生前贈与の加算期間:3年から7年へ、相続開始日ごとの早見表
生前贈与が相続税の計算に足し戻される期間(加算対象期間)は、相続開始日(亡くなった日)で決まります。2026年12月31日までの相続は相続開始前3年以内、2027年1月1日〜2030年12月31日の相続は「2024年1月1日から死亡の日まで」、2031年1月1日以後の相続は相続開始前7年以内です。延びた部分(3年より前の贈与)は、合計から100万円を差し引いてから足します。いま(2026年内)に相続が始まる場合はまだ3年で、実際に3年を超えて遡り始めるのは2027年1月2日以後の相続からです。このページは、サイトの中で加算期間を扱う基準のページです。
相続開始日ごとの加算期間の早見表
国税庁 No.4161 の表は3行だけです。
| 相続開始日 | 加算対象期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 相続開始前3年以内(死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日まで) |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日から死亡の日まで |
| 2031年1月1日以後 | 相続開始前7年以内(死亡の日から遡って7年前の日から死亡の日まで) |
この3行に具体的な日付を当てはめると、延びる長さが見えてきます(筆者の計算)。「延長部分」は、加算対象期間のうち相続開始前3年以内より前の部分で、100万円の控除が使える範囲です。
| 相続開始日の例 | 加算が始まる日 | 3年以内が始まる日 | 延長部分(100万円を引く) | 遡る長さ |
|---|---|---|---|---|
| 2026年10月23日 | 2023年10月23日 | 2023年10月23日 | なし | 3年 |
| 2026年12月31日 | 2023年12月31日 | 2023年12月31日 | なし | 3年 |
| 2027年1月1日 | 2024年1月1日 | 2024年1月1日 | なし | 3年 |
| 2027年6月30日 | 2024年1月1日 | 2024年6月30日 | 2024年1月1日〜6月29日 | 約3年6か月 |
| 2028年6月30日 | 2024年1月1日 | 2025年6月30日 | 2024年1月1日〜2025年6月29日 | 約4年6か月 |
| 2029年6月30日 | 2024年1月1日 | 2026年6月30日 | 2024年1月1日〜2026年6月29日 | 約5年6か月 |
| 2030年12月31日 | 2024年1月1日 | 2027年12月31日 | 2024年1月1日〜2027年12月30日 | 約7年 |
| 2031年1月1日 | 2024年1月1日 | 2028年1月1日 | 2024年1月1日〜2027年12月31日 | 7年 |
| 2033年5月1日 | 2026年5月1日 | 2030年5月1日 | 2026年5月1日〜2030年4月30日 | 7年 |
2027年から2030年までの相続では、加算の始まりが2024年1月1日に固定され、亡くなった日が遅いほど遡る期間が少しずつ長くなります。2031年以後は、亡くなった日から7年前の日が始まりになり、その日付が毎年後ろへずれていきます。
- 〜2026年12月31日の相続:3年前の日 ─ 死亡日(3年)
- 2027年1月1日〜2030年12月31日の相続:2024年1月1日 ─ 死亡日(3年から7年弱へ少しずつ延びる)
- 2031年1月1日以後の相続:7年前の日 ─ 死亡日(7年)
- 3年以内より前の部分は、贈与の合計から100万円を引いて足す
延長部分は100万円を引いて加算する:計算例
国税庁は、相続開始日が2027年1月2日以後の場合、加算対象期間内の贈与のうち相続開始前3年以内より前の贈与は、贈与時の価額の合計から総額100万円まで加算しないとしています。100万円は1年ごとではなく、延長部分全体で1回です。
例として、父が毎年1月10日に子へ110万円ずつ暦年課税で贈与し(2024年から2030年まで7回)、父が2030年6月30日に亡くなった場合を計算します(筆者の計算。子は相続で財産を取得する前提)。
| 贈与日 | 区分 | 加算する額 |
|---|---|---|
| 2024年1月10日〜2027年1月10日(4回) | 延長部分(2024年1月1日〜2027年6月29日) | 110万円×4回−100万円=340万円 |
| 2028年1月10日〜2030年1月10日(3回) | 相続開始前3年以内(2027年6月30日以後) | 110万円×3回=330万円 |
| 合計 | — | 670万円 |
検算:贈与の合計は110万円×7回=770万円。延長部分の440万円から100万円を引いて340万円、3年以内の330万円と合わせて670万円。770万円−100万円=670万円で一致します。
毎年110万円以下で贈与税の申告をしていなくても、加算の対象になる点に注意してください。2030年1月10日の贈与は亡くなった年の贈与ですが、3年以内の贈与として加算します。足し戻した670万円は、ほかの遺産と合わせて基礎控除と比べ、相続税の計算に入ります。
加算しない贈与と、贈与税額控除
加算対象期間内の贈与でも、次の額は足し戻しません(国税庁 No.4161)。
- 贈与税の配偶者控除で差し引いた額
- 直系尊属からの住宅取得等資金の贈与で非課税になった額
- 教育資金の一括贈与で非課税になった額(管理残額は別の決まりで加算されることがある)
- 結婚・子育て資金の一括贈与で非課税になった額(同上)
足し戻した贈与にかかっていた贈与税は、相続税から差し引かれます(贈与税額控除。加算税などは除く)。同じ贈与に二重に税がかかる形にはなりません。
加算の対象になるのは、相続や遺贈で財産を取得した人が受けた贈与です。財産を何も取得しない孫や子の配偶者への贈与は、原則としてこの加算の外にあります。誰が対象になるかの分かれ目は、次の暦年贈与の7年加算は法定相続人だけ?孫・子の配偶者の扱いで整理しています。
相続時精算課税の贈与は、この表とは別のルールです。期間に関係なく、2024年以後の贈与は毎年の基礎控除110万円を引いた残りを全部足し戻します。仕組みは相続時精算課税とは:2,500万円の特別控除と110万円の基礎控除を読んでください。
2026年10月時点で確かめておくこと
加算期間の延長は2023年度の税制改正で決まり、2024年1月1日以後の贈与から対象になっています。財務省の令和8年度税制改正の大綱には、加算期間をさらに変える項目は入っていません。2026年10月23日時点で確かめておきたい点は、次の3つです。
- 贈与の記録を年ごとに一覧にする。 贈与日・金額・贈与者・受贈者・申告の有無を、2024年1月1日以後の分から並べておくと、相続のときに延長部分と3年以内の部分を分けられます。
- 相続で財産を取得する人かどうかを見る。 毎年の贈与先が、相続人として遺産を取得する人か、財産を取得しない孫などかで、加算の扱いが変わります。
- 相続税の申告が要る家かを先に見る。 加算した結果、正味の遺産額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで、申告の要否が決まります。判定の方法は相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定する方法にあります。
これからの贈与の計画を立てるときは、加算される前提で毎年の額や贈与先を選ぶことになります。贈与の方法全体は生前贈与のやり方:方法の選び方・手続き・相続税との関係、暦年贈与を毎年続ける場合の注意は暦年贈与とは?毎年110万円の贈与のやり方と7年加算の影響、2026年以後の相続税の改正の全体は相続税の改正の最新:2026年以降に変わること・変わったことで確かめられます。
加算後に基礎控除を超えそうな家で、贈与の記録の整理や申告を税理士に頼みたい場合、税理士を探す方法の一つとして紹介サービスがあります。相続税の申告を扱っている税理士か、報酬の見積もりを事前に出してもらえるかを確かめてから依頼を決めてください。
よくある質問
Q. 2026年中に親が亡くなった場合も7年分を足し戻しますか?
いいえ。相続開始日が2026年12月31日までなら、加算対象期間は従来どおり相続開始前3年以内です。7年に向けた延長は2027年1月1日以後の相続から始まり、実際に3年を超える部分が出るのは2027年1月2日以後に亡くなった場合です。
Q. 年110万円以下の贈与で申告していなくても、足し戻しますか?
足し戻します。加算の対象は贈与税の基礎控除の範囲内かどうかに関係なく、加算対象期間内に暦年課税で受けた贈与の全部です。亡くなった年に受けた贈与も含まれます。ただし延長された期間の贈与からは、合計で100万円を差し引いてから加算します。
Q. 7年に延びたのは、いつの改正ですか?
2023年度(令和5年度)の税制改正で決まり、2024年1月1日以後の贈与から対象になりました。改正前の贈与まで遡って7年分を足すことがないように、2027年から2030年までに亡くなった場合は「2024年1月1日から死亡の日まで」を加算期間とする経過措置が置かれています。
出典・参考にした公的な情報
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)
- No.4103 相続時精算課税の選択(国税庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- 相続税法 第19条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 令和8年度税制改正の大綱(資産課税)(財務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。