生前贈与と贈与税 / Q&A

車の生前贈与:名義変更の手続きと贈与税がかかる金額の目安

この記事のもくじ
  1. Q1. 親から車をもらうと、贈与税はかかる?
  2. Q2. 中古車の価値(評価額)はどう決める?
  3. Q3. 贈与税はいくらになる?金額の目安
  4. Q4. 名義変更(移転登録)の手続きと必要書類は?
  5. Q5. 贈与のときに残しておく記録は?

親が子に車を譲ったり、車を買ってあげたりすると、子が受けた車の時価(買ってあげた場合は購入にかかった額)が贈与になります。その年に子が受けたほかの贈与と合わせて110万円を超えると、超えた部分に贈与税がかかります。名義変更は、普通車なら運輸支局(自動車検査登録事務所)で所有者の変更から15日以内に移転登録を申請し、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きします。

Q1. 親から車をもらうと、贈与税はかかる?

個人から財産をもらうと贈与税の対象になり、車も例外ではありません(国税庁 No.4402)。親から子への車の渡し方は、次の3つに分けて考えます。

渡し方 子が受けた贈与の額 名義変更
親が乗っていた車を子に譲る 譲った時点の車の時価 親から子へ移転登録
親が代金を払い、最初から子の名義で買う 購入にかかった額 新車・中古車の登録で子が所有者になる
親が購入資金を子に渡し、子が自分で買う 渡したお金の額 子が買う手続きの中で子が所有者になる

どの形でも、その年(1月1日〜12月31日)に子が受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません。110万円を超えると、受けた子が翌年2月1日〜3月15日に申告と納税をします(No.4429)。110万円の数え方は贈与税はいくらからかかるかで確かめてください。

車の購入資金を生活費として渡したと考える人もいます。No.4405 で非課税とされる生活費は、扶養義務者から受ける「通常必要と認められるもの」を必要な都度直接充てるものに限られます。車の購入資金がこれに当たるかは、車の用途や家計の事情で判断が分かれるので、まとまった額を渡すときは贈与として申告の要否を考え、迷えば税務署の電話相談で聞いておきます。

Q2. 中古車の価値(評価額)はどう決める?

車は、財産評価基本通達で「一般動産」として扱われます。通達129は、一般動産の価額は売買実例価額や精通者意見価格などを参酌して評価すると定めています。中古車なら、同じ車種・年式・走行距離の車の売買の例や、買取店・販売店などの査定が目安になります。

売買の例や査定が明らかでない場合は、同じ種類・規格の新品の小売価額から、製造の時から贈与の時までの償却費の合計を引いた額で評価します。このときの耐用年数は減価償却の耐用年数の省令により、償却方法は定率法によるとされています(通達130)。

実際には、贈与の前に査定を受け、査定書(日付と金額が書かれたもの)を保管しておくのが現実的です。申告するときも、しないときも、なぜその額と考えたかを後で説明できます。車の評価を書類で残すことは、相続のときに兄弟の間で「あの車はいくらだったか」と争いになるのを防ぐことにもつながります。

Q3. 贈与税はいくらになる?金額の目安

18歳以上の子が親から受けた贈与は特例税率で計算します(No.4408)。ほかに贈与がない年の、車に関する贈与税の目安を筆者の計算で示します。

早見表:車の贈与で子が受けた額ごとの贈与税(18歳以上の子・特例税率・その年にほかの贈与がない場合)
子が受けた額 計算 贈与税
中古車の時価 80万円 110万円以下 0円(申告不要)
中古車の時価 150万円 (150万−110万)×10% 4万円
200万円の車を買ってもらった (200万−110万)×10% 9万円
購入資金 400万円 (400万−110万)×15%−10万 33万5,000円

特例税率は、贈与の年の1月1日に18歳以上の子や孫が、父母・祖父母から受けた贈与に使えます。17歳以下の子への贈与や、義父母からの贈与には一般税率を使うので、同じ額でも税額が変わることがあります(400万円の例は一般税率でも(400万−110万)×15%−10万=33万5,000円で同じですが、500万円になると一般税率53万円・特例税率48万5,000円と差が出ます。500万円の額は国税庁 No.4408 の計算例と一致します)。他の額は贈与税の税率と計算の速算表で計算できます。

60歳以上の親から18歳以上の子への贈与なら、相続時精算課税を選んで累計2,500万円までの特別控除を使う方法もあります。ただ、車1台のために選ぶと、その親からの以後の贈与がすべて精算課税になり暦年課税に戻せないので、ほかの贈与の予定と合わせて考えます。

Q4. 名義変更(移転登録)の手続きと必要書類は?

普通車は、道路運送車両法13条で、所有者の変更があった日から15日以内に新しい所有者が移転登録を申請すると定められています。窓口は、新しい使用の本拠の位置(車を置く場所)を管轄する運輸支局か自動車検査登録事務所です。関東運輸局が、車の所有者が第三者へ名義変更する場合に示している書類の並びを、親から子への贈与にあてはめると次のとおりです。陸運局ごとに細部が違うことがあるので、申請する運輸支局の案内で最終確認します。

用意する人 書類 注意点
親(今の所有者) 自動車検査証(車検証) 有効期間内のもの
親 譲渡証明書 親の実印を押す
親 印鑑証明書 発行から3か月以内
親 実印、または実印を押した委任状 親が窓口に行かない場合は委任状
子(新しい所有者) 印鑑証明書 発行から3か月以内
子 実印、または実印を押した委任状
子 自動車保管場所証明書(車庫証明) 証明日から40日以内
窓口で 申請書(OCRシート第1号様式)・手数料納付書 自動車検査登録印紙を貼る

車を置く場所の管轄が変わるときは、ナンバープレートが変わるので車を運輸支局に持ち込みます。親が車をローンで買っていて車検証の所有者がローン会社や販売店になっている場合は、親の財産として譲る前に、所有者の会社に残りの支払いと所有権の扱いを問い合わせます。

軽自動車は、軽自動車検査協会での手続きです。新しい使用者の使用の本拠の位置を管轄する協会の事務所・支所・分室に、自動車検査証(原本)、自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式など)、使用者や住所が変わる場合の住民票の写しか印鑑証明書(発行から3か月以内)、管轄が変わる場合のナンバープレートなどを出します。協会の案内では、記録事項の変更の手数料はかかりません。

Q5. 贈与のときに残しておく記録は?

車の贈与も、お金の贈与と同じく、あげる側の意思表示ともらう側の受諾で成立します。次の書類をまとめて保管しておくと、贈与税の申告にも、相続のときの説明にも使えます。

  • 贈与契約書(日付・親と子の名前・車名・車台番号・「贈与する」「受諾する」旨)
  • 贈与の日に近い日付の査定書、または購入時の契約書と領収書
  • 移転登録後の車検証の写し
  • 110万円を超えた年の贈与税の申告書の控え

贈与契約書の文例:「贈与者 父○○は、その所有する自動車(車名○○、車台番号○○)を受贈者 長女○○に贈与し、受贈者はこれを受諾した。名義の変更の手続きは令和○年○月○日までに行う。」

親が亡くなった後に車を引き継ぐ場合は、贈与ではなく相続の手続きになり、必要書類も変わります。その流れは車の相続手続きと運輸支局の流れにまとめています。お金を渡す場合の記録の残し方は親から子への贈与のしかた、車や株などの贈与が兄弟の遺留分の計算に入るかは、次の生前贈与と遺留分の算入期間で確かめてください。

よくある質問

Q. 車をもらった年に、親から現金も受け取っています。どう計算しますか?

暦年課税の110万円は、もらう人ごとに1年間に受けたすべての贈与の合計から引きます。車の評価額と現金を合計し、110万円を超えた部分に贈与税がかかります。父から車、母から現金というように贈与者が別でも、受け取った子の側で合計します。

Q. 名義変更をしないまま子が乗っていると、贈与にはならないのですか?

車検証の所有者が親のままなら、車の所有権は移っていない形です。ただ、実際には子が代金を払っていない車を子のものとして扱っているなら、後で家族の間で誰の財産かが争いになることがあります。譲ると決めたなら、贈与契約書を作り、普通車なら所有者の変更から15日以内に移転登録を申請します。

Q. 車を譲ったあとの自動車税は誰が払いますか?

普通車の自動車税(種別割)は、4月1日現在、車検証に所有者として登録されている人に、その年度分が課されます。東京都主税局(2026年10月時点の案内)は、年度の途中で名義変更をしても年税額は4月1日時点の所有者に課税されると案内しています。年度の途中で車を譲っても、その年度分は4月1日時点の所有者(多くは親)の負担になるので、費用を誰が持つかを譲る前に家族で決めます。名義変更や廃車の登録・申告をしないと前の所有者に課税が続くことがあるため、運輸支局での登録とあわせて都道府県税事務所への申告も確かめます。軽自動車税(種別割)は市区町村の税で、扱いは市区町村の窓口の案内に沿います。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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