遺産1億円の相続税はいくら?家族構成別の計算例と特例の影響
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遺産1億円の相続税は、配偶者と子2人なら相続税の総額は630万円で、配偶者が法定相続分(2分の1)を取得して配偶者の税額の軽減を使えば、子2人が納める合計は315万円です。配偶者がいなくて子2人なら770万円、子1人なら1,220万円になります。ここでいう1億円は、借入金や葬式費用を引いた後で、基礎控除を引く前の「課税価格の合計」です。数字はすべて国税庁の計算式(No.4152・No.4155)で筆者が計算したもので、断りのない限り小規模宅地等の特例や生前贈与の加算は考えていません。
遺産1億円の相続税はいくら:家族構成別の一覧
| 相続人 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 相続税の総額 | 配偶者が法定相続分を取得したときの納める額の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 配偶者+子1人 | 4,200万円 | 5,800万円 | 770万円 | 385万円 |
| 配偶者+子2人 | 4,800万円 | 5,200万円 | 630万円 | 315万円 |
| 配偶者+子3人 | 5,400万円 | 4,600万円 | 524万9,800円 | 約262万円 |
| 子2人(配偶者なし) | 4,200万円 | 5,800万円 | 770万円 | ― |
| 子1人(配偶者なし) | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,220万円 | ― |
| 配偶者のみ | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,220万円 | 0円(軽減で全額) |
配偶者がいる行の右端は、配偶者が2分の1を取得し、配偶者の分の税額が軽減で0円になった後の、子の納める額の合計です。相続人が配偶者だけなら、1億円は1億6,000万円以下なので全額が軽減され0円になります。
配偶者と子2人の計算例:検算つき
代表的な形として、配偶者と子2人で遺産1億円の計算を一歩ずつ示します(筆者の計算)。
- 基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 課税遺産総額:1億円−4,800万円=5,200万円
- 法定相続分で分ける:配偶者2,600万円(2分の1)、子は1,300万円ずつ(4分の1ずつ)
- 速算表を当てはめる:配偶者 2,600万円×15%−50万円=340万円、子 1,300万円×15%−50万円=145万円ずつ
- 相続税の総額:340万+145万+145万=630万円
検算として、速算表を使わず段ごとに分けて計算しました。2,600万円は「1,000万円×10%=100万円」と「1,600万円×15%=240万円」で340万円、1,300万円は「100万円+300万円×15%=45万円」で145万円となり、速算表の答えと一致します。
総額630万円を誰が負担するかは、実際の分け方で決まります。
| 分け方 | 配偶者の取得 | 配偶者の税額(軽減後) | 子2人の納める額の合計 |
|---|---|---|---|
| 配偶者がすべて取得 | 1億円 | 0円 | 0円 |
| 法定相続分どおり | 5,000万円 | 0円 | 315万円 |
| 配偶者4分の1 | 2,500万円 | 0円 | 472.5万円 |
| 子2人がすべて取得 | 0円 | ― | 630万円 |
配偶者の取得額は、どの行でも1億6,000万円以下なので、配偶者に配られた税額はすべて軽減されます。軽減を使うには、申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)までに分け方を決めて申告するのが原則です。配偶者の税額の軽減の要件と、期限までに分けられなかったときの扱いは相続税の配偶者控除:1億6,000万円の軽減と二次相続での注意で扱います。
特例で1億円の相続税はどこまで変わるか
1億円の中に自宅の土地がある場合、小規模宅地等の特例が使えるかどうかで結果が大きく変わります。特定居住用の宅地は330㎡まで評価額が80%減ります。
筆者の計算例として、1億円のうち自宅の土地の評価額が3,000万円(330㎡以内)で、配偶者がその土地を相続し特例を使う場合を考えます。土地の評価は3,000万円×20%=600万円になり、課税価格の合計は7,600万円です。配偶者と子2人なら、課税遺産総額2,800万円を分けて、配偶者1,400万円×15%−50万円=160万円、子は700万円×10%=70万円ずつ、総額は300万円になります。特例なしの630万円から330万円下がる計算です。
| 前提(配偶者+子2人) | 課税価格の合計 | 相続税の総額 |
|---|---|---|
| 特例なし | 1億円 | 630万円 |
| 自宅の土地3,000万円に小規模宅地等の特例 | 7,600万円 | 300万円 |
特例を使えるのは、配偶者、相続開始の直前から申告期限まで住み続ける同居の親族、持ち家のない親族(いわゆる家なき子)など、要件を満たす人が取得した場合に限られます。申告期限前に売ると同居の親族は使えないなど、外れやすい点もあります。要件の全体は小規模宅地等の特例:自宅の土地の評価が80%減る要件で確かめてください。
二次相続まで入れると、1億円の答えは変わる
配偶者が多く取得するほど、その回の税額は小さくなります。ただ、配偶者が亡くなった後の相続(二次相続)では、配偶者の軽減も配偶者の分の基礎控除もなくなります。筆者の計算で、配偶者に自分の財産がなく、一次相続で取得した財産がそのまま二次相続で子2人に渡ると仮定した場合の合計は次のとおりです(相次相続控除などは考えていません)。
| 一次相続での配偶者の取得 | 一次相続で子が納める額 | 二次相続(子2人)の税額 | 2回の合計 |
|---|---|---|---|
| 1億円(全部) | 0円 | 770万円 | 770万円 |
| 5,000万円(2分の1) | 315万円 | 80万円 | 395万円 |
| 0円 | 630万円 | 0円 | 630万円 |
この前提では、法定相続分どおりの分け方が2回の合計でいちばん小さくなります。家族の財産が違うと結果が変わります。実際には配偶者の手持ちの財産、生活費、年齢で答えが変わるので、2回分を並べて考える順番は二次相続とは?2回目の相続で税金が増える理由にまとめています。ほかの遺産額の目安は相続税の早見表:遺産額と相続人の組み合わせ別で見比べられます。
兄弟姉妹や孫が受け取ると税額は上がる
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合や、遺言で孫に財産を渡す場合は、受け取った兄弟姉妹・孫の税額に2割が加算されます(No.4157)。たとえば配偶者と兄弟姉妹2人で遺産1億円なら、基礎控除は4,800万円で、法定相続分(配偶者4分の3・兄弟姉妹8分の1ずつ)で計算した総額は710万円です(筆者の計算)。配偶者が全部を取得すれば軽減で0円ですが、兄弟姉妹が取得した分には2割加算が付きます。対象になる人とならない人の線引きは相続税の2割加算とは:孫・兄弟姉妹・甥姪が対象になる理由で説明します。
この記事の数字は、仕組みを示すための例です。自分の家の財産の評価や特例の当てはめを含む税額の計算は、税理士の業務です。
「相続税 1億円」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。
よくある質問
Q. 遺産1億円でも相続税が0円になることはありますか?
あります。相続人が配偶者だけの場合や、配偶者が遺産の全部を取得する場合は、配偶者の税額の軽減(1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い額まで)で0円になります。自宅の土地に小規模宅地等の特例が使える場合も、課税価格そのものが下がります。どちらも申告書を出すことが条件で、何もしないと0円にはなりません。
Q. 1億円の遺産のうち不動産が多く、現金で払えない場合はどうなりますか?
相続税は申告期限までに金銭で一括して納めるのが原則です。納めにくい場合は、要件を満たせば延納(分割払い)を申請でき、それでも難しい場合に物納という制度があります。相続した不動産を売って納める方法もあり、比べ方は「相続税が払えない場合の選択肢:延納・物納・売却の比べ方」で扱います。
出典・参考にした公的な情報
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- No.4155 相続税の税率(国税庁)
- No.4158 配偶者の税額の軽減(国税庁)
- No.4157 相続税額の2割加算(国税庁)
- No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(国税庁)
- No.4211 相続税の延納(国税庁)
- No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。