相続税の納め方と支払い方法:期限・納付書・クレジットカードの上限
相続税は、申告期限と同じ日までに納めます。期限は、亡くなったことを知った日(通常は死亡日)の翌日から10か月以内で、国税庁のコード4205 の例では1月6日に亡くなった場合は同じ年の11月6日です。払い方は、口座からのダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリ、コンビニ、金融機関や税務署の窓口から選べますが、金額の上限があるものが多く、相続税のような大きな額は窓口かダイレクト納付・インターネットバンキングが中心になります。一度に払えないときは、申告期限までに申請すれば延納・物納という制度があります。
相続税の納め方の結論:いつまでに、誰が払うか
いつまでに:納期限は申告期限と同じです。期限の日が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。申告だけ期限内に出して、納付が遅れた場合も延滞税がかかります。
誰が:相続税は、遺産の総額から相続税の総額を出し、それを各人が取得した財産の割合で分けて、各人の納める税額を決める仕組みです(国税庁のコード4152)。申告書は相続人が共同で1通にまとめて出せますが、納めるのは各人の税額です。相続人ごとの申告の決まりは相続税の申告は誰がするかにまとめています。
どこに:申告書の提出先は、亡くなった人の死亡時の住所地を所轄する税務署です(相続人の住所地ではありません)。窓口で納める場合も、税務署なら納税地を所轄する税務署の窓口です。
支払い方法の一覧と選び方
国税庁の各手続の案内をもとに、相続税で使える支払い方法を並べます。
| 支払い方法 | 上限 | 手数料 | 領収証書 | 準備 |
|---|---|---|---|---|
| 金融機関・税務署の窓口(現金+納付書) | 制限なし | 不要 | 発行される | 納付書を用意する |
| ダイレクト納付(e-Taxから口座引落し) | 金融機関の利用可能額による | 不要 | 発行されない | 事前にe-Taxの利用開始手続と利用届出書(オンラインで約1週間、書面で約1か月)。本人名義の口座だけ使える |
| インターネットバンキング・ATM | 金融機関による | 金融機関による | 発行されない | 口座の契約 |
| クレジットカード | 1,000万円未満かつカードの決済可能額以下 | 決済手数料がかかる | 発行されない | 専用サイトで手続き |
| スマホアプリ納付 | 30万円以下 | 不要 | 発行されない | e-Taxで申告した後、受信通知から専用サイトへ。事前にアプリのアカウント残高へチャージする |
| コンビニ(QRコード・バーコード付納付書) | 30万円以下 | 不要 | 払込金受領証のみ | QRコードを作るか、税務署にバーコード付納付書を頼む |
選ぶときの目安は次のとおりです。
- 数百万円以上:窓口納付か、ダイレクト納付・インターネットバンキング。窓口なら額の制限がなく、領収証書がその場で出ます。
- 領収証書が欲しい:窓口納付だけが領収証書を発行します。キャッシュレスの方法では発行されないので、後で納税の証明が要るなら納税証明書を請求します。
- 口座振替(振替納税)は使えない:国税庁の案内で、振替納税が使えるのは申告所得税と個人事業者の消費税です。所得税の確定申告と同じ感覚で待っていても、相続税は引き落とされません。
- クレジットカード:手数料は国の収入ではなく決済の手数料で、額に応じてかかります。ポイントと手数料を比べてから選びます。
納付書で払う手順
窓口で納める場合の流れです。
- 納付書を手に入れる:納付書は税務署と、所轄税務署の管内の金融機関に用意されています。金融機関に置いていなければ所轄の税務署に連絡します。コンビニで払いたい場合は、申告書の提出時か提出後に、バーコード付納付書を頼みます(納付税額30万円以下)。
- 納付書に記入する:住所、氏名、税額、申告書を提出した税務署名など、納付書の裏面の書き方に沿って記入漏れのないように書きます。納付書の様式の細かい違いは、窓口で渡される案内に従ってください。
- 相続人ごとに分ける:各人の税額ごとに1枚ずつ書きます。
- 窓口で現金と一緒に出す:金融機関(日本銀行歳入代理店)か所轄の税務署の窓口で納めます。窓口ではクレジットカードは使えません。税務署の総合窓口は、2026年10月1日から原則として9時から15時の受付です。
- 領収証書を保管する:後で納税証明書を請求するときに持参を求められることがあります。
金融機関の窓口での伝え方の例:「相続税の納付です。納付書は3人分あり、それぞれ記入してあります。領収証書は1人ずつに分けてください」
一度に払えないとき:延納・物納の入口
相続税は金銭で一度に納めるのが原則ですが、相続税には特別な納め方として延納と物納があります。どちらも申告書の提出期限までに申請書などを出して許可を受けることが前提です。
| 制度 | 中身 | 主な要件(国税庁のコード4211・4214) |
|---|---|---|
| 延納 | 何年かに分けて金銭で納める。利子税がかかる | 税額が10万円を超える、金銭で一度に納めるのが難しい、担保を出す(延納税額100万円以下かつ期間3年以下なら不要) |
| 物納 | 相続した財産そのもので納める | 延納でも金銭で納めるのが難しい額が限度。国内の相続財産で、管理処分に適さない財産でないこと |
延納の期間と利子税の割合は、遺産に占める不動産等の割合で変わり、特例の割合は年ごとに変わります。期間と割合、申請から許可までの流れは相続税の延納・物納の要件と申請の流れで、延納・物納と、不動産を売って納める方法の比べ方は相続税が払えない場合の選択肢で確かめてください。
納付が遅れたときにかかるもの
納期限の翌日から納める日までの日数に応じて延滞税がかかります。国税庁のコード9205 によると、2026年1月1日から12月31日までの期間の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です。
筆者の計算例:相続税1,000万円の納付が納期限から30日遅れた場合 10,000,000円 × 2.8% × 30日 ÷ 365日 = 約23,000円(端数処理前の概算)
申告そのものを期限までに出していなければ、延滞税に加えて無申告加算税がかかる場合があります。期限を過ぎたときの影響は相続税の申告をしないとどうなるかで、申告から納付までの日程の組み方は相続税の申告の流れと10か月のスケジュールで確かめられます。
「相続税 納め方」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。
よくある質問
Q. 相続税は相続人の誰がまとめて払うのですか?
相続税は、相続人それぞれが自分の取得した財産に応じて計算された税額を納めます。申告書は共同で1通にまとめて出せますが、納付は各人の税額ごとです。誰かがまとめて立て替える場合は、遺産分割の中でどう精算するかを相続人で決めておきます。
Q. 相続税を遺産の預金から払えますか?
遺産分割が終わる前でも、各相続人が単独で、預貯金の一定額まで払い戻せる仮払いの制度があります(民法909条の2)。ただし金融機関ごとの上限があり、相続税の額に届かないことも多いので、遺産分割を早めにまとめるか、相続人の手元資金で先に納める方法も考えておきます。制度の上限と手続きは「預金の相続の仮払い制度」の記事で確かめられます。
Q. 相続税を口座振替(振替納税)で払えますか?
国税庁の振替納税の案内では、使える税目は申告所得税と個人事業者の消費税です。相続税には使えないので、ダイレクト納付やインターネットバンキング、窓口納付などから選びます。
出典・参考にした公的な情報
- No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- 窓口納付(現金に納付書を添えて納付)(国税庁)
- No.9209 コンビニ納付(バーコード付納付書)(国税庁)
- No.9209-2 コンビニ納付(QRコード)(国税庁)
- スマホアプリ納付の手続(国税庁)
- 振替納税の手続(国税庁)
- No.4211 相続税の延納(国税庁)
- No.4214 相続税の物納(国税庁)
- 民法 第909条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.9205 延滞税について(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。