相続税と申告 / 悩み整理

相続税の申告をしないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後申告

この記事のもくじ
  1. 相続税の申告をしないとどうなるか:先に「要る人か」を確かめる
  2. 期限を過ぎるとかかる無申告加算税:申告した時期で変わる割合
  3. 延滞税は日数で増える:2026年の割合と計算例
  4. 期限後申告でも特例は使える?使えなくなる場面
  5. 申告していないと気づいたときに、今から動く順番

相続税の申告が必要なのに出さないと、本来の相続税に無申告加算税と延滞税が上乗せされます。無申告加算税は、税務署の調査の通知が来る前に自分から期限後申告すれば5%、調査を受けてから申告したり税務署に税額を決められたりすると15〜30%まで上がります。財産を隠していたと判断されれば、無申告加算税に代えて40%の重加算税です。延滞税は2026年中なら年2.8%から始まり、納めるのが遅れると年9.1%になります。この記事では、何がいくら増えるのか、期限後でも特例は使えるのか、今から何をすればよいかを順番に示します。

相続税の申告をしないとどうなるか:先に「要る人か」を確かめる

申告が要るのは、相続や遺贈で財産を取得した人全員の課税価格の合計が、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合です。下回るなら、そもそも申告の義務はありません。ただし、小規模宅地等の特例などを使った結果として基礎控除以下になる場合は、申告が必要だと国税庁は案内しています。「特例で税金がゼロになるから出さない」は、特例そのものを使えなくする誤りです。

申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎた後でも、税務署が税額を決める「決定」をするまでは、期限後申告書を出せます(国税通則法18条)。申告が要るかの判定は相続税の基礎控除で一次判定する方法で確かめてください。

期限を過ぎるとかかる無申告加算税:申告した時期で変わる割合

無申告加算税の割合は、いつ、どういうきっかけで申告したかで変わります。国税通則法66条の区分を表にしました(2024年1月1日以後に法定申告期限が来る相続税に適用される現行の割合)。

早見表:期限後に申告した時期と無申告加算税の割合
申告した時期・きっかけ 納める税額のうち50万円以下の部分 50万円超〜300万円の部分 300万円超の部分
期限から1か月以内に自主的に出し、一定の要件を満たす かからない かからない かからない
調査の事前通知が来る前に自主的に出した 5% 5% 5%
調査の通知の後、調査で指摘されると予知する前に出した 10% 15% 25%
調査を受けて出した、または税務署に決定された 15% 20% 30%
財産を隠したり偽ったりしていた(重加算税) 40% 40% 40%

1か月以内でかからない「一定の要件」は、国税庁の説明では、法定申告期限から1か月以内に自主的に出し、期限内に申告する意思があったと認められること(法定納期限までに全額を納めている、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていない、など)です。期限内に出さなかったことに正当な理由があると認められる場合も、無申告加算税はかかりません。反対に、調査を受けた後に申告する場合や決定された場合に、過去5年以内に同じ税目で無申告加算税や重加算税を課されたことがあると、さらに10%が加算されます(国税通則法66条6項)。

延滞税は日数で増える:2026年の割合と計算例

延滞税は、法定納期限の翌日から納めた日までの日数に応じてかかる利息のような税です。2026年1月1日から12月31日までの期間の割合は、次のとおりです。

  • 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.8%
  • それより後:年9.1%

期限後申告の場合、申告書を出した日がその税の納期限になります(国税通則法35条2項)。つまり、法定納期限の翌日から「申告書を出した日の2か月後」までは2.8%で、出したのに納めずにいるとそこから9.1%に上がります。割合は年ごとに見直されるので、2027年以降の期間は国税庁のNo.9205で確かめてください。

筆者の計算例(相続税額500万円、調査の通知前に期限後申告、2026年中の期間で考える。端数処理は省略)

場面 無申告加算税 延滞税 本税以外の合計
期限から92日後に自主的に申告し、同じ日に納付 500万円×5%=25万円 500万円×2.8%×92日÷365日≒3万5,288円 約28万5千円
調査を受けてから申告した(加算税だけ比べる) 50万円×15%+250万円×20%+200万円×30%=117万5千円 日数に応じて別にかかる 117万5千円+延滞税

検算:50万円+250万円+200万円=500万円で区分の合計が税額と一致します。7万5千円+50万円+60万円=117万5千円です。同じ税額でも、自分から動いたかどうかで加算税だけで90万円以上の差が出る計算です。

期限後申告でも特例は使える?使えなくなる場面

「期限を過ぎたら特例が全部使えなくなる」と考えて申告をあきらめる人がいますが、条文はそうなっていません。

特例・制度 期限後申告での扱い 注意
配偶者の税額の軽減 期限後申告書・修正申告書でも、適用を受ける旨と明細を記載し書類を添付すれば対象(相続税法19条の2第3項) 財産を隠したり偽ったりした部分は、調査を予知した後の申告では軽減の計算から外される(同条5項)
小規模宅地等の特例 期限後申告書・修正申告書でも、記載と明細書などの添付があれば対象(租税特別措置法69条の4第7項) 分割がまとまっていない宅地は対象外。3年の猶予は申告期限から数える
延納・物納 申請は納期限まで(期限後申告では申告書を出した日) 申告書と同じ日までに申請書と担保の書類を用意する必要がある

注意したいのは、未分割の財産に特例を後から使うための「申告期限から3年以内」という期間は、申告が遅れても延びない点です。期限を過ぎて何もしないまま分割協議も止まっていると、この3年が過ぎて特例を使えなくなるおそれがあります。分割が済んでいない場合の申告の手順は遺産分割がまとまらない時の相続税の申告で扱います。

申告していないと気づいたときに、今から動く順番

税務署は、相続税の申告をしていない人への調査も行っています。国税庁の公表では、2024事務年度(令和6事務年度)に無申告の事案へ650件の実地調査を行い、追徴税額は142億円でした。調査の流れは相続税の税務調査で整理しています。気づいた時点で次の順に進めると、加算税が軽い段階で済みます。

  1. 申告が要るかを判定する:財産の合計と基礎控除を比べます。家族名義の預金も、亡くなった人がお金を出していれば財産に含めます。
  2. 財産と書類を集める:残高証明書、固定資産税の課税明細書、戸籍などを取り寄せます。添付書類の一覧は相続税の申告の必要書類にあります。
  3. 期限後申告書を作る:様式は期限内の申告書と同じで、亡くなった年分の様式を使います。
  4. 提出した日に納める:延滞税の2.8%の期間内に納付まで済ませます。現金で一度に払えないなら、同じ日までに延納の申請を準備します。
  5. 調査の通知が来ているなら、早めに税理士へ:通知の後でも、指摘される前に出せば割合は下がります。

申告しないまま時間がたつと「時効」で消えるのでは、と考える人もいます。税務署が税額を決められる期間は原則5年ですが、偽りその他不正の行為があれば7年です。数え方と待つことの危うさは次の相続税の時効は5年・7年?で詳しく扱います。

期限後申告は、財産の評価や特例の要件を短期間でまとめる必要があります。自分で進めるのが難しい場合は、相続税を扱う税理士に頼む選択肢があり、紹介サービスで探す方法もあります。依頼するときは、期限後であることと調査の通知の有無を最初に伝え、報酬と着手までの日数を見積書で確かめてください。

「相続税 申告 しないとどうなる」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。

よくある質問

Q. 遺産分割がまとまらず、期限に間に合いそうにありません。申告を待ってもいいですか?

待つ理由にはなりません。分割がまとまっていなくても、法定相続分などで財産を取得したものとして期限内に申告と納税をします。期限は延びません。分割が決まった後に修正申告や更正の請求で直し、申告期限から3年以内に分割できれば配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を後から使える仕組みです。

Q. 延滞税はいつまでかかり続けますか?

法定納期限の翌日から、税金を全部納めた日までの日数に応じてかかります。期限後申告書を出しても、納めるまでは止まりません。期限後申告の場合、申告書を出した日が納期限になるので、提出と同じ日に納めるのが延滞税を増やさない方法です。

Q. 税務署から「相続税についてのお尋ね」が届きました。もう調査を受けたことになりますか?

お尋ねは、申告が要るかを確かめるための文書で、調査の事前通知とは別のものです。国税庁の申告要否判定コーナーで回答書を作れます。財産が基礎控除を超えるなら、回答とあわせて期限後申告を早めに準備すると、加算税が軽い段階で済みます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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