法定相続人の割合:配偶者と子・親・兄弟姉妹の組み合わせ別早見表
法定相続人の割合(法定相続分)は、配偶者と子なら各2分の1、配偶者と父母なら配偶者3分の2・父母3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1です(民法900条)。同じ立場の人が複数いれば、その分を人数で等分します。ただし、これは話し合いがまとまらないときなどの基準で、相続人全員が合意すれば違う割合で分けられます。
組み合わせ別の早見表
民法900条の割合を、相続人の組み合わせごとに並べると次のとおりです。誰が相続人になるか(順位)がまだ分からない人は、先に相続の順位の早見表で確かめてください。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 血族の側(全員で) | 血族が2人のときの1人分 |
|---|---|---|---|
| 配偶者と子 | 1/2 | 子 1/2 | 1/4 |
| 配偶者と父母など(直系尊属) | 2/3 | 1/3 | 1/6 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4 | 1/8 |
| 配偶者だけ | 全部 | — | — |
| 子だけ/父母だけ/兄弟姉妹だけ | — | 全部 | 1/2 |
- 子と並ぶとき:配偶者 1/2
- 父母と並ぶとき:配偶者 2/3
- 兄弟姉妹と並ぶとき:配偶者 3/4
- 血族の側の分は、同じ立場の人数で等分(兄弟姉妹で父母の一方だけが同じ人は、両方が同じ人の半分)
覚え方は、配偶者の取り分が「1/2 → 2/3 → 3/4」と、血族の順位が下がるほど大きくなる、という一点です。子どもの数が何人でも配偶者は1/2のままで、子の側の1/2を子の人数で割ります。
筆者の計算で見る具体例(遺産6,000万円の場合)
割合を金額に直すと、イメージがつかみやすくなります。以下は遺産を6,000万円とした筆者の計算です(債務・特別受益・寄与分は考えない単純な例)。
| 例 | 相続人 | 各人の割合 | 各人の額(筆者の計算) |
|---|---|---|---|
| ① | 妻・子2人 | 妻1/2、子各1/4 | 妻3,000万円、子各1,500万円 |
| ② | 妻・夫の父母 | 妻2/3、父母各1/6 | 妻4,000万円、父母各1,000万円 |
| ③ | 妻・夫の兄弟3人 | 妻3/4、兄弟各1/12 | 妻4,500万円、兄弟各500万円 |
| ④ | 子3人だけ | 各1/3 | 各2,000万円 |
| ⑤ | 妻・長男・亡くなった次男の子2人 | 妻1/2、長男1/4、孫各1/8 | 妻3,000万円、長男1,500万円、孫各750万円 |
検算:①3,000+1,500×2=6,000、②4,000+1,000×2=6,000、③4,500+500×3=6,000、④2,000×3=6,000、⑤3,000+1,500+750×2=6,000(単位は万円)。
⑤は、先に亡くなった次男の分(1/4)を、その子2人が代わりに受け取る場面です。代わりに相続する人の割合は、もとの相続人が受けるはずだった分と同じで、複数いれば等分します(民法901条1項)。兄弟姉妹の代わりに甥・姪が相続する場合も同じ考え方です(901条2項)。代襲そのものの仕組みは代襲相続とは?孫・甥姪が相続人になる範囲で扱っています。
③の兄弟姉妹の中に、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)がいる場合は、その人の割合は父母の両方が同じ兄弟姉妹の半分です(900条4号ただし書)。子どものいない人が亡くなったときの兄弟・甥姪の取り分の詳しい計算は、子どものいない人の兄弟の相続割合にまとめています。
協議で違う分け方ができる:法定相続分が使われる場面
法定相続分は「この割合で分けなければならない」という決まりではありません。共同相続人は、遺言で禁じられている場合などを除き、いつでも協議で遺産を分けられます(民法907条1項)。実際には、家を1人が継いで他の人は預金を多めに受け取る、といった法定相続分と違う分け方もよく選ばれます。
一方で、割合が基準として使われる場面があります。
- 話し合いの出発点:協議では、まず法定相続分で計算した額を並べ、そこから家や事業の事情で調整することが多くなります。調停・審判に進んだときも、法定相続分(遺言の指定や特別受益・寄与分による修正を含む)が基準になります。
- 遺言で割合が決められているとき:亡くなった人は遺言で相続分を指定できます(902条1項)。一部の人だけ指定されたときは、残りの人は法定相続分で決まります(902条2項)。
- 借金の負担:遺言で相続分が指定されていても、お金を貸していた側(相続債権者)は、各相続人に法定相続分で請求できます(902条の2)。「全部を長男に」という遺言があっても、借金まで長男だけに移るとは限りません。
- 遺産分割前の預金の払戻し:各相続人は、相続開始時の預貯金の額×1/3×自分の法定相続分の額まで、単独で払い戻せます(909条の2)。上限は金融機関ごとに150万円です(法務省令)。筆者の計算では、相続開始時の残高900万円・子2人(各1/2)なら、900万円×1/3×1/2=150万円です。
- 相続税の総額の計算:国税庁の説明では、相続税の総額は、課税される遺産の額を法定相続分で分けたと仮定して税率を掛けて出します。実際の分け方とは別に、法定相続分を使って計算する点に注意が要ります。
割合を修正する仕組み:特別受益・寄与分・遺留分
法定相続分のままでは不公平だ、と感じる場面に備えて、民法には割合を修正したり、最低限を守ったりする仕組みがあります。混同しやすいので役割を分けます。
| 仕組み | 使う場面 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 特別受益 | 生前に家の購入資金などの贈与を受けた相続人がいる | 特別受益と持ち戻し |
| 寄与分 | 家業の手伝いや介護で、財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人がいる | 介護の寄与分と特別の寄与 |
| 遺留分 | 遺言や贈与で取り分が極端に少なくされた(兄弟姉妹を除く) | 遺留分の割合と請求できる人 |
遺留分は、法定相続分とは別の「最低限の取り分」です。総体の遺留分(遺産の1/2、親だけが相続人なら1/3)に各人の法定相続分を掛けて出すので、法定相続分を知っておくと遺留分の目安も出せます。特別受益と寄与分は、相続開始から10年を過ぎた後の遺産分割では原則として主張できなくなる(904条の3)ので、主張したい事情があるなら早めに整理しておくことが大切です。
割合が分かったら、次はどの財産を誰が取るかの分け方です。家を分ける4つの方法は遺産分割の方法4つで比べています。
よくある質問
Q. 法定相続分どおりに分けないといけませんか?
いいえ。相続人全員が合意すれば、遺産分割協議で法定相続分と違う割合にできます(民法907条1項)。「家は母、預金は子」のように財産ごとに分けることもできます。法定相続分は、話し合いがまとまらないときや税・預金の手続きで使う基準です。
Q. 養子と実子で割合は違いますか?
民法900条4号は、子が数人いるときは等分とし、実子と養子を分けていません。養子も実子と同じ割合です。相続税の基礎控除で数える養子の人数に制限があるのは税法の決まりで、民法の割合とは別の話です。
Q. 配偶者しかいない場合、割合はどうなりますか?
子・直系尊属・兄弟姉妹(と代襲する孫・甥姪)が誰もいなければ、相続人は配偶者だけなので、配偶者が全部を相続します。逆に配偶者がいなければ、その順位の血族だけで等分します。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第900条・第901条・第902条・第902条の2・第907条・第909条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。