昔の相続も相続登記の義務化の対象?過去分の期限2027年3月31日
この記事のもくじ
はい、昔の相続も相続登記の義務化の対象です。義務化が始まった2024年(令和6年)4月1日より前に亡くなった親や祖父母の名義のまま残っている不動産も、登記をする義務があります。期限は、施行前に相続と不動産の取得を知っていた場合は2027年(令和9年)3月31日まで、施行後に初めて知った場合はその日から3年以内です。2026年10月時点で2027年3月31日までは約5か月なので、相続人が多い家は今から動き出す時期です。
Q. 何十年も前の相続でも、相続登記の義務化の対象になりますか?
対象になります。法務省は、2024年4月1日より前に開始した相続でも、相続登記がされていない不動産は義務化の対象だと説明しています。亡くなったのが10年前でも50年前でも同じで、「施行前の相続だから関係ない」という扱いはありません。
義務がかかるのは、相続でその不動産の所有権を取得した人です。遺産分割がまだなら、相続人全員が法定相続分で共有している状態として、全員に義務があります。名義が祖父のままで、祖父の相続人(父やおじ・おば)もすでに亡くなっているなら、今生きているその相続人たちが義務を負う立場になります。
義務の中身・過料の流れ・相談先の全体は、正本の相続登記の義務化:期限3年・過料10万円以下・相続人申告登記で扱っています。この記事では「過去分」に絞って答えます。
Q. 過去分の期限はいつまで?起算日はどう考えますか?
期限は、その不動産を相続で取得したといつ知ったかで分かれます。2024年4月1日より前から知っていたなら2027年3月31日まで、2024年4月1日以後に初めて知ったなら、その日から3年以内です。法務省はこれを「最短で令和9年3月31日」と表現しています。
| 状況 | 期限 |
|---|---|
| 2010年に父が死亡。実家が父名義と当時から知っていた | 2027年3月31日 |
| 2023年に母が死亡。遺産分割はまだ | 2027年3月31日(分割がまとまったら、さらに分割の日から3年) |
| 2015年に父が死亡。2025年6月に父名義の山林があると初めて知った | 2025年6月のその日から3年(2028年6月) |
| 2024年5月に父が死亡し、すぐに実家の取得を知った | 知った日から3年(2027年5月)※過去分ではない |
「知った日」は、亡くなったことと、その特定の不動産を取得したことの両方を知った日です。法務省のQ&Aは、相続財産に不動産があることを知らない間は義務が生じない、と説明しています。そのため、ずっと前の相続でも、存在を知らなかった土地は知った日から数えます。ただし「知らなかった」ことを後から説明できるよう、いつ何で知ったか(届いた書類や通知の日付)を記録しておきます。
Q. 祖父母の名義のままの家や、場所の分からない土地はどうしますか?
祖父の名義の家を、祖父の相続人だった父も亡くなった後に登記する場合は、数次相続として扱います。祖父から父、父から今の相続人へと、相続が重なった順に整理するのが基本で、条件によっては途中の登記を省いて一度で申請できる場合もあります。順番と書類は数次相続の相続登記:祖父名義の家を登記する順番と中間省略で確かめてください。
数次相続には、税の負担を軽くする措置があります。相続で土地を取得した人が登記をしないまま亡くなった場合、その人の名義にする登記は、2027年3月31日までなら登録免許税がかかりません。価額が100万円以下の土地の相続登記も同じ期限まで免税です(租税特別措置法84条の2の2)。どちらも申請書に根拠の条文を書かないと免税にならず、建物は対象外です。
親や祖父母がどこに不動産を持っていたか分からないときは、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度が使えます。相続人が請求すると、亡くなった人が登記名義人になっている不動産の一覧を法務局が証明します。手数料は書面の請求で検索条件1件につき1,600円です。ただし、登記簿の住所が古いままだと検索に引っかからないことがあるので、過去の住所でも検索し、登記のない建物は市区町村の名寄帳で補います。山林のように場所が分かりにくい土地の調べ方は山林の相続登記:義務化の対象・場所が分からない時の調べ方へ。
Q. 2027年3月31日までに間に合わないときは?
遺産分割がまとまらない、相続人が多くて協議書の実印がそろわない、というときでも、期限内にできることがあります。
- 相続人申告登記をする:自分が相続人だと登記官に申し出ると、申し出た人は義務を果たしたことになります。登録免許税はかからず、ほかの相続人の分をまとめて代理で申し出ることもできます。手順は相続人申告登記とは:遺産分割がまとまらない時の義務の果たし方へ。
- 事情を記録しておく:相続人が極めて多く戸籍集めに時間がかかっている、遺言の有効性が争われている、といった事情は、法務省が正当な理由の例として挙げています。催告を受けたときに説明できるよう、経過を残します。詳しくは相続登記の義務化の正当な理由とは:過料が科されない場合と催告へ。
- 期限後も止めない:期限を過ぎても、すぐに過料になるわけではありません。登記官の催告があり、それでも申請しない場合に裁判所へ通知されるしくみなので、気づいた時点で申請を進めます。
残りの約5か月の使い方は、次のように逆算すると無理がありません(筆者の目安。相続人の数で前後します)。
- 11月:登記事項証明書と名寄帳で対象の不動産と今の名義を確かめ、戸籍の請求を始める
- 12月〜1月:戸籍をそろえて相続人を確定し、遺産分割の話し合いを始める。相続人が多いなら法定相続情報一覧図を作る
- 2月:協議書の実印と印鑑証明書を集める。まとまらない見込みなら、この時点で相続人申告登記に切り替える
- 3月:相続登記か相続人申告登記を申請する。郵送なら法務局に届くまでの日数も見込む
相続人申告登記はあくまで義務を果たすための方法で、売却や抵当権の設定には相続登記が要ります。売る予定があるなら、期限を意識しつつ遺産分割と相続登記まで進めるほうが近道です。
戸籍が何代にもわたり、自分で集めるのが難しいときは、戸籍の収集から登記までをまとめて頼む選択肢もあります。
施行前の相続は期限が2027年3月31日に決まっているので、頼むときは、完了の見込みがそれに間に合うかを先に聞き、数次相続の戸籍集めと免税の適用まで見てもらえるかも確かめます。自分で進める場合の流れは相続登記とは?義務化の期限3年・必要書類・自分でやる手順の全体にあります。
よくある質問
Q. 2027年3月31日の期限は、さらに延びることはありますか?
法務省の説明では、施行前に相続を知っていた不動産の期限は2027年3月31日です。延長が決まったという発表はないので、この日を前提に準備します。間に合いそうにないときは、相続人申告登記で義務を果たす方法があります。
Q. 親が亡くなったのは2023年ですが、遺産分割がまだです。期限はいつですか?
2024年4月1日より前に相続と不動産の取得を知っていたなら、期限は2027年3月31日です。その後に遺産分割がまとまって取得したときは、分割の日から3年以内に、分割の内容どおりの登記をする義務が別にかかります。
出典・参考にした公的な情報
- 相続登記の申請義務化について(法務省)(法務省)
- 相続登記の申請義務化に関するQ&A(法務省・令和7年3月27日更新)(法務省)
- 相続登記が義務化されました(法務省特設ページ)(法務省)
- 不動産登記法 第76条の2・第76条の3・第119条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 所有不動産記録証明制度について(法務省)(法務省)
- 租税特別措置法 第84条の2の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相続登記の登録免許税の免税措置について(法務局)(法務局)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。