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相続で司法書士に頼まないとどうなる?自分でやる手間と頼む場面

この記事のもくじ
  1. 司法書士に頼まないとどうなる:自分でできる範囲
  2. 自分でやるときの手間:5つの作業と時間がかかる所
  3. 頼んだほうがよい場面:数次相続・未登記・共有・遠方
  4. 司法書士にも頼まず、自分でも登記しないとどうなるか
  5. 一部だけ頼むという中間の選択肢

相続で司法書士に頼まなくても、相続した不動産の名義変更(相続登記)は、相続人が自分で申請できます。司法書士法が禁じているのは資格のない人が他人の依頼を受けて仕事として登記を扱うことで、本人が自分の登記をするのは対象外です。頼まない場合に変わるのは、戸籍集め・書類作成・法務局とのやりとりを自分でこなす手間です。ただし、相続が何代も重なっている、登記のない建物がある、共有にする人が多いといった場面では、頼むことで書類の抜けや順番の誤りを避けやすくなります。

司法書士に頼まないとどうなる:自分でできる範囲

司法書士法73条は、司法書士会に入会した司法書士・司法書士法人でない者が、3条1項の業務(登記の代理、法務局や裁判所に出す書類の作成など)を行うことを禁じています。ここでいう業務は「他人の依頼を受けて」行う仕事のことです。相続人が自分の権利のために自分で申請するのは、この制限の外にあります。

そのうえ、不動産登記法63条2項により、相続による権利の移転の登記は、登記を受ける相続人が単独で申請できます。売買のように売主と買主がそろって申請する必要はありません。

手続き 自分でできるか 主な窓口・道具
相続登記の申請 できる 法務局の申請書様式と記載例、登記手続ハンドブック
相続人申告登記(申請義務を果たす簡易な申出) できる。オンラインでも可 法務局、かんたん登記・供託申請
法定相続情報一覧図の写しの取得 できる。郵送でも可。交付は無料 法務局
相続放棄の申述 できる 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
建物の表題登記(未登記建物) 本人もできるが調査・図面が要る 土地家屋調査士の仕事の領域

自分でやるときの手間:5つの作業と時間がかかる所

本人申請の大まかな作業は次の5つです。手順の細部は相続登記を自分でする手順で順に説明しています。

  1. 戸籍を集める:被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍と、相続人の戸籍を集めます。本籍の移動が多いと、取り寄せ先が増えます。
  2. 不動産を特定する:固定資産税の納税通知書や登記事項証明書で、所在・地番・家屋番号を確かめます。
  3. 分け方を決めて書面にする:遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議をし、協議書を作ります。
  4. 申請書を作る:法務局の様式と記載例を使います。2026年10月5日以降の申請では、登記名義人になる人の国籍等を申し出る新しい様式が掲載されているので、古い様式を使わないようにします。
  5. 申請する:管轄の法務局へ持参・郵送するか、オンラインで申請します。戸籍が電子証明書つきで発行されていないため、法務局は相続登記をオンラインで完結することはできないと案内しており、添付書類は後から郵送か持参で出します。

時間がかかりやすいのは1と3です。戸籍は読み慣れないと「どこまでさかのぼればよいか」で迷い、協議は相続人の予定合わせで止まりがちです。分からない所は、法務局の登記手続案内(完全予約制、1回20分以内、電話・窓口・ウェブ会議)で質問できます。予約の方法と聞けることは法務局の相続登記の相談にまとめています。

頼んだほうがよい場面:数次相続・未登記・共有・遠方

早見表:自分でやるか、頼むかの分かれ目
状況 自分でやる難しさ 理由
相続人が配偶者と子だけ、不動産が1か所 低い 戸籍の範囲が限られ、記載例に近い
祖父母名義のまま(数次相続) 高い 相続ごとに相続人を確定し、登記の順番を決める必要がある
登記のない建物がある 高い 表題登記は調査・図面が要り、土地家屋調査士の領域
相続人が多い・連絡が取れない人がいる 高い 書類の取りまとめに時間がかかる
不動産が複数の法務局の管轄に分かれる 中 管轄ごとに申請が要る
平日に役所や法務局に行けない 中 郵送でも進められるが、やりとりに日数がかかる

数次相続(相続が何代も重なっている):祖父名義の土地を父が相続登記しないまま父も亡くなった、という形です。法務局の記載例にも数次相続用がありますが、各相続の相続人を戸籍で確定する作業が重くなります。登記をしないまま亡くなった人の名義にする土地の登記は、2027年3月31日まで登録免許税の免税措置の対象です(租税特別措置法84条の2の2第1項)。詳しくは数次相続の相続登記を読んでください。

登記のない建物(未登記建物):不動産登記法47条は、表題登記のない建物の所有権を取得した人に、取得の日から1か月以内の表題登記の申請を求めています。表題登記は調査・測量を伴うので、代理を仕事として受けるのは土地家屋調査士です。相続登記(司法書士)と分けて考えます。

兄弟で共有にする:手続きとしては共有の登記も自分でできますが、共有にすると後の売却や次の相続で全員の協力が要ります。分け方の判断材料は相続登記で共有名義にしてよいかで整理しています。

もめている:相続人の間で分け方が決まらないなら、問題は登記の書類ではなく話し合いです。司法書士に「丸投げ」してもまとめてはもらえず、交渉の代理は弁護士の仕事になります。

司法書士にも頼まず、自分でも登記しないとどうなるか

相続登記には申請の義務があり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することになっています。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法76条の2・164条)。期限や過料の手順は相続登記の義務化の解説にまとめています。

分け方がまだ決まらないなら、相続人申告登記で期限内の義務を果たす道があります。登録免許税はかからず、相続人が1人で申し出られます。ただし、これは相続登記の代わりではなく、売却や抵当権の設定には相続登記が別に必要です。

登記をしないまま時間がたつと、次の相続が起きて相続人が増え、書類を集める範囲も広がります。「今は頼まない」と決めた人も、誰の名義にするかだけは早めに話し合っておくと、後の手間が増えません。

一部だけ頼むという中間の選択肢

自分でやるか全部頼むかで迷うなら、作業の一部だけを頼む方法もあります。たとえば戸籍は自分で集め、申請書の作成と申請だけを司法書士に頼むと、報酬をおさえながら書類の誤りを避けられます。逆に、遺産分割協議書のような書類の作成だけなら、行政書士に頼む選択肢もあります。行政書士に頼めることと頼めないことは相続で行政書士に頼めることの範囲と限界で確かめてください。

頼む範囲が決まったら、事務所の比べ方は相続に強い司法書士の探し方を参考にしてください。

費用の見通しは、報酬と実費を分けた相続の司法書士費用で確かめられます。司法書士に頼める範囲そのものは相続で司法書士に頼めることに、相続全体の相談先の振り分けは相続の相談はどこにする?にまとめています。

よくある質問

Q. 司法書士に頼まずに相続登記をしても、法律上の問題はありませんか?

相続人が自分の相続登記を自分で申請することは禁じられていません。司法書士法73条が制限しているのは、他人の依頼を受けて仕事として登記の代理や書類作成をすることです。相続による登記は、不動産登記法63条2項により相続人が単独で申請できます。

Q. 法務局で申請書を作ってもらえますか?

法務局の登記手続案内は、自分で申請する人に申請書の作成などに必要な情報を説明する窓口で、申請書を代わりに作ったり代理したりはしません。法務省は、申請手続の代理や書面作成は司法書士と弁護士に限られると案内しています。

Q. 家族の分もまとめて自分が申請してよいですか?

法務局の案内では、複数の相続人のうちの一人が申請人となって登記申請をすることもできるとされています。ただし、申請人にならなかった相続人には登記識別情報(登記の完了後に通知される、名義人であることを示す情報)が通知されません。相続人の間で申請を委任する場合は、代理権限を証する書面(委任状など)の添付と、申請書への代理人の記載が必要です。どの形で申請するかは、申請の前に法務局の手続案内で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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