空き家・実家・使わない土地 / 基本ガイド

相続した空き家はどうする?売る・貸す・管理・手放すの判断と手順

この記事のもくじ
  1. 相続した空き家の5つの道:費用・期限・手間の比較
  2. 先に決めること:名義・家族の合意・売却期限
  3. 自分で管理する場合:費用と所有者の責任
  4. 売る場合:古家付き・更地・買取の選び方
  5. 貸す・解体する・国に引き取ってもらう場合
  6. 迷ったときの決め方:分かれ道の早見と悩み別の一覧

相続した空き家の行き先は、売る・貸す・自分で管理する・解体する・国に引き取ってもらうの5つです。どれを選ぶかは「家族の誰かが使うか」「売れる・貸せる見込みがあるか」「税金の特例の売却期限がいつか」の3点でほぼ絞れます。どの道でも最初にやることは、相続登記(名義を相続人に変える登記)と家族の合意です。この記事では5つの道を費用・期限・手間で比べ、詳しい記事へ案内します。

相続した空き家の5つの道:費用・期限・手間の比較

空き家は全国で900万2千戸と過去最多です(総務省、令和5年住宅・土地統計調査)。5つの道から、合いそうなものを2つ程度に絞ってください。

道 向いている家 主にかかるお金 期限・時間の目安 手間
売る(仲介・買取) 家族が使う予定がない。買い手がつく見込みがある 仲介手数料・登記費用・売却益への税金 3,000万円特別控除は相続から3年目の年末まで(制度は2027年12月31日まで) 査定・契約・片付けで、売れれば終わる
貸す 立地に賃貸の需要があり、修繕すれば住める 修繕・リフォーム費、管理委託料、固定資産税 貸した時点で空き家の3,000万円特別控除は使えなくなる 入居者対応が長く続く
自分で管理する いずれ家族が住む・使う予定がある 固定資産税・光熱費の基本料金・保険・交通費 期限はないが、所有者としての責任が続く 月1回程度の点検と近所への配慮
解体する 建物が傷み、更地のほうが売りやすい・使いやすい 解体費(市区町村の補助がある場合も) 1月1日時点で家屋がない年から住宅用地の特例が外れる 業者選び・滅失登記・近所への挨拶
国に引き取ってもらう 建物を取り壊した後の土地で、売っても買い手がつかない 審査手数料1筆14,000円・負担金(20万円が基本) 審査の標準処理期間は8か月 建物の解体・境界の確認が先に要る

家族の話し合いの論点は親が亡くなった後の実家をどうするか:家族で決める5つの論点で先に整理しておくと進めやすくなります。

先に決めること:名義・家族の合意・売却期限

どの道を選んでも、次の3つをこの順で進めます。

  1. 名義を相続人に移す:相続で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります(不動産登記法76条の2)。名義が亡くなった人のままでは、売るにも国に引き取ってもらうにも進めません。住んでいない家も対象で、手順は空き家の相続登記は必要か:義務化で放置できなくなった理由と手順にあります。
  2. 家族で方針をそろえる:遺産分割で誰が家を取得するかを決めます。決まらないまま共有にすると、売るときに全員の同意が要ります。
  3. 売却期限を確かめる:売る可能性が少しでもあるなら、税金の特例の期限から逆算します。

相続した家を売った利益(譲渡所得)には所得税・住民税がかかりますが、条件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」で最高3,000万円を差し引けます(2024年1月1日以後の売却で、相続人が3人以上の場合は2,000万円まで)。主な条件は、1981年5月31日以前に建てられた一戸建てで、相続の直前は亡くなった人だけが住んでいたこと、売却代金が1億円以下であることなどです(No.3306)。売る期限は「相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までで、制度そのものも2027年12月31日までの売却が対象です。

筆者の計算では、2026年3月の相続なら本来の期限は2029年12月31日ですが、制度の期限が先に来ます。延長されるかは毎年12月ごろの税制改正大綱で確かめてください。

相続税を払った人の「取得費加算の特例」とは併用できず、どちらか一方を選びます。要件は相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限、どちらを選ぶかは取得費加算と空き家特例のどちらを選ぶかの比べ方を見てください。

自分で管理する場合:費用と所有者の責任

すぐに決められないときは、まず「管理しながら持っておく」ことになります。空家法は所有者等に適切な管理の努力義務を定め(5条)、管理が行き届かない空き家は「管理不全空家等」として指導・勧告を(13条)、危険な状態のものは「特定空家等」として命令などの措置を受けることがあります(22条)。

家が建っている土地は「住宅用地」として課税標準が下がりますが、勧告を受けると、その敷地は特例の対象から外れます(地方税法349条の3の2)。指導の段階では外れません。「固定資産税が6倍」と言われるのはこのためですが、負担調整があり単純に6倍にはなりません。仕組みは管理不全空家・特定空家とは:勧告で固定資産税が上がる流れにあります。

もう一つの責任が、近所への損害です。建物や塀の保存に欠陥があって他人に損害を与えたとき、誰も住んでいない空き家では、所有者である相続人が賠償を求められる立場になりえます(民法717条)。

自分で管理するなら、月1回程度の換気と通水、屋根・塀・庭木の確認、近所への連絡先の伝達を続けます。点検の具体的な手順は空き家の管理方法:月1回の点検項目と管理サービスの選び方、年間でかかるお金は空き家の維持費の年間の目安で確かめてください。放置した場合に何が起きるかは空き家を放置するとどうなる?毎年のお金と、段階ごとの責任で段階ごとに整理しています。

売る場合:古家付き・更地・買取の選び方

家族が使う予定がなく、立地に買い手がつく見込みがあるなら、売るのが手間の終わる道です。売り方は大きく3つあります。

売り方 しくみ 向いている場面 気をつけること
古家付きで仲介 不動産会社が買主を探す 建物がまだ使える、買主が建て替えたい 売れるまでの管理は続く
解体して更地で仲介 建物を壊して土地として売る 傷みが激しく、更地の需要がある地域 解体費が先に出る。住宅用地の特例が外れる
業者の買取 宅建業者が自ら買主になる 早く手放したい、仲介では買い手がつきにくい 仲介の査定額より低くなりやすい。売主にクーリング・オフはない

800万円以下の空き家などは、仲介手数料の上限に特例があり、事前に説明と合意があれば33万円(税込)まで受け取れます。契約前に金額を確かめてください。詳しくは800万円以下の空き家の仲介手数料:33万円の特例と事前の合意で。売却全体の流れは空き家の売却の流れ:古家付き・更地・買取の選び方と注意点に、売れないときの見直しは空き家が売れない理由と対策にまとめています。

目安を知りたいときは、複数の会社に査定を頼む方法があります。査定額は各社の見込みで、その値段で売れると決まったものではありません。宅建業者は価格の意見を述べるとき根拠を明らかにする義務があるので、根拠を並べて比べてください。査定後に売らないと決めてもかまいません。

貸す・解体する・国に引き取ってもらう場合

貸す場合は、修繕して入居者を探します。家賃収入が入る一方、修繕費・管理委託料・固定資産税は持ち主が払い続けます。いったん貸すと空き家の3,000万円特別控除が使えなくなるので、将来売る可能性が高い家なら、貸し出す前に「特例を使って売る場合」と比べてください。比べ方は空き家を賃貸に出すか売るか:収入・費用・税金の比べ方に、借り手や買い手を自治体の仕組みで探す方法は空き家バンクの使い方にあります。

解体する場合は、費用のほかに2つを見込みます。住宅用地かどうかは毎年1月1日時点で判定されるため、家屋がない状態で1月1日を迎えると、その年度から特例が外れます。建物の滅失登記は、建物がなくなった日から1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法57条)。除却への補助は、市区町村に制度がある場合だけ使え、対象や上限は市区町村ごとに違います。費用の考え方は空き家の解体:費用の目安・解体前後の固定資産税・売るなら先か後か、補助の探し方は空き家の解体補助金の探し方を見てください。

国に引き取ってもらうのが、2023年4月27日に始まった相続土地国庫帰属制度です。相続や遺贈で土地を取得した人が申請でき、審査手数料は1筆14,000円、承認されると負担金(20万円が基本)を納めます。建物がある土地は申請できないので、空き家は解体が先です。条件と費用は相続土地国庫帰属制度とは:国に引き取ってもらう条件と費用で確かめてください。

相続するかをまだ決めていないなら相続放棄も選択肢ですが、放棄の前に解体・売却すると放棄できなくなるおそれがあります。放棄後の扱いは相続放棄した空き家はどうなる:保存義務の範囲と手放すまでの流れにまとめています。

迷ったときの決め方:分かれ道の早見と悩み別の一覧

上から順に答えると、どの道から検討すればよいかが見えてきます。

判断の流れ:相続した空き家の5つの道
  • 家族が5年以内に住む・使う予定がある → 自分で管理する
  • 使う予定がない+査定で売れる見込みがある → 売る(特例の期限を先に確認)
  • 売れる見込みが低い+修繕すれば貸せる立地 → 貸す(特例が使えなくなる点を比べる)
  • 売れない・貸せない → 買取を比べる → それも難しければ解体して国庫帰属
  • どの道でも先に → 相続登記と家族の合意

相談先は、売却なら不動産会社、補助や空き家バンクなら市区町村の空き家担当、名義なら司法書士、税金なら税理士や税務署と、悩みで分かれます。違いは空き家の処分の相談先:自治体の窓口・不動産会社・専門家の違いで比べています。気持ちが追いつかないときは実家の売却が寂しい・後悔しそうなときの折り合いを、家や土地そのものがいらないときは相続した土地や家がいらない時の判断の順番を読んでください。

悩み別の記事一覧

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共有・再建築不可

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よくある質問

Q. 相続した空き家は、とりあえずそのままにしておいてもよいですか?

しばらく決められないこと自体は珍しくありませんが、その間も管理の責任と固定資産税は続きます。最低限の管理を続けながら、相続登記と家族の話し合いを進めておくと、決めたときにすぐ動けます。

Q. 空き家を売るなら、解体して更地にしてからのほうがよいですか?

一律には決まりません。更地にすると1月1日時点で家屋がない年から住宅用地の特例が外れ、解体費も先に出ます。古家付きのまま売る方法もあるので、解体の前に査定で売り方ごとの見込みを比べてください。

Q. 空き家を貸すと、売るときの税金の特例はどうなりますか?

3,000万円特別控除は、相続の時から売る時まで事業・貸付け・居住に使っていないことが要件の一つで、いったん貸すと使えなくなります。迷っているなら、貸し出す前に特例を使う見込みを比べておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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