準確定申告とは?4か月の期限・必要な人・やり方を順番に解説
準確定申告とは、年の途中で亡くなった人のその年1月1日から亡くなった日までの所得について、相続人が代わりに所得税の申告と納税をする手続きです。期限は、納める税額がある場合や申告の義務がある場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(還付だけを受ける申告は125条2項の規定で、期限は税務署で確かめます)。提出先は亡くなった人の死亡当時の納税地を所轄する税務署です。必要なのは、生前でも確定申告が必要だった人、つまり個人事業や不動産収入があった人などです。年金収入が400万円以下で他の所得が20万円以下だった人は申告の義務がありませんが、医療費控除などで税金が戻る場合は申告すると還付を受けられます。この記事では、必要かどうかの判断から提出までを順に示します。
準確定申告が必要な人・不要な人
所得税法は、亡くなった人がその年分の確定申告をしなければならない場合に当たるとき、相続人が準確定申告書を出すと定めています(125条1項)。判断の物差しは、生前の確定申告と同じです。
| 区分 | 亡くなった人の例 | 準確定申告 |
|---|---|---|
| 必要になりやすい | 個人事業を営んでいた、アパートや駐車場を貸していた、年金のほかに20万円を超える所得があった、公的年金等の収入が400万円を超えていた | 納める税額が出るなら、4か月以内に申告・納税する義務がある |
| 必要(前年分も) | 1月1日から3月15日までに亡くなり、確定申告が必要だった前年分をまだ出していなかった | 前年分と本年分の両方を、同じ4か月の期限までに出す |
| 義務なし | 公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下だった | 出さなくてよい |
| 出すと戻る場合がある | 義務はないが、医療費を多く払っていた、年金から所得税が源泉徴収されていた | 申告すれば還付を受けられる(125条2項)。還付だけの申告の期限は、税務署で確かめる(早めの提出が無難) |
年金だけの人が「義務なし」になるのは、確定申告不要制度があるためです。国税庁は、この制度に当たる人でも、医療費控除や社会保険料控除などで還付を受けるための申告はできると案内しています。亡くなった年は1年の途中までしか年金を受け取っていないので、源泉徴収された所得税が、控除を反映した本来の税額より多くなっていることがあります。
住民税は別の仕組みです。個人の住民税の賦課期日は毎年1月1日と定められています(地方税法39条・318条)。亡くなった年の住民税をどう納めるか、翌年度の扱いはどうなるかは、亡くなった人が住んでいた市区町村の税務担当に確かめてください。
準確定申告の期限:4か月の数え方と遅れたとき
期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までです。たとえば2026年6月9日に亡くなり、その日に知った場合は、2026年10月9日が期限になります(筆者の計算。期限の日が土日祝日なら翌日)。相続税の10か月、相続放棄の3か月とあわせた期限の一覧は相続の期限一覧で確かめてください。
申告が必要な人の準確定申告が期限に遅れると、ほかの国税と同じく無申告加算税と延滞税の対象になります。調査の通知が来る前に自分から出せば、無申告加算税は5%に軽くなる仕組みです。遅れそうなときほど、書類がそろった範囲で早めに出すことを優先します。
準確定申告のやり方:7つの手順
- 必要かどうかを判定する:前年の確定申告書の控え、年金の源泉徴収票、事業や賃貸の帳簿を見て、上の表のどれに当たるかを決めます。
- 書類を集める:年金を受けていた人は、日本年金機構から「準確定申告用」の源泉徴収票が届きます。死亡届や未支給年金の手続きの後、おおむね2〜3か月で発送されるので、年金の手続きは早めに済ませます。書類の一覧は次の準確定申告の必要書類にまとめました。
- 1月1日から死亡日までの所得を計算する:事業所得や不動産所得は、死亡日までの収入と経費で計算します。
- 所得控除を当てはめる:医療費控除・社会保険料控除・生命保険料控除などは、亡くなった日までに本人が支払った分だけが対象です。配偶者控除や扶養控除は、亡くなった日の現況で判定し、月割りにはしません。死亡後に相続人が払った入院費の扱いは準確定申告の医療費控除で扱います。
- 申告書と付表を作る:申告書に「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付します。付表には各相続人の氏名、住所、亡くなった人との続柄などを書きます。記入の仕方は準確定申告の書き方と付表の記載例で確かめてください。
- 相続人の出し方を決める:相続人が2人以上なら連署して1通で出すか、各人が別々に出して他の相続人に内容を知らせます。還付金を代表者がまとめて受け取るなら「委任状(準確定申告書用)」を付けます。
- 提出して納める・還付を受ける:死亡当時の納税地の税務署に、期限までに提出・納付します。
e-Taxで出す場合と、作成コーナーでは作れない点
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、準確定申告書は作成できません。国税庁は、e-Taxソフトなどを使って作り、e-Taxで送信するよう案内しています。書面で作る場合は、国税庁のホームページの申告書と付表の様式を印刷して記入し、税務署に持参か郵送で出します。
e-Taxで出せるのは、2020年1月6日以降に提出する2020年(令和2年)分以後の準確定申告です。2019年分以前は電子申告できません。e-Taxで出すときの書類と送信の決まりは次のとおりです。
| 書類・項目 | 内容 |
|---|---|
| 準確定申告書 | XML形式で送信 |
| 付表 | 相続人が1人でも、XML形式で送信する |
| 確認書 | 相続人が2人以上なら、各相続人が申告内容を確認して署名したものをPDFで送信 |
| 委任状 | 代表者が他の相続人の還付金を受け取る場合に、各相続人が署名したものをPDFで送信 |
| 送信に使うIDと電子証明書 | 相続人代表のID(利用者識別番号)と、相続人代表の電子証明書(代表以外の電子証明書は添付できない) |
| 税理士が代理送信する場合 | 税理士のIDと電子証明書。相続人代表の電子証明書は省略できる |
申告書の氏名欄は「(被相続人)国税 太郎 (相続人)国税 花子」のように、全角30文字以内で入力するよう国税庁は示しています。e-Taxソフトの操作に不安があるなら、書面で出すほうが早い場合もあります。
準確定申告と相続税の関係
準確定申告で納めた所得税は、亡くなった人の債務として相続税の計算で差し引けます。国税庁は、相続財産から控除できる債務に、亡くなった人の税金で死亡後に納めることになったものを挙げています。相続税がかかりそうな家では、準確定申告を先に終わらせると、相続税の申告に載せる債務の額が確定して作業が進めやすくなります。債務控除の範囲は相続税の債務控除で整理しています。
自分で書くのが難しい、事業や賃貸の帳簿が整っていない、という場合の頼み先は準確定申告は誰に頼む?で比べています。
「準確定申告」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。
よくある質問
Q. 準確定申告をしないとどうなりますか?
亡くなった人が確定申告の必要な人だった場合、期限後に申告すると無申告加算税と延滞税がかかることがあります。確定申告が要らない条件に当たる人なら義務はありませんが、医療費控除などで税金が戻る場合でも、申告しなければ還付は受けられません。どちらに当たるかを、年金の源泉徴収票や前年の申告書の控えで先に確かめると判断が早くなります。
Q. 準確定申告で納めた所得税は、相続税の計算で差し引けますか?
差し引けます。国税庁は、亡くなった人の税金で死亡後に納めることになったものを、相続財産から控除できる債務に挙げています。準確定申告で納めた所得税はこれに当たるので、相続税の申告では債務として載せます。反対に還付を受けた場合は、その還付金を相続人が受け取ることになります。
Q. 相続人が遠くに住んでいて集まれません。1人ずつ別々に出せますか?
出せます。相続人が2人以上いるときは連署して1通で出すのが基本ですが、他の相続人の氏名を書いて各人が別々に出すこともできます。その場合は、出した人が他の相続人に申告内容を知らせる必要があります。e-Taxなら、代表の相続人が送信し、他の相続人は内容を確認して署名した確認書をPDFで送る方法もあります。
出典・参考にした公的な情報
- No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)(国税庁)
- 所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について(国税庁)
- 所得税法 第120条・第121条・第125条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.1600 公的年金等の課税関係(確定申告不要制度)(国税庁)
- No.4126 相続財産から控除できる債務(国税庁)
- 地方税法 第39条・第318条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 年金受給者が亡くなった場合の準確定申告用の源泉徴収票(年金Q&A)(日本年金機構)
- 国税通則法 第66条(無申告加算税)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。