不動産売却の流れ / Q&A

任意売却のデメリット:信用情報・残る借金・売れない場合の競売

この記事のもくじ
  1. 信用情報:延滞や保証履行の記録が、数年残る
  2. 残る借金:売って終わりではなく、返し方を決め直す
  3. 買い手がつかない:期間内に売れないと、競売に進むことがある
  4. 申出書を出す前に知っておく、そのほかの不利な点
  5. デメリットを小さくするための確認リスト

任意売却のデメリットは、大きく3つです。信用情報に延滞などの記録が残ること、売っても借金が残ること、期間内に買い手がつかないと競売に進むことです。どれも売り方そのものより、返済が止まっている状態から生まれるものなので、早く動くほど減らせる部分があります。制度の全体像は任意売却とは?競売との違い・流れ・相談する前に知ることにあり、この記事では不利な点だけを順に確かめます。

信用情報:延滞や保証履行の記録が、数年残る

信用情報機関に登録されるのは、返済の遅れや、保証会社が代わりに払った事実などです。全国銀行個人信用情報センターの説明では、延滞、代位弁済、強制回収手続などの取引情報は、契約期間中と、契約終了日(完済されていなければ完済日)から5年を超えない期間にわたって登録されます。破産手続や民事再生手続の開始決定は官報情報として、決定日から7年を超えない期間です。

日本信用情報機構(JICC)の表でも、延滞、債務整理、強制解約、債権回収、保証履行は、2019年10月1日以降の契約で、契約継続中と契約終了後5年以内の登録とされています。どちらの機関の表にも「任意売却」という区分は載っていません。つまり、任意売却をしたこと自体の記録が何年残るかは公開資料から読み取れず、残るのは延滞や保証履行といった事実のほうです。

ここで押さえたいのは、競売になっても、放置して延滞が続いても、同じ記録は付くという点です。任意売却だけが信用情報を傷つけるのではなく、返済が遅れた時点で記録の対象になっています。影響が出るのは、新しいローンやクレジットカードの申込みなど、会員が信用情報を照会する場面で、住み替えの資金計画に関わります。

機関 対象の事実 登録期間(公開資料の表現)
全国銀行個人信用情報センター 延滞・代位弁済・強制回収手続(取引情報) 契約期間中と、契約終了日から5年を超えない期間
同上 破産・民事再生の開始決定(官報情報) 決定日から7年を超えない期間
JICC 延滞・債務整理・強制解約・債権回収・保証履行 契約継続中と契約終了後5年以内(2019年10月1日以降の契約)

自分の登録内容は、各機関に本人が開示を請求して確かめられます。開示の方法は機関ごとに違うため、各機関の公式ページで手順を見てください。

残る借金:売って終わりではなく、返し方を決め直す

売却代金が残高に届かなければ、足りない分は借金として残ります。住宅金融支援機構のパンフレットは、任意売却後に債務が残る場合、債務者と連帯保証人(破産免責となっている人を除く)に返済義務が残るとしています。そのうえで、売却後の返済計画は、本人の生活状況などを踏まえて返済可能な金額を決めていくと書かれています。

売却代金は、基本的に借入先への返済に充てます。機構が差し引くことを承諾できる費用として挙げているのは、不動産仲介手数料、抹消登記費用、破産財団組入金などです。後ろの順位の抵当権者や差押えをした人がいる場合は、その人たちへの配分額も事前に協議が要ります。手元に残るお金がほとんどないまま、引っ越し費用と新しい住まいの初期費用を自分で用意する場面もあるので、退去後の資金は別に計算しておきます。

早見表:任意売却の売却代金の行き先と、残る借金
項目 内容
売却代金 借入先への返済が基本。差し引ける費用は借入先と事前に協議
差し引きを承諾できる費用の例(機構) 不動産仲介手数料、抹消登記費用、破産財団組入金など
他の債権者の同意 後順位抵当権者・差押債権者がいれば、配分額を事前に協議
足りない分 債務者と連帯保証人に返済義務が残り、返済額は生活状況を踏まえて協議

返済計画の協議で月々の額が決まらない、他にも借金がある、という場合は、家を売る話と並べて債務整理も考えます。窓口の番号と受付時間は相続・不動産売却の無料相談窓口一覧にあり、弁護士と司法書士のどちらに何を頼めるかは専門家の違いと頼み分けで比べられます。残債の考え方はオーバーローンのマンション売却:足りない分の払い方と住み替えローンも参考になります。

買い手がつかない:期間内に売れないと、競売に進むことがある

任意売却は、借入先が認めた売出価格で買い手を探します。機構のパンフレットでは、機構が通知した価格より下で買い手を見つけても、抵当権の抹消に応じられない場合があるとされています。市場の感覚と借入先が認める価格の間に開きがあると、内見は入っても契約まで進まないことになります。

期限もあります。パンフレットでは、初回の媒介契約を結んでから6か月たっても購入希望者が現れない場合などに、任意売却をやめて競売の手続きに着手したり、仲介業者の変更を促したりすることがあるとされています。申出書にも、任意売却が成立する見込みがないと機構が判断したときは、競売の申立てが行われることを承諾する旨が書かれています。

買い手がつかないときに打てる手を、順番に並べます。

  1. 販売活動状況報告書で、内見の件数と反応を仲介業者から受け取り、価格が合っているかを見直す
  2. 売出価格を変えたいときは、報告書の価格見直し理由の欄に状況を書いて、借入先に再確認してもらう
  3. 報告が遅い、書類が揃わないなど業者側に原因があるなら、仲介業者の変更を借入先に相談する
  4. 室内の清掃と片付け、内見への協力を見直す(パンフレットが売主に求めている協力事項)

媒介契約の期間と更新のしくみは媒介契約の種類と選び方にまとめています。6か月は機構の例で、民間の銀行や保証会社は期間も進め方も違うため、自分の借入先に聞きます。

申出書を出す前に知っておく、そのほかの不利な点

機構の手続きでは、任意売却の申出書を出すことが、返済継続を断念して月々の返済を行う権利を放棄した意思表示とされます。割賦返済中なら残高全額の繰上償還を求められ、一部のフラット35では団体信用生命保険の保障も終わります。返済の相談で家を残せる余地があるうちは、申出書を出す時期を急がないことが、実際には最大の備えになります。

また、売却の間は内見に応じ、物件を清潔に保つ必要があります。近所に事情を知られたくない人は、写真撮影や広告の出し方を仲介業者に伝えておきます(パンフレットも、物件処分を近隣に知られたくない人への配慮を求めています)。売却益が出たときは、手元にお金が入らなくても税金の対象になることがあり、その点は任意売却でも譲渡所得税はかかる?自宅の3,000万円控除との関係で扱います。

デメリットを小さくするための確認リスト

  • 返済が止まる前に、借入先へ条件変更の相談をしたか
  • 売却後の残債の返し方(月々の額)を、売る前に借入先と話したか
  • 連帯保証人に、状況と残債の可能性を伝えたか
  • 売出価格が借入先の確認を受けた価格か、内見の反応と合っているか
  • 6か月など、借入先が示す期限と、競売に切り替わる条件を書面で確かめたか
  • 引っ越し先と、退去後の初期費用の見通しがあるか
  • 仲介業者の免許と費用の説明を確かめたか(確認点は任意売却の業者の選び方)

よくある質問

Q. 任意売却をすると、いわゆるブラックリストに載りますか?

「ブラックリスト」という名前の名簿が公開資料にあるわけではありません。信用情報機関に登録されるのは、延滞、強制解約、債権回収、保証履行などの事実で、期間はJICCで契約継続中と契約終了後5年以内(2019年10月1日以降の契約)、全国銀行個人信用情報センターで契約終了日から5年を超えない期間です。登録のきっかけは、売り方よりも、返済が遅れたことにあります。

Q. 任意売却をすると、連帯保証人にも迷惑がかかりますか?

売却代金で返しきれなかった残りの借金は、連帯保証人にも返済義務が残ります。住宅金融支援機構のパンフレットは、債務者と連帯保証人(いずれも破産免責となっている人を除く)に返済義務が残るとしています。任意売却を決める前に、連帯保証人にも状況を伝えて、一緒に返し方を考える順番が現実的です。

Q. 任意売却にかかる費用は、自分で用意するのですか?

住宅金融支援機構の手続きでは、パンフレットの手続きに協力できる場合、売却代金から不動産仲介手数料や抹消登記費用などを差し引いて渡せる場合があるとされています。自己資金を先に出すとは限らず、何が差し引けるかは借入先との事前の協議で決まります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

任意売却とは?競売との違い・流れ・相談する前に知ること

任意売却の業者の選び方:悪質業者を見分ける確認点と相談先

任意売却でも譲渡所得税はかかる?自宅の3,000万円控除との関係

オーバーローンのマンション売却:足りない分の払い方と住み替えローン