相続税の改正はいつから?2026年の最新と2027年に変わること
この記事のもくじ
相続税の改正は、2026年10月の時点で**「基礎控除と税率は変わっていない」のが答えの出発点です。変わったのは主に贈与と財産評価の側で、2024年1月に生前贈与の加算期間の延長・相続時精算課税の110万円の基礎控除・マンションの評価の見直しが始まりました。これから効き始めるのは、加算期間が実際に3年を超えて延び始める2027年1月以後の相続**と、同じ月からの貸付用不動産の評価の見直し(予定)です。この記事では、施行済み・これから・終わったものを分けて示し、改正の確かめ方を書きます。
相続税の改正:2026年10月時点の一覧(施行済み・これから・終了)
まず全体を表で見ます。日付は、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と、財務省の令和8年度税制改正の大綱で確かめたものです。
| 区分 | 時期 | 中身 |
|---|---|---|
| 施行済み | 2024年1月1日以後の贈与・相続 | 暦年贈与の加算期間を3年から7年へ(段階的に延びる)、相続時精算課税に年110万円の基礎控除、居住用マンションの評価に補正率 |
| 施行済み | 2026年3月31日で終了 | 教育資金の一括贈与の非課税(延長されず終了) |
| これから | 2027年1月2日以後の相続(1月1日の相続は範囲が3年と同じ) | 加算期間が実際に3年を超え始める。延びた期間の贈与は合計から100万円を引いて加算 |
| これから(予定) | 2027年1月1日以後の相続等 | 取得から5年以内の貸付用不動産・小口化商品を「通常の取引価額」で評価(通達の改正で行う予定) |
| 期限が来る | 2026年12月31日まで | 住宅取得等資金の贈与の非課税(省エネ等住宅1,000万円・それ以外500万円) |
| 期限が来る | 2027年3月31日まで | 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税 |
| 変わっていない | ― | 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)、相続税の税率(10%〜55%) |
令和8年度の改正法(所得税法等の一部を改正する法律)は、2026年2月20日に法律案として国会へ提出され、3月31日に成立・公布されました。資産課税の主な項目は、教育資金の一括贈与の終了、事業承継の納税猶予の計画の提出期限の延長、医業継続の納税猶予の延長、貸付用不動産の評価の見直しです。住宅取得等資金の非課税や生前贈与の加算、精算課税の仕組みを変える項目は入っていません。
施行済みの改正:2024年1月から変わった3つのこと
生前贈与の加算期間の延長(3年→7年)
相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった人から暦年課税で贈与を受けていた場合、一定の期間の贈与は相続財産に足して相続税を計算します。この期間が、2024年1月1日以後の贈与から段階的に7年へ延びます。
| 相続開始日 | 加算する贈与 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日から相続開始日まで |
| 2031年1月1日以後 | 相続開始前7年以内 |
延びた部分(3年より前の贈与)は、その合計から100万円を引いて足します。110万円以下の贈与でも加算の対象になる点は、改正の前後で同じです。相続開始日ごとの細かい読み方と、孫など相続で財産を取得しない人の扱いは生前贈与の加算期間:3年から7年への早見表で扱います。
相続時精算課税に年110万円の基礎控除
2024年1月1日以後の贈与から、精算課税にも受贈者ごとに年110万円の基礎控除ができました。110万円以下なら贈与税の申告は要らず、贈与者が亡くなったときに相続財産に足すのも、各年の基礎控除を引いた残りだけです。暦年課税の110万円とは別の枠ですが、一度精算課税を選ぶとその贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。仕組みは相続時精算課税の2,500万円の特別控除と110万円の基礎控除で説明しています。
居住用マンションの評価の見直し
2024年1月1日以後の相続・遺贈・贈与で取得した居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)は、従来の評価額に「区分所有補正率」を掛けて評価します。築年数・総階数・所在階・敷地持分の狭さから評価乖離率を出し、評価水準が0.6未満なら市場価格の6割の水準まで引き上げる仕組みです。計算の手順はマンションの相続税評価:2024年からの新しい評価方法にあります。
これから効き始める改正:2027年1月に起きること
加算期間が実際に延び始める
2024年に決まった加算期間の延長は、2026年中の相続ではまだ3年のままです。国税庁の説明では、3年より前の贈与が実際に加算に入る(100万円の控除が働く)のは2027年1月2日以後の相続からです。たとえば2027年6月に亡くなった場合、相続開始前3年は2024年6月までですが、加算の対象は2024年1月1日以後の贈与まで広がります。2027年以後に相続が起きそうな家庭では、2024年以後の贈与の記録(日付・金額・振込の明細・贈与税の申告書の控え)を年ごとにまとめておくと、申告の準備で迷いません。
貸付用不動産の評価の見直し(予定)
令和8年度の大綱では、2027年1月1日以後に相続等で取得する財産について、亡くなった人などが課税時期前5年以内に対価を払って取得・新築した一定の貸付用不動産を「通常の取引価額」で評価する方針が示されました。不動産特定共同事業契約などに基づく小口化商品は、取得の時期を問わず通常の取引価額です。これは法律ではなく財産評価基本通達の改正で行う予定の内容なので、国税庁が改正後の通達を公表したら、適用の日と経過措置(通達で定める日までに5年以上所有する土地に新築された家屋は対象外)を読み直します。
終わった制度・期限が来る制度
教育資金の一括贈与の非課税は、2026年3月31日で延長されずに終わりました。4月1日以後は新しく使えません。同日までに拠出したものは、30歳時の残額への課税などの仕組みが引き続き適用されます。必要なときに必要な分を直接払う教育費は、もともと贈与税がかからないので、これからはこちらで考えます(教育資金の生前贈与の非課税と期限・残額の扱い)。
住宅取得等資金の贈与の非課税は、2026年12月31日までの贈与が対象です。令和8年度の大綱に延長の項目はなく、2027年以後の扱いは次の年度の改正で決まります。2026年中に使うなら、翌年3月15日までに取得して住むことと、税額がゼロでも申告が要ることを先に確かめます(住宅取得等資金の贈与の非課税:上限額・期限・申告の要件)。結婚・子育て資金の一括贈与の非課税は、2027年3月31日までに取得したものが対象です。
相続税そのものではありませんが、2024年4月1日に相続登記の申請が義務になりました。それより前の相続で登記していない不動産も対象で、期限は最短で2027年3月31日です。過料は10万円以下で、登記官の催告を経て裁判所が決めます。
改正を自分で確かめる方法:大綱から施行まで
相続税の改正は、おおむね次の順で決まります。どの段階の情報かを見分けると、「決まった話」と「予定の話」を取り違えません。
- 税制改正の大綱(財務省の「税制改正」のページ):その年度に何を変えるかの方針。資産課税の章に相続税・贈与税の項目が並ぶ。
- 法律案の提出と成立(財務省の国会提出法律案のページ):大綱の中身が法律になる。成立・公布の日と施行日を見る。
- 国税庁の案内:タックスアンサーの冒頭の「令和○年4月1日現在法令等」を見て、新しい法令で書かれたページかを確かめる。
- 通達の改正:財産評価のように通達で行うものは、国税庁が改正通達を公表した時点で中身が決まる。
改正が税額にどう効くかは、まず変わっていない部分(基礎控除・税率)で一次判定をしてから考えます。不動産がある家の相続税:基礎控除を超えるかを評価額で見積もるで見込みを立て、超えそうなら相続税の税率表:10%〜55%の速算表へ進みます。
参考に、国税庁の令和6年分の申告事績では、亡くなった人のうち相続税の課税対象になった割合は10.4%(前年9.9%)でした。課税価格の合計23兆3,846億円と税額3兆2,446億円は、基礎控除が引き下げられた2015年分以降で最も多い額です。
「相続税 改正」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。
よくある質問
Q. 相続税の基礎控除は2026年の改正で下がりましたか?
下がっていません。令和8年度の税制改正の大綱に、基礎控除や税率を変える項目はありません。基礎控除は2015年分の相続から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」のままです。次の年度の大綱が出たら、資産課税の項目に基礎控除が入っているかを見て確かめます。
Q. 2026年中に亡くなった場合、生前贈与は何年分さかのぼって足されますか?
相続開始日が2026年12月31日までなら、加算の対象は相続開始前3年以内の贈与です。3年を超えて延び始めるのは2027年1月以後の相続からで、7年分になるのは2031年1月1日以後の相続です。相続開始日ごとの表は生前贈与の加算期間の記事にまとめています。
Q. 改正の情報は、どこを見れば最新だと分かりますか?
国税庁のタックスアンサーは各ページの冒頭に「令和8年4月1日現在法令等」のように、どの時点の法令で書いたかを表示しています。その日付が新しいページを読み、年度の途中の変更は財務省の税制改正のページと国会に出された法律案で確かめます。
出典・参考にした公的な情報
- 令和8年度税制改正の大綱(資産課税)(財務省)
- 第221回国会(常会)提出法律案(財務省)
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)
- No.4103 相続時精算課税の選択(国税庁)
- No.4667 居住用の区分所有財産の評価(国税庁)
- No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
- No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
- No.4511 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- 令和6年分 相続税の申告事績の概要(国税庁)
- 相続登記の申請義務化について(法務省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。