養子は法定相続人になる?実子との割合の違いと相続税の数え方
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養子は法定相続人になります。養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得する(民法809条)ため、実子と同じ第1順位の「子」として相続人になり、相続分も実子と同じです。 一方、相続税の計算では、基礎控除などに数える養子の人数が「実子がいれば1人、いなければ2人まで」に限られます。この記事では、民法で決まる「相続人になるか・取り分はいくらか」と、税法で決まる「相続税で何人と数えるか」を分けて整理します。
養子は法定相続人になる:相続分は実子と同じ
民法では、被相続人の子は相続人になると定められており(887条1項)、養子もこの「子」に含まれます。子どうしの相続分を定める900条4号には、実子と養子を区別する定めがありません。そのため、子が何人いても、実子・養子を問わず人数で等分します。
| 項目 | 民法(相続人と相続分) | 相続税法(税の計算) |
|---|---|---|
| 養子は相続人になるか | なる(第1順位の子) | 民法の相続人であることは変わらない |
| 養子の人数の上限 | なし | 基礎控除などで数えるのは実子ありで1人、なしで2人まで |
| 取り分 | 実子と同じ | 取得した財産に応じて税を負担 |
| 根拠 | 809条・887条・900条 | 相続税法15条2項・63条 |
筆者の計算例で、相続人が配偶者・実子1人・養子2人の場合を見ます。配偶者が2分の1、子の3人で残りの2分の1を等分するので、実子も養子も各6分の1です(1/2÷3=1/6。配偶者1/2+子3人×1/6=1)。
養子がいると、ほかの子の取り分は人数が増える分だけ小さくなります。遺言で特定の人に多く残す場合に問題になる最低限の取り分(遺留分)も、法定相続分をもとに計算するため同じように変わります。遺留分の考え方は遺留分とは:割合・請求できる人・期限で整理しています。
普通養子と特別養子:実の親の相続人になるかの違い
養子縁組には、届出でできる普通養子縁組と、家庭裁判所の審判で成立する特別養子縁組の2種類があります。相続で大きく違うのは、実の親との関係です。
| 項目 | 普通養子 | 特別養子 |
|---|---|---|
| 成立のしかた | 市区町村への届出 | 家庭裁判所が成立させる(民法817条の2) |
| 養親の相続人になるか | なる | なる |
| 実の親の相続人になるか | なる(実の親との親子関係は続く) | ならない(実方との親族関係が終わる。817条の9) |
普通養子縁組には、実の親との親族関係を終わらせる定めがありません。そのため普通養子は、養親が亡くなったときと実の親が亡くなったときの両方で相続人になります。「養子に出たから実家の相続には関係ない」と思い込んで手続きから外すと、遺産分割がやり直しになるおそれがあります。
孫養子・養子の子・連れ子:相続人になる人の線引き
養子をめぐっては、「孫」や「連れ子」が相続人になるかで迷う人が多くいます。分かれ目は、縁組をしているかと、縁組の前後のどちらに生まれたかです。
- 孫を養子にした(孫養子):孫は養子として子の立場で相続人になります。孫の親(被相続人の子)が生きていても、孫養子は自分の相続分を受け取ります。
- 養子の子(縁組の後に生まれた):養子と養親の血族の親族関係は縁組の日から生じる(727条)ので、縁組の後に生まれた養子の子は被相続人の孫です。養子が先に亡くなっていれば、代わりに相続します(代襲相続、887条2項)。
- 養子の子(縁組の前に生まれた):被相続人の直系卑属に当たらないため、887条2項ただし書により代わりに相続しません。家族ごとの事情は戸籍で確かめます。
- 配偶者の連れ子:縁組をしていなければ相続人ではありません。再婚家庭の相続の整理は再婚家庭の相続:連れ子・前妻の子・兄弟の権利で扱っています。
孫が法定相続人になるのは、孫養子になっているときか、子が先に亡くなっていて代わりに相続するときの2つです。子が健在で、孫が養子にもなっていなければ、孫は法定相続人ではありません。後者の代襲相続は、子が相続開始以前に亡くなっている場合(欠格・廃除で相続権を失った場合を含む)の話で、子が相続放棄をしても孫は代わりに相続できません。代襲相続の範囲は代襲相続とは:孫・甥姪が相続人になる範囲にまとめています。
| 立場 | 相続人になるか | 理由 |
|---|---|---|
| 普通養子・特別養子 | なる | 子として扱われる(809条・887条) |
| 孫養子 | なる | 養子として子の立場 |
| 縁組後に生まれた養子の子 | 養子が先に亡くなっていればなる | 直系卑属に当たる |
| 縁組前に生まれた養子の子 | ならない | 直系卑属に当たらない(887条2項ただし書) |
| 縁組していない連れ子 | ならない | 親子関係がない |
相続税の基礎控除で数える養子の人数
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(国税庁 No.4152)。この「法定相続人の数」に入れる養子は、相続税法15条2項で次のとおり限られています(国税庁 No.4170)。
| 被相続人に実子がいるか | 数えられる養子の人数 |
|---|---|
| 実子がいる | 1人まで |
| 実子がいない | 2人まで |
この人数の制限は、基礎控除のほか、死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)、相続税の総額の計算にもかかります。次の人は養子であっても実子とみなされ、制限の対象になりません。
- 特別養子縁組による養子
- 配偶者の実子で、被相続人の養子になった人
- 被相続人との結婚の前に、配偶者が特別養子縁組で養子にしていた人で、結婚の後に被相続人の養子になった人
- 代わりに相続する人(代襲相続人)になった直系卑属
筆者の計算例で、相続人が配偶者・実子2人・普通養子2人(いずれも上の例外に当たらない)の場合を見ます。民法上の相続人は5人ですが、税で数える法定相続人は配偶者1人+実子2人+養子1人=4人です。基礎控除は3,000万円+600万円×4=5,400万円、死亡保険金の非課税限度額は500万円×4=2,000万円になります(養子2人とも数えれば6,000万円・2,500万円になる計算ですが、そうは扱われません)。
あわせて、孫養子は代襲相続人でない限り、相続税額の2割加算の対象です(国税庁 No.4157)。また、相続税の負担を不当に減らす目的と認められる養子は、人数に入れない定めがあります(相続税法63条)。養子縁組と相続税の関係を詳しく知りたいときは相続税と養子縁組:基礎控除に数える人数の上限と相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定を見てください。
養子がいる相続で、手続きの前に確かめること
養子がいる家族の相続では、次の順に確かめると取り違えが起きにくくなります。
- 戸籍で縁組を確かめる:被相続人の出生から死亡までの戸籍に、養子縁組・離縁の記載がないかを見ます。本人が知らない縁組や、過去に離縁した養子が見つかることがあります。
- 普通養子か特別養子かを確かめる:実の親の相続に関わるかどうかが変わります。
- 養子の子の生まれた日と縁組の日を比べる:養子が先に亡くなっている場合、その子が代わりに相続するかが決まります。
- 税で数える人数を別に出す:民法の相続人の数と、相続税で数える人数を並べて書いておくと混同しません。
- 税額の判断は税理士へ:養子の人数の扱い(63条に当たるかなど)を含め、相続税の個別の計算や申告の相談は税理士の仕事です(税理士法52条)。相談先の選び方は相続手続きの専門家の違いと頼み分けにまとめています。
相続人の中に連絡の取れない人がいて手続きが進まないときは、相続で兄弟と連絡取れない・行方不明のときの調べ方で住所の調べ方から順に示しています。
よくある質問
Q. 養子は何人まで法定相続人になれますか?
民法には養子の人数の上限がなく、縁組をした養子は全員が子として法定相続人になります。人数の上限があるのは相続税の計算で、基礎控除などに数える養子が実子ありで1人、実子なしで2人までに限られます。相続人になれる人数と、税の計算で数える人数は別の話です。
Q. 養子に出た子は、実の親の相続人にもなれますか?
普通養子縁組なら、実の親との親子関係は続くため、養親と実親の両方の相続人になります。特別養子縁組では実の親やその親族との関係が終わる(民法817条の9)ため、実の親の相続人にはなりません。どちらの縁組かは戸籍の記載で確かめます。
Q. 孫を養子にすると、相続税は安くなりますか?
孫養子は基礎控除などで数える人数に入る一方、代わりに相続する孫(代襲相続人)でない限り、相続税額が2割加算される対象になります。税負担を不当に減らす目的と認められる養子は人数に入れない規定(相続税法63条)もあります。損得は家族ごとの財産と人数で変わるので、税理士に試算を頼む場面です。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第727条・第809条・第817条の9・第887条・第900条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相続税法 第15条・第63条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.4170 相続人の中に養子がいるとき(国税庁タックスアンサー)(国税庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁タックスアンサー)(国税庁)
- No.4157 相続税額の2割加算(国税庁タックスアンサー)(国税庁)
- No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金(国税庁タックスアンサー)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。