(B) | 1,660万3,000円−約139万円 | 約1,521万円 |
検算:取得費3,176万円+譲渡費用139万6,000円+利益684万4,000円=4,000万円。Bの税金は102万6,600円+約2万1,500円+34万2,200円で約139万円。実際の申告では所得や税額の端数を切り捨てるので、数百円単位でずれることがあります。
例では2026年1月1日の時点で所有期間が5年を超えているので、長期譲渡所得の税率(所得税15%・住民税5%に、所得税額の2.1%の復興特別所得税)を使っています(No.3208)。買ってから5年以内に売ると短期になり、所得税30%・住民税9%と税率が大きく上がります。
Aの3,000万円特別控除は、住んでいる家か、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る家が対象です(No.3302)。転勤などで住まなくなってから時間がたっていたり、家族への売却だったりすると使えないことがあり、その場合がBです。要件の全体は自宅を売った時の譲渡所得税の3000万円控除で確かめてください。利益にかかる税の計算の細かい点は譲渡所得税の計算方法に譲ります。
この計算は仕組みを示す例です。自分の売却で特例が使えるかの判断や税額の計算を個別に頼みたいときは、税理士の仕事になります(税理士法2条・52条)。無料で聞ける場としては、税務署の電話相談もあります。
計算した手取りを確かめる:見落としやすい入金と出金
計算した手取りと実際の入金がずれる原因は、次のような項目です。
- 固定資産税・管理費の精算:年の途中で引き渡すと、固定資産税や、マンションの管理費・修繕積立金を日割りで買主と精算する取り決めをすることがあります。受け取る側になることが多いので、売買契約書の条項を確かめます。
- 手付金の受け取り時期:代金の一部を契約時に手付金として受け取り、残りを決済の日に受け取るのが一般的な流れです。お金が入る時期は不動産売却の決済と引き渡しで確かめてください。
- 翌年の住民税:上のBの例の住民税34万円余りは、売った翌年に市区町村から通知されて払います。
- 引っ越し・住み替えの費用:新居の購入費用や仮住まいの家賃は、売却の費用ではありませんが、手取りから出ていくお金です。
手取りの計算は、最初の「売れる価格」の置き方で大きく変わります。複数社の査定を比べる方法として一括査定がありますが、返ってくる査定額は成約を約束する額ではなく、各社の見込みです。申し込み後に複数社から連絡が続くことがあっても、売るかどうかを決めるのは査定を見たあとです。査定の根拠になった成約事例を聞き、自分で置いた価格と比べてから手取りを計算すると、見込み違いを減らせます。
次の不動産売却の印紙税では、売買契約書に貼る印紙の額を契約金額ごとに一覧にしています。
よくある質問
Q. 税金がゼロになる場合でも、確定申告は要りますか?
自宅の3,000万円特別控除などの特例は、確定申告をすることで受けられると国税庁の手引きに書かれています。控除を引いて税額が0円になる場合でも、売った翌年の2月16日から3月15日まで(期限の日が土日などの年は翌平日)に申告して特例を使う必要があります。申告しないと特例を前提にした手取りの計算が成り立たないので注意してください。
Q. 売った翌年の住民税や健康保険料も、手取りから引いて考えるべきですか?
譲渡所得への住民税は、所得税の確定申告をもとに市区町村が計算し、翌年に通知されます。売った年に受け取った代金から翌年に払う形になるので、手取りの計算では「後で払う税金」として取り分けておくのが安全です。国民健康保険料への影響の有無は、お住まいの市区町村の担当課で確かめてください。
Q. 購入したときの売買契約書がなくても、手取りは計算できますか?
取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とする方法が認められています(国税庁 No.3258。実際の取得費がそれを下回るときも使える)。ただし実際の取得費より小さくなることが多く、利益が大きく計算されて税金が増えやすくなります。購入時の契約書や通帳の記録を探す価値は大きいので、売り出す前に探しておきましょう。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省)
- No.7108 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)
- 登録免許税法 別表第一(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)(国税庁)
- No.3261 建物の取得費の計算(国税庁)
- No.3258 取得費が分からないとき(国税庁)
- No.3255 譲渡費用となるもの(国税庁)
- No.3208 長期譲渡所得の税額の計算(国税庁)
- No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)
- 令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(記載例・特例の申告)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。