相続時精算課税の手続き:選択届出書の出し方と必要書類
相続時精算課税を選ぶのに必要な書類は、「相続時精算課税選択届出書」と、受贈者の戸籍の謄本または抄本などです。戸籍は、受贈者の氏名・生年月日と、受贈者が贈与者の推定相続人(子など)または孫であることが分かるもので、贈与を受けた日以後に作られたものに限られます。提出の期限は、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までで、提出先は受贈者の住所地を所轄する税務署です。贈与が110万円を超えて申告が要るときは、届出書と戸籍を申告書に添えて出します。
相続時精算課税の必要書類の一覧
国税庁の案内(No.4304・No.4103)と様式一覧をもとに、場面ごとに要る書類を並べます。
| 書類 | 要る場面 | 手に入れる先 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 相続時精算課税選択届出書(令和6年以後用) | 精算課税を選ぶ最初の年 | 国税庁の様式一覧・税務署 | 贈与者ごとに1枚 |
| 受贈者の戸籍の謄本または抄本など | 届出書を出すとき | 本籍地の市区町村(広域交付なら最寄りの窓口) | 贈与日以後に作成されたもの |
| 贈与税の申告書 | その年の精算課税の贈与が110万円を超えるとき | 国税庁の確定申告書等作成コーナー・様式一覧 | 届出書と戸籍を添える |
| 本人確認書類の写し | 届出書や申告書にマイナンバーを書くとき | マイナンバーカードなど | 提示か写しの添付 |
| 相続時精算課税選択届出書付表 | 受贈者が届出書を出す前に亡くなったとき | 国税庁の様式一覧 | 受贈者の相続人全員が連署し、相続人が死亡を知った日から10か月以内に出す(No.4305) |
住宅を買う資金の贈与で、贈与者が60歳未満でも精算課税を選べる特例は、令和8年(2026年)12月31日までの贈与が対象です(No.4503)。使う場合は、特例を使う旨を書いた申告書に届出書などを添えます。住宅資金の非課税と組み合わせるときの書類は住宅取得等資金の贈与の非課税で扱います。
なお、贈与税の配偶者控除(夫婦間の居住用不動産の贈与)では戸籍の附票の写しを添えますが、精算課税の届出書について国税庁が挙げているのは戸籍の謄本・抄本などです。どちらの制度の書類かを混同しないようにします。
贈与から提出までの手順
贈与を受けた年の流れを、番号順に並べます。
- 要件を確かめる:贈与者が贈与の年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母など、受贈者が同じ日に18歳以上の子(推定相続人)または孫であること。
- 贈与をして記録を残す:贈与契約書を作り、現金なら振込で渡す。日付と金額が届出書・申告書の記載の元になる。
- 贈与日の後に戸籍を取る:受贈者の戸籍の謄本などを取る。贈与日より前に作られた戸籍は使えない。
- 届出書を書く:様式の欄に沿って、受贈者と特定贈与者(精算課税を選ぶ贈与者)のことを書く。贈与者ごとに作る。
- 申告が要るかを判定する:その年に精算課税で受けた贈与の合計が110万円を超えるか見る。超えれば申告書も作る。判定の仕方は相続時精算課税の110万円にまとめています。
- 翌年2月1日〜3月15日に提出する:申告が要らないなら届出書と戸籍だけ、要るなら申告書に届出書と戸籍を添える。期限の日が土日祝日なら翌日。
- 控えを保管する:提出した届出書・申告書の控えと戸籍の写しを、贈与者が亡くなる時まで保管する。
2026年中に贈与を受けた場合、提出の期間は2027年2月1日から3月15日までです。
- 2026年の贈与日:贈与契約書・振込
- 贈与日の後:受贈者の戸籍の謄本などを取る
- 2027年2月1日〜3月15日:届出書(+110万円超なら申告書)を税務署へ
- 2028年以後:110万円を超えた年だけ申告。届出書は出し直さない
戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(戸籍の広域交付)。法務省の案内では、請求できるのは本人・配偶者・父母などの直系尊属・子などの直系卑属で、窓口に本人が出向き、顔写真付きの身分証明書を見せます。郵送や代理人による請求、抄本(個人事項証明書)の請求は広域交付ではできないので、その場合は本籍地の市区町村に請求します。戸籍の取り方の全体は相続手続きの戸籍謄本の集め方も参考になります。
提出の方法:e-Tax・郵送・窓口
国税庁の贈与税の申告手続の案内では、提出の方法は次のとおりです。
| 方法 | やり方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| e-Tax | 確定申告書等作成コーナーで作った申告書をe-Taxで送信する | 添付書類の出し方は作成コーナーの画面の案内に従う |
| 郵送・信書便 | 作成コーナーで作って印刷するか、様式に手書きして送る | 期限までに届くよう日数に余裕を見る |
| 時間外収受箱 | 税務署の時間外収受箱に入れる | 閉庁時間でも出せる |
| 税務署の窓口 | 所轄の税務署に持参する | 2026年10月1日以降、全税務署の受付時間は午前9時から午後3時まで(8時30分〜17時の間なら手続は受け付ける) |
提出先は、贈与者ではなく受贈者の納税地(通常は住所地)を所轄する税務署です。親と子が別の市に住んでいるときに間違えやすい点です。贈与税の申告そのものの書き方は贈与税の申告のやり方:2月1日〜3月15日の手続きと必要書類で扱います。
出す前の確認リスト:よくある不備
提出前に、次の項目を1つずつ確かめます。
- 戸籍の作成日が、贈与日以後になっているか
- 戸籍で、受贈者の氏名・生年月日と、贈与者との関係(子または孫)が読み取れるか。孫の場合、孫の戸籍だけで祖父母とのつながりが読み取れないときは、親の戸籍も添えるかを税務署で確かめる
- 精算課税の贈与者が2人以上なら、贈与者ごとに届出書を作ったか
- 110万円を超えた年なら、申告書を作り、届出書と戸籍を添えたか
- 3月15日(土日祝日なら翌日)までに着くか。2,500万円の特別控除は、期限内に申告した場合に限って使える
- 精算課税を選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻れないことを、家族で確かめたか(判断材料は相続時精算課税のデメリット)
2年目以後の手続きと、制度の全体
届出書は最初の年に1回出せば、その贈与者についての選択は続きます。2年目以後は、精算課税の贈与が110万円を超えた年だけ、翌年3月15日までに申告書を出します。110万円以下の年は、税務署に出すものはありませんが、贈与契約書と振込記録は残しておきます。
書き方で迷ったときは、国税の電話相談センターで一般的な質問ができます。番号とかけ方は相続税の相談は税務署でできる?電話相談センターと面接相談の使い方にまとめています。制度の対象者・特別控除・税率をもう一度確かめるときは相続時精算課税とはに戻ってください。
よくある質問
Q. 戸籍は贈与の前に取っておいてもよいですか?
使えません。国税庁の案内では、添付する戸籍の謄本などは「贈与を受けた日以後に作成されたもの」です。贈与の後、届出書を出す前に取ります。
Q. 精算課税の贈与者が父と母の2人なら、届出書は何枚出しますか?
精算課税は贈与者ごとに選ぶ制度なので、父について、母について、と贈与者ごとに届出書を作ります。戸籍は、それぞれの贈与者との関係が分かるものを用意します。
Q. 届出書の用紙はどこで手に入りますか?
国税庁のホームページの贈与税の様式一覧に「相続時精算課税選択届出書(令和6年以後用)」が載っており、印刷して使えます。
出典・参考にした公的な情報
- No.4304 相続時精算課税選択届出書の添付書類(国税庁)
- No.4103 相続時精算課税の選択(国税庁)
- 贈与税の申告手続(国税庁)
- 令和7年分 贈与税の申告書等の様式一覧(国税庁)
- No.4429 贈与税の申告と納税(国税庁)
- No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(国税庁)
- 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)(法務省)
- No.4305 相続時精算課税選択届出書に添付する書類(贈与税の申告期限前に受贈者が死亡した場合)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。