相続税のお尋ねが届いたら:回答の書き方と申告が要るかの判断
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税務署から「相続についてのお尋ね」が届いたら、まずやることは亡くなった人の財産の合計が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかを確かめることです。お尋ねは、税務署が申告の要否を確かめるために送る照会で、届いたことが「相続税がかかる」という意味ではありません。回答は、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」で作れます。基礎控除額を超えるなら、回答とは別に、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税が必要です。この記事では、判断のしかた、回答の作り方、届かないときの考え方を問いごとに答えます。
相続税のお尋ねとは:なぜ届くのか
問:知らせていないのに、なぜ税務署は亡くなったことを知っているのですか。
相続税法58条で、市区町村長は死亡の届書を受理したとき、亡くなった人が持っていた土地・家屋の固定資産課税台帳の登録事項などを、受理した月の翌月末日までに所轄の税務署長へ通知することになっています。法務大臣から国税庁長官への通知の仕組みもあります。税務署は、こうした通知などの資料を基にお尋ねを送っています。
問:届いたのは「相続税がかかる」という意味ですか。
いいえ。お尋ねは申告の要否を確かめるためのもので、税額を決めた通知ではありません。財産を調べた結果、基礎控除額以下なら「申告は不要」と根拠を添えて回答します。反対に、届かなかったから申告が要らないということにもなりません(後の見出しで扱います)。
検索では「申告等についての案内」「お知らせ」といった呼び方もされますが、国税庁の判定コーナーでの手続名は「相続についてのお尋ね(相続の申告要否検討表)」です。書面の表題が違っても、書かれている確認事項・回答の期限・問い合わせ先を読み、基礎控除額を超えそうなら期限内の申告に向けて動くという考え方は同じです。
問:いつごろ届きますか。
届く時期は公表されていません。市区町村からの通知は死亡届の受理の翌月末までに税務署へ届く決まりなので、お尋ねはそれより後に送られてきます。届くのを待たずに、申告期限から逆算して財産の確認を始めるのが安全です。
申告が要るかの判断:基礎控除と「特例で0円」の違い
回答の前に、申告が要るかを判断します。国税庁の判定コーナーの説明では、財産を取得した各人の課税価格の合計額が基礎控除額を超えると申告が必要です。
| 状況 | 申告 | 回答の書き方の方向 |
|---|---|---|
| 財産の合計(債務・葬式費用を引いた後)が基礎控除額以下 | 不要 | 財産の内訳と、基礎控除額以下であることを書く |
| 基礎控除額を超えるが、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使えば税額が0円 | 必要(特例は申告して初めて使える) | 申告する予定であることを書き、期限内に申告する |
| 基礎控除額を超え、税額が出る | 必要 | 申告する予定であることを書き、期限内に申告と納税 |
| 財産の調べがついていない | まだ判断できない | 調査中であることを伝え、期限の延長を相談する |
気をつけたいのは2行目です。特例を使えば税額が0円になる場合でも、特例は申告書に記載して初めて使えるので、申告そのものは必要です。詳しくは相続税の基礎控除を超えない場合は申告不要?確かめ方と注意点で扱います。
もう1つは、債務の多い人がいる場合です。判定コーナーの説明では、コーナーは財産と債務・葬式費用の合計で計算するため、本来の「各人ごとに引く」計算と結果が違うことがあります。国税庁の例では、財産2億円・債務3億円で、妻が財産1億円と債務2億5,000万円、子が財産1億円と債務5,000万円を引き継ぐと、妻は0円、子は5,000万円で、合計5,000万円が基礎控除額4,200万円を超えるため申告が必要です。合計だけで見ると「不要」と出てしまいます。基礎控除の数え方(相続放棄した人も数える、養子の数の上限など)は相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定する方法を参照してください。
回答の書き方:判定コーナーで作る手順
国税庁の判定コーナーは、お尋ねが届いた人が回答を作るときにも使えると案内されています。申告書を作る機能はありません。
- 届いた書類を確かめる:差出人の税務署、担当部門、回答の期限、同封の用紙を確認します。
- 財産と債務の一覧を作る:預貯金(死亡日の残高)、土地・建物(固定資産税の評価額や路線価)、有価証券、生命保険金、亡くなる前3年以内の贈与、借入金、葬式費用を書き出します。
- 判定コーナーに入力する:法定相続人の数と財産の額を入れると、申告が必要かのおおよその判定が出ます。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を入れた税額のシミュレーションもできます。
- 回答を出す:判定コーナーで作った「相続税の申告要否検討表」を印刷して出すほか、e-Taxでイメージデータとして送る方法も2024年4月から用意されています。e-Taxで送る手順は、判定コーナーの最終画面の案内に沿います。同封の用紙で回答する場合も、書く中身は同じです。
- 控えと根拠を残す:回答の控え、残高証明書、評価額の根拠をまとめて保管します。
用紙の余白や別紙に、判断の根拠を短く書き添えると、問い合わせが来たときに説明しやすくなります。
書き添える例:「相続人は妻・長男・長女の3人で、基礎控除額は4,800万円です。財産は自宅の土地建物(相続税評価額で2,300万円)、預貯金1,600万円(死亡日の残高証明書による)、生命保険金のうち非課税限度額を超える部分0円で、合計3,900万円のため、申告は不要と判断しました。」
お尋ねが来ない・申告が要ると分かったとき
問:お尋ねが来ないのは、申告しなくてよいということですか。
違います。申告の義務は、財産を取得した人の課税価格の合計が基礎控除額を超えたときに法律で生じます(相続税法27条)。お尋ねが届くかどうかとは関係がありません。届かなくても、自分で財産を合計して判断します。
問:判断した結果、申告が必要でした。何をしますか。
申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)までに申告書を出して納税します。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税がかかります。ただし、税務署の調査の通知が来る前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は5%に軽くなります(国税通則法66条8項)。期限を過ぎた場合の扱いは相続税の申告をしないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後申告にまとめています。
問:「不要」と回答したあとで、預金が見つかりました。
見つかった財産を足して判定し直し、基礎控除額を超えるなら申告します。国税庁が公表した調査事例には、親の預金を家族名義の口座に移して基礎控除以下に見せ、税務署の照会文書に虚偽の回答をして申告しなかったため、重加算税が課された例があります。誤りに気づいた時点で、自分から申告や修正をするほうが負担は小さくなります。修正の手順は次の相続税の申告の誤りに気づいたら:修正申告と更正の請求の違いで扱います。
自分で回答するか、税理士に頼むか
財産が預貯金と自宅くらいで、合計が基礎控除額を明らかに下回るなら、判定コーナーを使って自分で回答できます。分からない点は、所轄の税務署の電話相談で聞けます。次のような場合は、相続税を扱う税理士に相談する価値があります。
- 基礎控除額の前後で、土地の評価しだいで結論が変わる
- 特例を使えば税額が0円になりそうで、申告書の作成が必要
- 賃貸不動産、非上場株式、家族名義の預金などがある
相続税の申告を頼むべき層の目安は相続で税理士は必要か:相続税がかかる人・かからない人の分かれ目で確かめられます。紹介サービスを使う場合、紹介先が登録税理士かは税理士紹介サービスを使う前に確かめる4つの点で確かめます。
「相続税 お尋ね」の話が相続税の手続き全体のどこに当たるかは、相続税とは?かかる人の目安・計算の流れ・申告期限10か月の全体像で確かめられます。
よくある質問
Q. お尋ねに回答すれば、相続税の申告をしたことになりますか?
なりません。お尋ねへの回答は、申告が要るかを税務署に伝えるものです。基礎控除額を超えるなど申告が必要な場合は、回答とは別に、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告書を出して納税します。
Q. お尋ねの回答期限に間に合いそうにないときは?
書類に書かれた担当の税務署に電話して、いつまでに出せるかを伝えます。財産の調べがついていない場合は、何が終わっていないかを具体的に伝えると話が早く進みます。回答の期限とは別に、申告期限(10か月)は延びないので、財産の確認はそちらに合わせて進めます。
Q. 相続放棄をした人がいる場合、基礎控除額の人数に入れますか?
入れます。相続税の基礎控除額の「法定相続人の数」は、相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとして数えます。たとえば配偶者と子2人のうち子1人が放棄しても、人数は3人で、基礎控除額は4,800万円です。養子は、実子がいれば1人、いなければ2人までしか数えません。
出典・参考にした公的な情報
- 相続税の申告要否判定コーナー(国税庁)
- 申告要否判定コーナー「相続税の申告が必要となる場合」(国税庁)
- 申告要否判定コーナー「お知らせ」(検討表のe-Tax送信)(国税庁)
- 相続税法 第27条・第58条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- 令和6事務年度における相続税の調査等の状況(調査事例)(国税庁)
- 国税通則法 第66条(無申告加算税)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。