相続税と申告 / 手順

相続税の申告の流れ:10か月の期限までにやることのスケジュール

この記事のもくじ
  1. 相続税の申告の期限・提出先・提出方法
  2. 10か月の逆算スケジュール
  3. 申告書の構成:第1表〜第15表を作る順番
  4. 遺産分割がまとまらないときの申告
  5. 申告後に誤りに気づいたとき・誰に頼むか

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内に、亡くなった人の住所地を所轄する税務署へ申告書を出し、同じ日までに納税します(相続税法27条、国税庁 No.4205)。たとえば2026年6月9日に亡くなった場合、申告期限は2027年4月9日です。10か月のあいだに、相続人の確定、財産の調査と評価、遺産分割、申告書の作成を順に進めます。この記事では、期限から逆算したスケジュールと、申告書を作る順番を示します。

相続税の申告の期限・提出先・提出方法

まず、申告が必要かどうかと、いつ・どこへ出すかを確かめます。財産を取得した人の課税価格の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると申告が必要です。小規模宅地等の特例などを使って基礎控除以下になる場合も、特例を使うために申告が要ります(No.4124、No.4158)。基礎控除の判定は相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定で確かめられます。

項目 内容
申告期限 相続を知った日の翌日から10か月目の日。土日祝日などに当たるときは翌日
期限の例 2026年6月9日に死亡→2027年4月9日(金)。2026年6月10日に死亡→10か月目が土曜のため2027年4月12日(月)
提出先 亡くなった人の死亡時の住所地を所轄する税務署(相続人の住所地ではない)
提出方法 窓口・郵送・時間外収受箱・e-Tax。財産を取得した人が共同で1通にまとめて出せる(別々でもよい)
納税 申告期限が納期限。遅れると延滞税がかかる
書くもの 各相続人のマイナンバー。本人確認のための書類も添える

期限の例は筆者の計算です(民法143条の暦による期間の数え方)。書面で出す場合は、提出前に申告書一式の写しを取って保管します。

10か月の逆算スケジュール

法律で決まっている期限は、相続放棄・限定承認の3か月、準確定申告の4か月、相続税の申告・納税の10か月です。そのあいだの作業の目安を、期限から逆算して並べます。

スケジュール:亡くなってから10か月までの相続税の申告の流れ
時期 やること 期限・目安
〜1か月 遺言書の有無を確かめる。戸籍を集めて相続人を確定する 目安(筆者)
〜3か月 財産と借金をひととおり洗い出し、相続放棄・限定承認をするか決める 法定の期限(民法915条)
〜4か月 亡くなった年の所得税の準確定申告と納税 法定の期限(所得税法124・125条)
〜6か月 財産の評価(土地は路線価など)、生命保険・退職金・生前贈与の確認、債務・葬式費用の集計 目安(筆者)
〜8か月 遺産分割協議をまとめ、協議書に署名押印する。特例を使うかを決める 目安(筆者)
〜9か月 申告書を作り、添付書類をそろえる。納税資金を用意する(延納・物納は申告期限までに申請) 目安(筆者)
10か月 申告書の提出と納税 法定の期限(相続税法27条)

国税庁は、申告の準備として、①戸籍で相続人を確認、②遺言書の確認、③遺産と債務の目録づくり、④財産の評価、⑤遺産分割、⑥10か月以内の申告・納税の順を示しています(No.4202)。相続全体の期限は相続の期限一覧:3か月・4か月・10か月・3年の順番、準確定申告は準確定申告とは?4か月の期限・必要な人・やり方で扱っています。

遅れやすいのは、財産の評価と遺産分割です。土地が複数ある、非上場株式がある、相続人が遠方に住んでいるといった事情があれば、8か月の目安より前に分割の話し合いを始めます。

申告書の構成:第1表〜第15表を作る順番

相続税の申告書は、表ごとに役割が分かれています。次の順に作ると、前の表の数字を後の表へ移していけます。

  1. 財産と債務の明細を作る(第9表〜第15表):土地の評価明細書など評価に必要な書類を先に作っておきます。
  2. 課税価格の合計と相続税の総額を出す(第1表・第2表)
  3. 税額控除などを計算して各人の納める税額を出す(第4表〜第8表→第1表)
表 内容
第9表 生命保険金などの明細(非課税金額の計算)
第10表 退職手当金などの明細
第11・11の2表の付表 小規模宅地等の特例などの計算
第11表 相続税がかかる財産の明細
第13表 債務と葬式費用の明細
第14表 加算対象の生前贈与などの明細
第15表 相続財産の種類別の価額
第1表・第2表 課税価格の合計と相続税の総額
第4表・第4表の2 2割加算、暦年課税分の贈与税額控除
第5表〜第8表 配偶者の税額軽減、未成年者・障害者控除、相次相続控除、外国税額控除

相続時精算課税で贈与を受けた人がいる場合は、第11の2表も作ります。申告書の様式は国税庁のホームページから取り出せ、添付書類は申告書と一緒に出します。添付書類の一覧は相続税の申告の必要書類:添付書類一覧と取得先にまとめています。家族で書く場合の進め方は相続税の申告を自分でする方法:できるケースと国税庁の作成コーナーで扱っています。

遺産分割がまとまらないときの申告

申告期限までに遺産分割がまとまらなくても、期限は延びません。民法の法定相続分などで財産を取得したものとして計算し、期限内に申告と納税をします(No.4208)。

この「未分割」の申告では、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例を使えません。後から使えるようにするには、申告期限から3年以内に分割します。配偶者の税額軽減では、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて出しておきます(No.4158)。分割があったことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求をすると、特例を使った税額に直せます(No.4208、相続税法32条)。

時点 すること
申告期限まで 法定相続分などで申告・納税。配偶者の税額軽減を使う見込みなら分割見込書を添える
申告期限から3年以内 遺産分割をまとめる
分割から4か月以内 更正の請求(税額が減る場合)または修正申告(増える場合)

配偶者の税額軽減では、訴えの提起など3年以内に分割できないやむを得ない事情があるとき、3年を経過する日の翌日から2か月以内に税務署長へ承認の申請書を出す制度があります(相続税法施行令4条の2)。未分割の申告の手順は遺産分割がまとまらない時の相続税の申告:遺産分割未了での手順で詳しく扱っています。

申告後に誤りに気づいたとき・誰に頼むか

申告書を出したあとで誤りに気づいた場合、税額が少なかったときは修正申告書を出し、多すぎたときは申告期限から5年以内に更正の請求をします(国税通則法23条)。修正申告で納める税額には、加算税や延滞税がかかることがあります。遺言書が後から見つかった、遺留分の請求で払う額が決まったなど相続に特有の事情が起きたときは、それを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます(相続税法32条)。

申告を家族でするか、専門家に頼むかは、財産の種類と家族の状況で決まります。

相続税の申告に詳しい税理士を探す方法として、税理士紹介サービスを使う選択肢もあります。紹介先が登録税理士かは税理士紹介サービスを使う前に確かめる4つの点で確かめ、見積もりでは相続税の申告の経験、報酬の決まり方(財産額による加算など)、申告期限までの日程を確かめてください。養子がいる家族の人数の数え方は相続税と養子縁組:孫を養子にすると減る額と、数えられる人数の上限で確かめられます。

「相続税 申告」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。

よくある質問

Q. 相続人ごとに別々に申告書を出してもよいですか?

出せます。相続税の申告書は、財産を取得した人が共同で作って1通にまとめて出すことができますが、まとめる義務はなく、別々に出してもかまいません(相続税法27条、No.4205)。別々に出すと財産の評価額が人によって食い違うことがあるので、評価の前提はそろえておきます。

Q. 相続税がかからない場合でも、申告が必要なことはありますか?

あります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って税額がゼロになる場合は、申告書を出すことが特例を使う要件です。特例を使う前の課税価格の合計が基礎控除額を超えるかどうかで、申告の要否を判断します。

Q. 10か月の期限に遅れそうなときは、どうすればよいですか?

遺産分割がまとまらないことは期限を延ばす理由になりません。法定相続分で分けたものとして期限内に申告し、分割後に修正申告や更正の請求で直す方法があります。災害などやむを得ない理由がある場合は、税務署長への申請で期限が延びる制度があります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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