空き家・実家・使わない土地 / 比較

空き家の処分の相談先:自治体の窓口・不動産会社・専門家の違い

この記事のもくじ
  1. 空き家の処分の相談先を悩み別に選ぶ(早見表)
  2. 市区町村の空き家相談と空き家バンク
  3. 不動産会社に相談する:査定・仲介・買取と確かめる点
  4. 専門家の役割分担:司法書士・税理士・土地家屋調査士・弁護士
  5. 相談の順番と、持っていく書類

空き家の処分の相談先は、悩みの種類で選びます。売りたい・いくらで売れるか知りたいなら不動産会社、売れるか分からない・補助や空き家バンクを使いたいなら市区町村の空き家の担当課、名義(相続登記)なら司法書士、税金なら税理士か税務署、境界や測量なら土地家屋調査士、土地を国に引き取ってほしいなら法務局の本局です。どこか1か所ですべてが片付くことは少ないので、「誰に何を聞くか」を分けて、順番に回るのが近道です。

空き家の処分の相談先を悩み別に選ぶ(早見表)

相談先ごとに、頼めることと頼めないことを並べます。頼めないことを知っておくと、たらい回しにされたと感じることが減ります。

悩み 相談先 頼めること 頼めないこと
売りたい、相場を知りたい 不動産会社(宅地建物取引業者) 査定、仲介(法律上は媒介)、業者自身の買取 登記の代理、税額の計算
売れるか分からない、補助を使いたい 市区町村の空き家の担当課 地域の補助制度・空き家バンク・相談会の案内 売買の仲介、個別の価格判定
名義が親のまま 司法書士(自分でするなら法務局の手続案内) 相続登記の申請の代理、申請書の作成 遺産分割でもめている相手との交渉
売ったときの税金 税理士(一般的な質問は税務署) 譲渡所得の計算、特例の判定、申告の代理 不動産の売買の仲介
境界が分からない、建物が未登記 土地家屋調査士 測量、境界の確認、表題登記・滅失登記の代理 所有権の相続登記
土地を手放したい 法務局(本局)の国庫帰属の相談 相続土地国庫帰属制度の申請前の相談 承認の約束、申請書の作成の代行
相続人どうしで争いがある 弁護士 交渉・調停・訴訟の代理 —
不動産会社とのトラブル 不動産取引電話相談(不動産適正取引推進機構) 宅建業者が関わる取引の電話相談 弁護士による相談、個別のあっせん

窓口の番号と受付時間は、相続手続きの無料相談窓口一覧:登記・税・売却まで番号と受付時間にまとめています。各資格の独占業務の違いは相続手続きの専門家の違い:弁護士・司法書士・税理士・行政書士の頼み分けで詳しく比べています。

市区町村の空き家相談と空き家バンク

国土交通省は、空き家の扱いに迷ったら、空き家のある市区町村か不動産の専門家に相談するよう勧めています。市区町村の空き家の担当課(名前は「住宅課」「建築指導課」「空き家対策室」など自治体ごとに違います)では、主に次のことが聞けます。

  • 空き家バンク:自治体が空き家の情報を集めて、買いたい人・借りたい人に紹介する仕組みです。登録の条件や、取引に不動産会社が入るかどうかは自治体ごとに違います。自治体を横断して探せる「全国版空き家・空き地バンク」もあり、国の公募で選ばれた民間2社がそれぞれ運営しています。
  • 解体や改修の補助:国の支援を受けて、市区町村が独自に補助制度を設けている場合があります。対象の建物、上限額、工事前の申請が要るかは自治体ごとに違うため、業者と契約する前に確かめます。
  • 空き家の特例の確認書:相続した空き家を売って3,000万円特別控除を使うときに確定申告に添える「被相続人居住用家屋等確認書」は、家のある市区町村が発行します。
  • 相談会やNPOの紹介:空家法23条により、市区町村長はNPOや一般社団法人などを「空家等管理活用支援法人」に指定でき、2025年3月末時点で全国95法人が指定されています。所有者への情報提供や相談を担う法人です。

市区町村の窓口は、地域の制度を知るのに向いていますが、売買の仲介や価格の判定はしません。売る段階になったら、不動産会社につないでもらうか、自分で探します。空き家バンクの使い方は空き家バンクの使い方:登録の流れ・向いている家・不動産会社との違いにまとめています。

不動産会社に相談する:査定・仲介・買取と確かめる点

売ることが決まっている、または売れるかどうかを知りたいなら、不動産会社が中心の相談先です。不動産の売買の仲介を業として行えるのは、免許を受けた宅地建物取引業者だけです(宅建業法12条)。相談する前と相談のときに、次の点を確かめてください。

  1. 免許番号を確かめる:国土交通省の「宅地建物取引業者等企業情報検索」で、会社名や免許番号から、免許を受けた業者かどうかを調べられます。
  2. 査定の根拠を聞く:宅建業者は、売買価格について意見を述べるとき、その根拠を明らかにする義務があります(34条の2第2項)。周辺の成約事例や建物の状態など、何を基にした額かを聞きます。
  3. 媒介契約の種類と期間を聞く:一般・専任・専属専任の3種類があり、違いは媒介契約の3種類:一般・専任・専属専任の違いで確かめられます。
  4. 仲介手数料を確かめる:800万円以下の空き家などは、上限の特例で33万円(税込)まで受け取れる場合があり、事前の説明と合意が要ります。
  5. 買取の提案には仲介の見込みと比べる:業者が自ら買う「買取」は早く現金化しやすい一方、価格は仲介の見込みより低くなりやすく、自宅を業者に売った売主にはクーリング・オフがありません(37条の2は買主のための制度)。

地方の空き家では、地元の会社と、広い地域を扱う会社で見立てが分かれることがあります。1社だけで決めず、複数の会社の査定と売り方の提案を比べると、価格だけでなく「この家を誰に売るつもりか」の違いが見えてきます。複数社にまとめて依頼する一括査定では、申し込んだ後に複数の会社から連絡が来ることがあります。査定額は各社の見込みで、その値段で売れると約束するものではないこと、売るかどうかは査定を見てから決めてよいことを前提に使ってください。

専門家の役割分担:司法書士・税理士・土地家屋調査士・弁護士

空き家の処分では、手続きの種類ごとに頼める資格が法律で決まっています。

資格 空き家の処分で頼む場面 根拠
司法書士 相続登記、売却時の所有権移転登記、住所変更登記 司法書士法3条・73条(登記の代理・申請書の作成は司法書士の業務)
税理士 売却益の計算、3,000万円特別控除や取得費加算の特例の判定、確定申告 税理士法2条・52条(税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の業務)
土地家屋調査士 境界の確認・測量、未登記建物の表題登記、解体後の建物滅失登記 表示に関する登記の代理は土地家屋調査士(法務省の案内)
弁護士 共有者や相続人どうしの争い、交渉や調停 弁護士法72条(報酬を得て法律事件の代理などをするのは弁護士の業務)

税金については、税務署でも一般的な相談ができます。国税の電話相談センターでは譲渡所得の質問に答えてもらえますが、申告の代理や個別の節税の提案はしません。固定資産税は国税ではないので、家のある市区町村の資産税の担当課に聞きます。

自分で相続登記をするなら、法務局の登記手続案内が使えます。完全予約制で1回20分以内、電話・窓口・ウェブ会議から選べます。ただし申請書を代わりに作ってくれる窓口ではありません。土地を国に引き取ってほしいときの事前相談は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局で受け付けていて、支局や出張所ではできません。

相談の順番と、持っていく書類

相談先を回る順番は、おおむね次のとおりです。

  1. 家族で方針の大枠をそろえる:売る・残す・まだ決めない、のどれかと、窓口になる人を決めます(親が亡くなった後の実家をどうするか:家族で決める5つの論点)。
  2. 名義を確かめる:登記事項証明書で名義人を確認し、親のままなら相続登記の段取りを相談します(空き家の相続登記は必要か:義務化で放置できなくなった理由と手順)。
  3. 市区町村で地域の制度を聞く:補助・空き家バンク・確認書の窓口を確認します。
  4. 不動産会社で査定と売り方の提案を受ける:複数社を比べます。
  5. 税理士・税務署で税金を確かめる:売る前に、特例が使えそうかを聞いておきます。
相談に持っていくと話が早い書類
  • 登記事項証明書(法務局の窓口で1通600円。オンライン請求は受け取り方で少し安くなる)
  • 固定資産税の納税通知書(課税明細書つき)
  • 公図・測量図(あれば)、建物の図面や建築時期の分かる書類
  • 家の外観・室内の写真
  • 相続人の一覧と連絡先、遺言や遺産分割の状況のメモ

相談の途中で、不動産会社との間で説明と違う、強引に契約を迫られたといったトラブルが起きたときは、不動産適正取引推進機構の不動産取引電話相談や、消費者ホットラインに相談できます(番号は相続手続きの無料相談窓口一覧)。気持ちの整理がつかず、相談に踏み出せないときは実家の売却が寂しい・後悔しそうなときの気持ちと手続きの折り合いを、どの道を選ぶか自体を比べたいときは相続した空き家はどうするか:売る・貸す・管理・手放すの判断と手順を読んでください。

よくある質問

Q. 空き家の処分は、まず市役所と不動産会社のどちらに相談すべきですか?

売れる見込みのある地域で、売ると決めているなら不動産会社が早道です。売れるか分からない、解体の補助や空き家バンクを使いたい、市区町村から文書が届いたという場合は、市区町村の空き家の担当課から始めると、地域の制度と相談先をまとめて聞けます。

Q. 不動産会社に相談したら、売らなければいけませんか?

査定や相談をしただけで売る義務は生じません。売却を頼むときに結ぶのが媒介契約で、それまでは比べて断ってかまいません。媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、専任の2種類は有効期間が3か月以内と決まっているので、契約前に種類と期間を確かめてください。

Q. 空き家の名義が亡くなった親のままです。誰に相談すればよいですか?

相続登記は、本人が自分で申請するか、司法書士(または弁護士)に代理を頼むかのどちらかです。自分でするなら法務局の登記手続案内(予約制)で手順を聞けます。代理や申請書の作成を頼むなら司法書士です。日本司法書士会連合会の相続登記相談センターから近くの司法書士会の窓口を案内してもらう方法もあります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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