相続登記と名義変更 / 基本ガイド

相続登記とは?義務化の期限3年・必要書類・自分でやる手順の全体

この記事のもくじ
  1. 相続登記とは:不動産の名義を相続人に変える手続き
  2. 相続登記の義務化:期限3年と過料のしくみ
  3. 相続登記の必要書類:遺産分割で取得した場合の一覧
  4. 相続登記を自分でする5つの手順と、司法書士に頼む場合
  5. ケース別に確かめる事情と、登記の後に続く手続き
  6. 相続登記の費用:登録免許税と司法書士報酬の目安

相続登記とは、亡くなった人(被相続人)の名義になっている土地や建物を、相続した人の名義に変える登記です。2024年4月1日から義務になり、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請します。必要書類は戸籍の証明書・遺産分割協議書・住民票などで、法務局の記載例を使えば自分で申請することもできます。この記事で全体を通しで見て、詳しいことはテーマごとの記事に渡します。

相続登記とは:不動産の名義を相続人に変える手続き

不動産の持ち主は、法務局の登記簿に記録されています。持ち主が亡くなっても、登記簿の名義はひとりでに変わらず、相続人が法務局に申請して初めて名義が移ります。これが相続登記で、法律上は「相続を原因とする所有権移転の登記」と呼ばれます。

相続登記は、不動産を取得した相続人が単独で申請できると不動産登記法63条2項に定められています。売買のように売主と買主の両方がそろう必要はありません。亡くなった人の権利証(登記識別情報)がなくても申請の妨げにはなりにくく、見つからないときの考え方は相続登記に権利証はいる?なくても申請できる理由と登記識別情報にあります。

相続登記が要るのは、土地・一戸建て・マンションのほか、山林や農地、親が持っていた共有持分も同じです。親の不動産が全部でいくつあるか分からないときは、先に相続登記の前に名寄帳で親の不動産を漏れなく調べる取り方で洗い出します。2026年2月からは、亡くなった人が登記名義人になっている不動産の一覧を法務局で証明してもらう「所有不動産記録証明制度」も始まっています。

相続登記の義務化:期限3年と過料のしくみ

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記は義務になりました。義務の中身は不動産登記法76条の2にあり、法務省のQ&Aでは次のように整理されています。

場面 申請の期限
相続で不動産を取得した 相続の開始と、不動産の取得を知った日から3年以内
法定相続分で登記した後に遺産分割がまとまった 遺産分割の日から3年以内
2024年4月1日より前に相続を知っていた不動産 2027年3月31日まで

期限は「亡くなった日から3年」ではなく、相続の開始と取得の両方を知った日から3年です。正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料は刑事罰の罰金ではなく、登記官からの催告を経て裁判所が額を決めるしくみです。起算日や過料までの流れは、サイトの正本である相続登記の義務化:期限3年・過料10万円以下・相続人申告登記で詳しく扱います。

昔の相続で名義が祖父母や親のままの家も対象です。期限が近い人は昔の相続も相続登記の義務化の対象?過去分の期限2027年3月31日を先に読んでください。遺産分割がまとまらず3年に間に合いそうにないときは、相続人申告登記とは:遺産分割がまとまらない時の義務の果たし方という簡易な方法で義務を果たせます。

相続登記の必要書類:遺産分割で取得した場合の一覧

いちばん多い「遺産分割協議で1人が家を取得した」場合の書類を、法務局の登記手続ハンドブック(遺産分割協議編・2026年4月版)に沿って並べます。遺言がある場合や法定相続分で登記する場合は書類が変わるので、相続登記の必要書類:遺言・遺産分割・法定相続分の場合別の一覧で確かめてください。

早見表:相続登記(遺産分割)の書類と取る場所
書類 何のためか 取る場所
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍の証明書 死亡の事実と、ほかに相続人がいないことの証明 本籍のある市区町村(親子・配偶者なら本籍地以外の窓口でも請求できる)
相続人全員の戸籍の証明書(死亡日以後に発行されたもの) 協議の時点で相続人であることの証明 各相続人の本籍地の市区町村
亡くなった人の住民票の除票か戸籍の附票 登記簿の住所と本籍が違うときに、同じ人だと示す 市区町村
遺産分割協議書(相続人全員が実印で押印) 誰が取得したかの証明 相続人が作る
申請人以外の相続人の印鑑証明書 実印の証明(発行から3か月以内という制限はない) 各相続人の住所地の市区町村
不動産を取得する人の住民票の写し 新しい名義人の住所の証明(住民票コードを書けば省略できる) 市区町村
固定資産課税明細書など 登録免許税を計算する価格(「価格」または「評価額」の欄)を知る 毎年の納税通知に同封/市区町村の評価証明書

戸籍の束は、法務局の「法定相続情報証明制度」で一覧図の写しにしておくと、相続登記だけでなく預金や相続税の手続きでも出し直しが減ります。一覧図は無料で交付されます。制度のしくみは法定相続情報証明制度とは:一覧図を無料で作り手続きを早くする方法、申出書の出し方は法定相続情報証明制度の必要書類と手続き:申出書と一覧図の書き方、作れない場合や使えない手続きは法定相続情報証明制度のデメリット:作れない場合と使えない手続きで確かめられます。

相続登記を自分でする5つの手順と、司法書士に頼む場合

法務局のハンドブックは、遺産分割による相続登記を次の5つのステップで説明しています。

  1. 戸籍の証明書を集める:亡くなった人の出生から死亡まで、さかのぼって集め、相続人を確定する。
  2. 遺産分割協議をして協議書を作る:誰が不動産を取得するかを決め、相続人全員が実印で押印する。書き方は遺産分割協議書の書き方とひな形:相続人の確定から署名押印までの全手順を参照。
  3. 登記申請書を作る:法務局のホームページの様式と記載例を使う。2026年10月5日以降に申請する場合は国籍等を申し出る新しい様式になっているので、古い様式を使わない。申請人の氏名のふりがな・生年月日・メールアドレスも書く。
  4. 不動産の所在地を管轄する法務局に出す:窓口に持参するか、書留郵便で送る。オンライン申請もできるが、戸籍は紙で発行されるため、書類は後から郵送か持参する形になり、オンラインだけでは完結しない。手順は相続登記のオンライン申請:申請用総合ソフトと書類の送り方を参照。
  5. 登記完了:登記完了証と登記識別情報通知書を受け取る。どちらも再発行はできないので保管する。

申請書は相続登記の申請書の書き方:法務局の記載例と課税価格の書き方、郵送のしかたは相続登記を郵送で申請する方法:遠方の法務局への送り方と返送、全体の流れは相続登記を自分でする手順:書類集めから法務局への申請までで詳しく扱います。法務局の登記手続案内(予約制)では書き方の説明を受けられ、予約のしかたは法務局の相続登記の相談:手続案内の予約方法と聞けることにあります。

自分でやるか頼むかの分かれ道は、相続人が配偶者と子だけで協議がまとまり、不動産が1〜2か所なら自分で申請しやすい、というのが目安です。祖父母の代から名義が残っている、相続人が多い、未登記の建物があるといった場合は書類が増えます。相続人どうしで争いがあるなら、登記の前に遺産分割の問題で、弁護士の領域です。登記の申請の代理と申請書の作成を仕事として受けられるのは、司法書士と弁護士です(司法書士法3条・73条)。判断の材料と頼むときの確かめ方は、相続登記は司法書士に頼むべき?自分でできる人と頼むべき人に整理しています。

ケース別に確かめる事情と、登記の後に続く手続き

自分の家の事情が標準から外れているときは、次のテーマ別の記事で確かめます。

期限との関係も気になるところです。放置するとどうなるかは相続登記をしないとどうなる?過料だけでない売却・融資・相続の不利益に、期限に間に合わない事情がある場合の「正当な理由」と催告の流れは相続登記の義務化の正当な理由とは:過料が科されない場合と催告にあります。

登記の後に続く手続きも、先に知っておくと二度手間を防げます。

相続登記の費用:登録免許税と司法書士報酬の目安

自分で申請しても、国に納める登録免許税がかかります。相続による所有権移転の税率は不動産の価額の0.4%(1000分の4)で、価額には固定資産課税台帳の価格を使います。

筆者の計算:固定資産評価額の合計が1,000万円の土地と建物なら、1,000万円×0.4%=4万円。

このほか戸籍や住民票の取得費、郵送費がかかります。2027年3月31日までは、価額が100万円以下の土地の相続登記などが免税になる措置があり(租税特別措置法84条の2の2)、申請書に根拠の条文を書かないと免税になりません。計算と免税の詳細は相続登記の登録免許税:計算方法と100万円以下の土地の免税へ。

司法書士の報酬は自由に決められ、公的な基準はありません。日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)では、土地1筆・建物1棟、評価額の合計1,000万円、相続人3人のうち1人が単独で相続する設例で、全回答の平均が74,888円でした。これは設例の条件での平均で、実際の額は不動産の数や戸籍の量で変わります。実費を含む総額の内訳は相続登記の費用:自分でする場合と司法書士に頼む場合の内訳に、報酬の決まり方と見積もりの比べ方は相続登記の司法書士費用:報酬の決まり方と見積もりの比べ方にあります。

代行サービスを選ぶときは、登記を担当するのが司法書士本人か、提携する事務所か、見積書で「どの手続を・どの資格者が・いくらで」行うかを確かめます。ほかの相続人との交渉が要る場合は、弁護士の領域です。書類作成を支えるwebサービスの範囲は相続登記のwebサービスとは:書類作成支援の範囲と司法書士との違いで確かめられます。相談先の違いは相続手続きの専門家の違い:弁護士・司法書士・税理士・行政書士の頼み分けを参照してください。

よくある質問

Q. 相続登記は相続人のうち1人だけで申請できますか?

相続による所有権移転の登記は、不動産を取得した相続人が単独で申請できると不動産登記法63条2項に定められています。売買のように売主と買主がそろって申請する形ではありません。ほかの相続人は遺産分割協議書への署名と実印、印鑑証明書で協力する分担が一般的です。

Q. 相続登記に期限を過ぎたら、すぐに10万円を払うことになりますか?

すぐに払うことにはなりません。法務省の説明では、登記官がまず申請するよう催告し、期間内に申請がなく正当な理由もないときに裁判所へ通知し、裁判所が10万円以下の範囲で過料を決めます。期限が近いのに遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記で義務を果たす方法があります。

Q. 相続登記をしたら、親の家の固定資産税の通知も自動で変わりますか?

固定資産税は、毎年1月1日に登記簿に所有者として載っている人に課税するのが原則です(地方税法343条・359条)。ただし名義人が1月1日より前に亡くなっているときは、その日に現に所有している人(相続人)が納税する人になると同じ条文に定められています。登記を済ませれば翌年度からは新しい名義人あてになります。登記前の届出は市区町村ごとに様式があるので、資産税の窓口で確かめます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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