生前贈与と贈与税 / 比較

生前贈与の相談先:税務署・税理士・司法書士・銀行の違いと費用

この記事のもくじ
  1. 生前贈与の相談先の早見表:聞けること・聞けないこと
  2. 税務署:無料で制度を聞く窓口の使い方
  3. 税理士:自分の場合の税額と制度の選び方を相談する
  4. 司法書士・弁護士・行政書士:税以外の相談先
  5. 銀行の贈与サービスを使う前に・相談前の準備

生前贈与の相談先は、聞きたいことで分かれます。制度の一般的な取扱いを知りたいなら税務署(無料)、自分の場合の税額や、暦年贈与と相続時精算課税のどちらを選ぶかを相談したいなら税理士、不動産の名義を変える登記なら司法書士、兄弟との公平や遺留分でもめそうなら弁護士です。銀行は振込や口座のサービスの窓口で、税額の個別の相談先ではありません。費用は、税務署は無料、専門家は事務所ごとの料金表で決まります。

生前贈与の相談先の早見表:聞けること・聞けないこと

最初に全体を表で比べます。「その人にしかできない仕事」は法律で決まっているので、相談先を選ぶときの軸になります。

比較表:生前贈与の相談先ごとの役割と費用
相談先 聞けること・頼めること 聞けない・頼めないこと 費用
税務署(電話相談センター・面接相談) 贈与税の制度、申告のしかた、必要書類 有利な選び方の提案、申告書の作成代行 無料
税理士 自分の場合の税額の試算、制度の選び方、贈与税の申告書の作成・提出の代理 不動産の登記の代理 事務所ごとの料金表
司法書士 不動産の贈与の登記、登記に添える書類の作成 贈与税の税額の相談 事務所ごとの報酬+登録免許税
弁護士 遺留分・兄弟とのもめごとの見通し、交渉 — 事務所ごとの報酬基準
行政書士 贈与契約書などの書類の作成 登記・税務・紛争の代理 事務所ごとの報酬額
銀行 振込、口座、自社の贈与関連サービス 自分の場合の税額の相談 サービスごとの手数料表

税の相談で線を引くのが税理士法です。他人の求めに応じて、申告の代理、申告書の作成、課税標準等の計算に関する相談をすることは税理士の仕事とされ(税理士法2条)、税理士でない人は、有償・無償を問わずこれを行えません(52条、国税庁 No.9204)。国税局長に通知した弁護士も税理士業務を行えます(51条)。

税務署:無料で制度を聞く窓口の使い方

税務署には、電話で答える電話相談センターと、予約制の面接相談があります。贈与税は音声案内で「譲渡所得・相続税・贈与税・財産評価」の番号を選びます。番号と受付時間は相続手続きの無料相談窓口一覧:登記・税・売却まで番号と受付時間にまとめているので、かける前にそちらで確かめてください。面接相談は事前の電話予約が要り、予約なしで行くと署内の電話相談に案内されることがあります。

税務署で聞きやすいのは、次のような「制度の取扱い」の質問です。

  • 父と母の両方から贈与を受けたとき、110万円はどう数えるか
  • 住宅を買う資金の贈与の非課税を使うとき、何を申告書に添えるか
  • 相続時精算課税選択届出書はいつ、どこに出すか

反対に「うちの場合は暦年贈与と精算課税のどちらが得か」「この贈与は申告しなくて大丈夫か」といった、自分の財産全体を前提にした判断は、税務署では答えの形になりにくい質問です。電話の前に、贈与する人・受ける人・時期・金額・財産の種類をメモしておくと、一般的な取扱いを当てはめて説明してもらいやすくなります。使い方の詳細は相続税の相談は税務署でできる?電話相談センターと面接相談の使い方で説明しています。

税理士:自分の場合の税額と制度の選び方を相談する

税理士に相談する意味が大きいのは、次のような場面です。

  1. 相続時精算課税を選ぶか迷っている:一度選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。将来の相続税まで見通して選ぶ必要があります。
  2. 年110万円を超える贈与をする・不動産や株を贈与する:翌年2月1日〜3月15日に申告と納税が必要で(国税庁 No.4429)、財産の評価が税額を左右します。
  3. 非課税の特例を使う:住宅取得等資金の非課税や、婚姻20年以上の夫婦の配偶者控除は、税額がゼロでも申告が要件です。
  4. 親の財産が多く、相続税がかかりそう:贈与と相続をあわせた全体の計画を立てる場面です。

税理士の報酬は、法律で決まった基準がなく事務所ごとに決めます。料金表や見積書で、①相談料(時間制か、初回無料か)、②贈与税の申告書の作成報酬、③不動産・非上場株式の評価の加算、④精算課税選択届出書の作成、⑤毎年続けて頼む場合の料金、を確かめて比べます。税理士かどうかは、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで登録を確かめられます(国税庁 No.9204 も同じ確かめ方を案内しています)。

税理士紹介サービスを使う場合、紹介会社そのものは税理士ではないので、税額の試算や制度の選び方を答えるのは紹介された税理士です。紹介先の税理士の登録を検索サイトで確かめ、相続税・贈与税の申告の経験と見積もりを聞いてから決めます。親の財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を明らかに下回り、贈与も年110万円以内なら、まず税務署の無料相談で足りることも多いです。使う前の確かめ方は相続で税理士紹介サービスを使う前に:仕組みと確かめる4つの点で整理しています。

司法書士・弁護士・行政書士:税以外の相談先

司法書士は、土地や建物の贈与で必要になる所有権移転の登記を代理で申請します(司法書士法3条)。贈与による移転登記の登録免許税は、不動産の価額の1,000分の20で、相続の1,000分の4より重くなります(登録免許税法 別表第一)。日本司法書士会連合会が2024年3月に行った報酬アンケートでは、土地1筆・建物1棟(評価額合計1,000万円)の贈与の登記で、契約書の作成と申請の代理を含む設例の平均が53,902円でした。これは報酬だけの額で、登録免許税などの実費は別です。登記を自分でするか頼むかは生前贈与の登記を司法書士に頼む費用と自分で申請する方法で比べています。

弁護士は、特定の子への贈与がほかの子との間で問題になりそうなとき、遺留分の見通しや話し合いの進め方を相談する相手です。他人の法律事件について、報酬を得る目的で代理や交渉をできるのは弁護士です(弁護士法72条)。

行政書士は、権利義務に関する書類として贈与契約書の作成を引き受けられます(行政書士法1条の3)。ただし登記の申請書、税務の書類、紛争の代理は、ほかの法律で別の資格の仕事とされています。

銀行の贈与サービスを使う前に・相談前の準備

銀行、特に信託銀行には、毎年の贈与の手続きを手伝うサービスがあります。振込や書類の段取りは任せられても、贈与税の申告は受け取る人がする手続きで、申告書の作成を業として引き受けられるのは税理士です。サービスの範囲と手数料の比べ方は暦年贈与のサービス:信託銀行の手続き代行の仕組みと手数料で扱います。

どこに相談する場合も、次のメモを用意すると、1回の相談で聞けることが増えます。

  • 贈与する人・受ける人(続柄、年齢)
  • 贈与したい財産(現金・不動産・株)と金額の目安
  • いつ、何回に分けて贈与したいか
  • これまでにした贈与(時期・金額・申告の有無)
  • 親の財産の全体(預金・不動産・保険)と相続人の数
  • 一番心配なこと(税額、兄弟との公平、親の認知症)

資格ごとの仕事の違いをもう少し詳しく知りたい人は相続手続きの専門家の違い:弁護士・司法書士・税理士・行政書士の頼み分けを、生前の対策全体の順番は生前の相続対策は何から?財産の一覧・遺言・贈与・信託の順番を参照してください。

よくある質問

Q. 贈与税の相談は無料でできますか?

税務署の電話相談センターと、予約制の面接相談は無料です。答えてもらえるのは制度の一般的な取扱いで、自分の贈与について有利な選び方を提案したり、申告書を代わりに作ったりはしません。税理士の相談料は事務所ごとに決まっていて、初回の扱いも事務所によって違うため、予約の前に料金表で確かめます。

Q. 銀行の窓口で、贈与税がいくらになるか聞いてもいいですか?

制度の一般的な説明は受けられても、自分の場合の税額を計算して答えてもらうことは、税理士でない人にはできない決まりです(税理士法52条)。有償か無償かは関係ありません。具体的な税額は、税務署で一般的な計算方法を聞いて自分で計算するか、税理士に相談します。

Q. 親子間の贈与契約書は、誰に作ってもらえばいいですか?

親子で自分たちで作ることができます。専門家に頼むなら、権利義務に関する書類として行政書士、不動産の贈与で登記も頼むなら司法書士、税の選び方とあわせて相談したいなら税理士が窓口になります。毎年の契約書の書き方は[暦年贈与の契約書の書き方:ひな形と毎年作る理由](/rekinen-keiyakusho/)にひな形を載せています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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