相続税と申告 / 手順

相続する土地の評価額の調べ方:路線価図の読み方と計算の手順

この記事のもくじ
  1. 手順1:路線価地域か倍率地域かを見分ける
  2. 手順2:路線価図の読み方
  3. 手順3:補正率を当てて計算する(筆者の計算例)
  4. 手順4:倍率地域の計算と、固定資産税評価額の調べ方
  5. 土地の評価で集める書類

相続する土地の評価額は、**路線価地域なら「路線価×補正率×面積」、倍率地域なら「固定資産税評価額×倍率」**で計算します。どちらの地域かは、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、亡くなった年の分を開けば分かります。路線価は1平方メートル当たりの千円単位の価額で、そのまま面積を掛けるのではなく、土地の奥行き・間口・角地かどうかに応じた補正率を掛けます。この記事では、地域の見分け方、路線価図の読み方、補正率の当て方を、国税庁の調整率表と筆者の計算例で順番に示します。

手順1:路線価地域か倍率地域かを見分ける

  1. 財産評価基準書のサイトを開き、年分を選ぶ:亡くなった年の分を選びます。2026年に亡くなった人なら令和8年分で、令和8年分は2026年7月1日に公開されました。
  2. 都道府県と市区町村を選ぶ:「路線価図」か「評価倍率表」を選べます。迷ったら評価倍率表から見ます。
  3. 評価倍率表で町名を探す:「適用地域名」欄が「全域」なら、その町名の全域が路線価地域か倍率地域のどちらかです。「一部」や「路線価地域」とあれば両方が混ざっているので、路線価図で土地の場所を確かめます。
  4. 「宅地」欄を見る:倍率が書かれていれば倍率地域、「路線」とあれば路線価地域です。

国税庁の報道発表によると、市街地的な形態の地域を路線価地域、それ以外を倍率地域とするのが原則です。相続税の申告に使う前には、サイトの「正誤表」も確かめます。

手順2:路線価図の読み方

路線価図は、上の説明部分と下の地図部分でできています。地図の道路に書かれた「200D」のような表示が路線価です。

早見表:路線価図の表示の読み方
表示 意味
数字(例:200) 道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額。千円単位なので200は20万円
数字の右のアルファベット(A〜G) 借地権割合。A 90%、B 80%、C 70%、D 60%、E 50%、F 40%、G 30%
路線価に付く記号(黒塗り・斜線など) 地区区分(ビル街、高度商業、繁華街、普通商業・併用住宅、普通住宅、中小工場、大工場)。記号と地区の対応は路線価図の説明部分の一覧で確かめ、補正率の列を選ぶのに使う
丸囲みの数字 街区番号。「A町2丁目」と「⑫」ならA町2丁目12番
「倍率地域」の表示 その場所は倍率方式で評価する

借地権割合は、自宅の敷地のように自分で使っている土地(自用地)の評価には使いません。人に貸している土地や、借りている土地の権利を評価するときに使います。

手順3:補正率を当てて計算する(筆者の計算例)

国税庁のコード4604 の手順では、正面の路線価に奥行価格補正率を掛け、角地なら側方の路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率を足し、面積を掛けます。間口が狭い土地や細長い土地は、国税庁の評価明細書の順に、間口狭小補正率と奥行長大補正率も掛けます。

国税庁の「調整率表(平成31年1月分以降用)」から、自宅の多い普通住宅地区の率を抜き出すと次のとおりです。

補正率の種類 普通住宅地区の率(抜粋)
奥行価格補正率 奥行4m未満 0.90/4〜6m 0.92/6〜8m 0.95/8〜10m 0.97/10〜24m 1.00/24〜28m 0.97/28〜32m 0.95/32〜36m 0.93
側方路線影響加算率(角地) 0.03(準角地は0.02)
二方路線影響加算率(裏面にも道路) 0.02
間口狭小補正率 間口4m未満 0.90/4〜6m 0.94/6〜8m 0.97/8m以上 1.00
奥行長大補正率(奥行÷間口) 2以上3未満 0.98/3〜4 0.96/4〜5 0.94/5〜6 0.92

筆者の計算例1:普通住宅地区、路線価200D、間口10m・奥行18m・180㎡の長方形 間口狭小補正率は間口10mで1.00。奥行÷間口は1.8で2未満なので、奥行長大補正率は使いません。 200,000円 × 1.00(奥行18m)× 180㎡ = 36,000,000円

筆者の計算例2:同じ路線価で、間口8m・奥行30m・240㎡の細長い土地 200,000円 × 0.95(奥行30m)= 190,000円 190,000円 × 1.00(間口8m)× 0.96(奥行÷間口=3.75)= 182,400円 182,400円 × 240㎡ = 43,776,000円

筆者の計算例3:例1の土地が角地で、側方の道路が150D(側方から見た奥行10m。奥行10〜24mは1.00) 正面 200,000円 × 1.00 = 200,000円 側方 150,000円 × 1.00 × 0.03 = 4,500円 (200,000円+4,500円)× 180㎡ = 36,810,000円

いずれも地区区分を普通住宅地区とした例です。地区区分が違えば率の列が変わります。形がいびつな土地は不整形地補正率、がけ地を含む土地はがけ地補正率、面積の大きな土地(三大都市圏で500㎡以上など)は規模格差補正率(コード4609)を使う場合があり、当てはめで額が大きく変わります。国税庁は「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を公開しており、欄の順に埋めると計算の抜けを防げます。

手順4:倍率地域の計算と、固定資産税評価額の調べ方

倍率地域の宅地は、固定資産税評価額に評価倍率表の倍率を掛けます(コード4606)。

筆者の計算例4:宅地の固定資産税評価額が800万円、評価倍率表の「宅地」欄が1.1 8,000,000円 × 1.1 = 8,800,000円

田・畑・山林は、評価倍率表の欄に「純」「中」などの分類と倍率が書かれています。「比準」「市比準」「周比準」とある地域は、近くの宅地の価額に比べて評価する方式(宅地比準方式)で、倍率を掛けるだけでは出ません。

固定資産税評価額は、毎年届く固定資産税の納税通知書の課税明細書か、市区町村(東京23区は都税事務所)で取る評価証明書で確かめます。

土地の評価で集める書類

  • 路線価図・評価倍率表(亡くなった年の分を印刷)
  • 登記事項証明書(所在・地番・地目・地積を確かめる。法務局)
  • 公図・地積測量図(間口・奥行・形を測る手がかり。法務局)
  • 固定資産税の課税明細書か評価証明書(倍率地域の計算と、建物の評価に使う)
  • 住宅地図や現地の写真(角地か、道路に面する長さ)

形のよい自宅の土地なら、ここまでで概算が出せます。概算を基礎控除の判定に使う方法は相続する不動産の評価方法で、自宅の土地の評価を減らす特例は小規模宅地等の特例の要件で確かめてください。土地のほかに株を相続する場合の評価は相続した株の評価額で扱います。

不整形地・角地・貸している土地・複数の土地があり、補正率の当てはめや特例の判断を任せたい家は、税理士に頼む選択肢があります。紹介サービスを使う場合、紹介先が登録税理士かは税理士紹介サービスを使う前に確かめる4つの点で確かめ、見積もりでは評価の範囲を確かめてください。

「相続 土地 評価額」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。

よくある質問

Q. 相続する土地の評価額は固定資産税評価額と同じですか?

同じではありません。倍率地域の土地は固定資産税評価額に倍率を掛けた額、路線価地域の土地は路線価から計算した額になります。固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になるのは建物です。

Q. 家の前の道路に路線価が書かれていないときはどうしますか?

路線価地域なのに接している道路に路線価がない場合は、税務署に特定路線価の設定を申し出る手続きがあります。国税庁の路線価図の説明のページから、特定路線価設定申出書の手続の案内を開けます。倍率地域の土地なら、路線価ではなく評価倍率表を使います。

Q. 何年分の路線価図を見ればよいですか?

亡くなった年の分を使います。2026年に亡くなった人の土地なら令和8年分です。財産評価基準書のサイトでは、平成30年分から令和8年分までの路線価図などを見られます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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