相続放棄の照会書が届いたら:回答の書き方と受理証明書の取り方
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相続放棄の照会書は、家庭裁判所が申述を受理してよいか判断するために、申述人に事情を書面で尋ねるものです。裁判所の書式ページは、判断のために書面で照会したり直接事情を尋ねたりすることがあり、照会や呼出しには応じるよう案内しています。答えるときは、相続の開始を知った日、自分の意思で放棄すること、相続財産に手を付けていないかの3点を、申述書と食い違わないように事実どおり書きます。返送後に受理されれば受理通知書が届き、証明が要るときは150円分の収入印紙で受理証明書を申請します。
Q. 照会書とは何?届く人と届かない人がいるのはなぜ?
照会書は、申述書だけでは分からない事情を家庭裁判所が確かめるための書面です。質問の項目、回答の様式、返送の期限は家庭裁判所ごとに決めていて、裁判所の全国共通の手続ページには照会書の様式も質問の一覧も載っていません。届いた照会書に書かれた指示が、その事件での正しい答え方の基準になります。
受理の判断に関わる事柄として、次の3つが考えられます。実際の質問項目は家庭裁判所ごとに違うので、この表は筆者の整理です。照会の質問を、どれを確かめるためのものかと考えながら読むと、何を聞かれているかが読み取りやすくなります。
| 関わる事柄 | 関係する条文 | 照会で関わりやすい点 |
|---|---|---|
| 期限内の申述か | 民法915条1項(知った時から3か月) | 相続の開始を知った日と、その日に何があったか |
| 本人の意思による申述か | 民法938条(放棄は家庭裁判所に申述) | 自分で申述書を書いた・内容を理解しているか |
| 単純承認とみなされる事情がないか | 民法921条(処分・期限経過・隠匿など) | 死亡後に財産を使った・売った・解約したか |
申述書と添付書類だけで判断できれば、照会を送らずに受理されることもあります。照会書が届いたからといって、疑われているわけではありません。
申述書を提出 →(照会書が届いた場合)事実を整理して回答し、期限までに返送 → 家庭裁判所が申述書に受理の旨を記載(この時に放棄の効力が生じる) → 受理通知書が届く → 必要なら受理証明書を申請(収入印紙150円分)
Q. 回答はどう書く?答える前に整理することと文例
回答を書く前に、申述書の控え(提出前に取ったコピー)を手元に置き、次の3つを紙に書き出します。
- 知った日:申述書の「相続の開始を知った日」の番号と日付。死亡日から3か月を過ぎているなら、知るきっかけになった書面(督促状など)の日付と差出人。
- 放棄を決めた経緯:借金がある、生活が安定している、ほかの相続人に継がせたいなど、申述書で選んだ理由と同じ内容。
- 死亡後に自分がしたこと:預金の引き出し、解約、遺品の売却・処分、葬儀費用の支払いなど、日付と金額とお金の出どころ。
書き方は、聞かれたことに、事実を短く答えるのが基本です。分からないことを推測で埋めず、「知らない」「覚えていない」ならそのとおりに書きます。
回答の例(知った日):「令和○年○月○日、病院から連絡を受けて父の死亡を知りました」 回答の例(3か月を過ぎた事情):「父とは20年以上連絡がなく、令和○年○月○日に○○株式会社からの通知書が届いて初めて死亡と借入金を知りました。通知書の写しを同封します」 回答の例(財産について):「父の財産には手を付けていません。葬儀費用は私の預金から支払いました」
いちばん迷うのは、死亡後に財産に関わる行為をしてしまった場合です。民法921条の「処分」に当たるかどうかは個別の事情で決まり、判断するのは家庭裁判所です。隠すと後でより重い問題になりうるので、事実は書いたうえで、書き方は回答の前に司法書士か弁護士に相談します。上の回答の例のうち「手を付けていません」は、本当にそうである場合にだけ使える書き方です。どの行為が問題になりやすいかは相続放棄の前にしてはいけないことで整理しています。回答書の作成を代わりに引き受けることは、このサイトではしていません。
Q. 返送してから受理まで、どのくらいかかる?
受理までの期間は、家庭裁判所の混み具合と、照会や追加書類の有無で変わります。全国一律の日数は裁判所から示されていないので、急ぐ事情(債権者からの請求、次順位の人の期限など)があれば、照会書を返送するときに担当の書記官へ電話で伝えておきます。
参考になる例として、名古屋家庭裁判所の本庁は、条件を満たす相続放棄の申述について即日審判を行っています。第1順位の相続人か配偶者であること、死亡日から3か月以内であること、被相続人が外国人でないことなどが条件で、受付時間に応じて当日の昼ごろか午後3時ごろに受理通知書等を交付すると案内しています。支部では行っておらず、他の家庭裁判所の運用ではありません。
受理の効力は、家庭裁判所が申述書に受理の旨を記載した時に生じます(家事事件手続法201条7項)。受理通知書が届いた日ではない点を覚えておくと、債権者から日付を聞かれたときに説明しやすくなります。
Q. 受理証明書はどう取る?何に使う?
受理通知書は申述人に届く通知で、第三者に示すための証明書としては受理証明書を使います。取り方は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 受理した家庭裁判所 |
| 費用 | 1通につき収入印紙150円分 |
| 郵送で申請 | 申請書・印紙・返信用の郵便切手を同封 |
| 窓口で申請 | 印鑑、受理通知書、運転免許証など本人確認書類を持参 |
| 申述人以外 | 神戸家庭裁判所は、利害関係人用の申請書を用意し、利害関係を示す資料の添付を求めている |
受理証明書を求められやすいのは、債権者に放棄を伝えるとき、相続登記で放棄した人がいることを示すとき、次順位の人が自分の手続きを進めるときです。東京家庭裁判所のように、相続人や利害関係人が「相続放棄・限定承認の申述の有無」を照会できる手続きを案内している庁もあります。次の順位の人への連絡は相続放棄したら次は誰が相続人?を参照してください。
Q. 受理されなかったら、どうなる?
申述を却下する審判に対して、申述人は即時抗告ができます(家事事件手続法201条9項3号)。期間は、審判の告知を受けた日から2週間です(同法86条)。2週間は短いので、却下の通知が届いたらその日のうちに弁護士に相談します。窓口の探し方は相続手続きの無料相談窓口一覧にまとめています。
却下を避けるために照会の段階でできるのは、期限内に、事実どおり、申述書とそろえて答えることです。兄弟が同時に申述していて照会が全員に届いた場合も、それぞれが自分の事実で答えます。兄弟での進め方は相続放棄を兄弟まとめてする方法で、手続き全体は相続放棄の手続き:期限・費用・申述から受理通知までの5段階で確かめてください。
よくある質問
Q. 照会書を返送する期限に間に合いません。どうすればいいですか?
期限が来る前に、照会書に書かれた家庭裁判所の担当(書記官)に電話し、事件番号を伝えて事情を話してください。黙って遅れるのがいちばん避けたい形です。返送が遅れた分だけ、受理の判断も遅れます。
Q. 照会書が届かないまま受理通知書が届きました。問題はありますか?
問題はありません。裁判所の書式ページの注意書きは、照会は「することがある」という書き方で、全員に送るものとはしていません。申述書と添付書類で判断できた場合は、照会なしで受理されることがあります。
Q. 受理されたことを、債権者にはどう伝えればいいですか?
裁判所の家事事件Q&Aは、債権者から請求を受けている場合は受理されたことを債権者に連絡するのがよいと案内しています。受理証明書を取って写しを添えれば、受理の事実を書面で示せます。債権者自身が利害関係人として受理証明書を申請できる庁もあります。
出典・参考にした公的な情報
- 相続の放棄の申述書(成人)書式と記入例・注意書き(裁判所)(最高裁判所)
- 家事事件Q&A(相続について:受理後の手続・受理証明書)(裁判所)(最高裁判所)
- 相続放棄の申述の即日審判(名古屋家庭裁判所)(名古屋家庭裁判所)
- 相続放棄申述受理証明書の申請(神戸家庭裁判所)(神戸家庭裁判所)
- 相続放棄・限定承認の申述の有無の照会(東京家庭裁判所)(東京家庭裁判所)
- 家事事件手続法 第86条・第201条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第915条・第921条・第938条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。