相続人と遺産分割 / 早見表

兄弟の相続:子どものいない人が亡くなった時の割合と甥姪の取り分

この記事のもくじ
  1. 兄弟姉妹が相続人になるのは、子も親もいないとき
  2. 兄弟の相続の割合:家族の形ごとの早見表
  3. 先に亡くなった兄弟の分は甥・姪へ(代わりに受け取るのは1代まで)
  4. 兄弟の相続で、子や親の相続と違う3つの点
  5. 子どものいない人が遺言で備える方法

兄弟姉妹が相続人になるのは、亡くなった人に子(孫も含む)がおらず、父母・祖父母もすでに亡くなっているときです。このとき配偶者がいれば配偶者が4分の3、兄弟姉妹が全員で4分の1を分け、配偶者がいなければ兄弟姉妹が全部を等分します。先に亡くなった兄弟姉妹の分はその子(甥・姪)が受け取りますが、代わりに受け取れるのは甥・姪までです。兄弟姉妹には遺留分がなく、相続税は2割加算の対象になる点も、子や親の相続と違います。

兄弟姉妹が相続人になるのは、子も親もいないとき

相続人には順番があります。配偶者は常に相続人で、ほかの家族は次の順で、先の順位の人がいないときだけ相続人になります(民法887条・889条・890条)。

順位 相続人 兄弟姉妹が相続人になるか
第1順位 子(子が先に亡くなっていれば孫) 子・孫が一人でもいればならない
第2順位 父母(父母がいなければ祖父母) 父母・祖父母が一人でもいればならない
第3順位 兄弟姉妹(先に亡くなっていれば甥・姪) 第1・第2順位が誰もいないときに相続人になる

親が亡くなって、きょうだいで遺産を分けるという場面は、この記事の話ではありません。その場合のきょうだいは「子」として相続人になり、配偶者がいれば配偶者が2分の1、子が全員で2分の1を等分します(民法900条1号・4号)。組み合わせ別の割合は法定相続人の割合:組み合わせ別早見表にあります。この記事は、亡くなった人自身の兄弟姉妹が相続人になる場合を扱います。

「子どもがいない」だけでは、兄弟姉妹は相続人になりません。親が健在なら、配偶者と親が相続人です。また、子や親が全員相続放棄をした場合も、放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされる(939条)ので、次の順位の兄弟姉妹に相続が回ってきます。順位の全体は相続の順位の早見表で確かめられます。

早見表:兄弟姉妹が相続人のときの法定相続分
  • 配偶者あり → 配偶者 3/4、兄弟姉妹は全員で 1/4 を等分
  • 配偶者なし → 兄弟姉妹で全部を等分
  • 先に亡くなった兄弟姉妹の分 → その子(甥・姪)が等分して受け取る(甥・姪まで)
  • 父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血) → 両方が同じ兄弟姉妹(全血)の2分の1

兄弟の相続の割合:家族の形ごとの早見表

兄弟姉妹が相続人のときの法定相続分は、配偶者がいるかどうかで大きく変わります(民法900条3号・4号)。下の表の計算は筆者の計算です。遺産の額は、仕組みを示すための例として3,000万円で置いています。

家族の形 配偶者 兄弟姉妹(甥・姪) 遺産3,000万円のとき(筆者の計算)
配偶者と兄1人 3/4 兄 1/4 配偶者2,250万円、兄750万円
配偶者と兄・姉の2人 3/4 各 1/8 配偶者2,250万円、兄・姉各375万円
配偶者なし、兄弟3人 — 各 1/3 各1,000万円
配偶者と姉1人、先に亡くなった兄の子(甥2人) 3/4 姉 1/8、甥 各1/16 配偶者2,250万円、姉375万円、甥各187.5万円
配偶者なし、全血の兄1人と半血の弟1人 — 兄 2/3、弟 1/3 兄2,000万円、弟1,000万円

検算すると、4行目は3/4+1/8+1/16+1/16=1、5行目は2/3+1/3=1です。

法定相続分は、遺言がないときに相続人全員で分け方を話し合うための目安です。全員が合意すれば、「家は配偶者、預金の一部を兄弟に」のように違う割合で分けることもできます。配偶者と子・親が相続人の場合も含めた全体の早見表は法定相続人の割合:組み合わせ別早見表にあります。

先に亡くなった兄弟の分は甥・姪へ(代わりに受け取るのは1代まで)

相続人になるはずの兄弟姉妹が、亡くなった人より先に死亡していたときは、その兄弟姉妹の子(甥・姪)が代わりに相続人になります。これを代襲相続といいます(民法889条2項が887条2項を準用)。甥・姪が受け取るのは、親である兄弟姉妹が受け取るはずだった分で、甥・姪が複数なら等分します(901条)。

ただし、子や孫の相続とは違い、兄弟姉妹の代襲は甥・姪までで止まります。民法は、子の代襲について孫からひ孫へと続く定め(887条3項)を、兄弟姉妹には準用していません。甥・姪も先に亡くなっていても、その子(兄弟姉妹の孫)は相続人になりません。

先に亡くなっている人 代わりに相続する人
兄弟姉妹 その子(甥・姪)
兄弟姉妹と、その子(甥・姪)の両方 誰も代わりに相続しない
兄弟姉妹が相続放棄をした 代襲は起きない(放棄は代襲の原因に入っていない)

代襲相続の仕組み全体は代襲相続とは:孫・甥姪が相続人になる範囲で図にしています。父母の一方だけが同じ兄弟姉妹がいる場合は取り分が変わるので、異母兄弟がいる相続の相続分の違いで確かめてください。

兄弟の相続で、子や親の相続と違う3つの点

兄弟姉妹の相続には、割合のほかにも知っておきたい違いがあります。

1. 兄弟姉妹には遺留分がない 遺留分(遺言があっても最低限受け取れる取り分)を持つのは、兄弟姉妹以外の相続人です(民法1042条)。亡くなった人が「全財産を配偶者に」「全財産を友人に」と遺言していれば、兄弟姉妹は遺留分を請求できません。詳しくは兄弟姉妹に遺留分はない?遺言で外された兄弟ができることにあります。

2. 相続税は2割加算の対象になる 相続税がかかる場合、配偶者と一親等の血族(子・親。代襲相続人の孫を含む)以外の人は、税額が2割加算されます。国税庁は、兄弟姉妹や、甥・姪として相続人となった人を対象の例に挙げています(No.4157)。そもそも相続税がかかるかは、基礎控除で一次判定できます。仕組みは相続税の2割加算とはで扱っています。

3. 戸籍集めの範囲が広く、広域交付が使いにくい 兄弟姉妹の相続では、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍に加え、父母の出生から死亡までの戸籍もそろえて、ほかに兄弟姉妹がいないかを確かめます。2024年3月から始まった戸籍の広域交付で請求できるのは本人・配偶者・直系の親族で、兄弟姉妹は含まれていません。亡くなった人と父母の戸籍は、それぞれの本籍地の市区町村へ、郵送などで請求する従来の方法になります。手順は相続手続きの戸籍謄本の集め方にあります。亡くなった独身の兄弟の相続人に自分がなるのかを確かめたい人は、独身の兄弟が死亡したときの相続人の条件から読むと整理できます。

子どものいない人が遺言で備える方法

子どものいない夫婦では、何もしなければ配偶者と兄弟姉妹(甥・姪)が一緒に遺産分割をすることになります。配偶者が義理の兄弟や、ほとんど会ったことのない甥・姪と話し合い、実印や印鑑証明書をそろえるのは大きな負担です。

これに備える方法として、遺言があります。兄弟姉妹には遺留分がないので、「全財産を妻(夫)に相続させる」という遺言があれば、兄弟姉妹と分割の協議をせずに手続きを進められます。

  1. 財産の一覧を作る:預金・不動産・有価証券を書き出します。
  2. 遺言の方式を選ぶ:自筆証書遺言なら、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、亡くなった後の家庭裁判所の検認が要りません。公証役場で公正証書遺言にする方法もあります。違いは自筆証書遺言と公正証書遺言の違いで比べられます。
  3. 夫婦それぞれが書く:どちらが先に亡くなるかは分からないので、夫婦が互いに相手へ残す遺言をそれぞれ作ります(1通の遺言書に2人で書く共同遺言はできません)。
  4. 配偶者が先に亡くなった場合の行き先も書く:その場合に財産を誰に渡すか(兄弟姉妹・甥姪・寄付など)を書いておくと、遺言が空振りになりません。

文例と書き方の注意は子どものいない夫婦の遺言書:全財産を配偶者に残す書き方にまとめています。逆に、兄弟姉妹の一人として相続人になった側なら、相続放棄の期限(相続の開始を知った時から3か月以内)も含めて相続の期限一覧で順番を確かめておくと安心です。

よくある質問

Q. 亡くなった兄弟に配偶者がいる場合、兄弟姉妹はいくら受け取れますか?

配偶者と兄弟姉妹が相続人のときの法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が全員で4分の1です。兄弟姉妹が2人なら1人8分の1になります。これは協議の出発点で、相続人全員が合意すれば違う分け方もでき、遺言があればその内容が基本になります。

Q. 兄弟の相続で、甥や姪の子(兄弟の孫)まで相続人になりますか?

兄弟姉妹が先に亡くなっているときは、その子である甥・姪が代わりに相続人になります。ただし兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪までで、甥・姪も先に亡くなっていても、その子は相続人になりません。子や孫の相続のように何代も続かない点が違います。

Q. 子どものいない夫婦で、兄弟に遺産を渡したくない場合はどうすればよいですか?

兄弟姉妹には遺留分がないため、「全財産を配偶者に相続させる」という遺言を残せば、兄弟姉妹が最低限の取り分を請求する仕組みはありません。遺言は方式を満たさないと効力がないので、自筆なら法務局の保管制度を使う、公証役場で公正証書にするなどの方法を検討します。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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