不動産売却の流れ / 手順

一戸建ての売却相場:築年数で建物の値段が下がる考え方と調べ方

この記事のもくじ
  1. 一戸建ての売却相場は「土地+建物」で考える
  2. 築年数で建物の値段が下がる仕組み:首都圏の築年帯別の成約価格
  3. 一戸建ての売却相場の調べ方:土地・建物・成約事例を並べる手順
  4. 築年数のほかに一戸建ての価格を動かす点
  5. 査定書を受け取ったら確かめる内訳のチェックリスト

一戸建ての売却相場は、土地の値段と建物の値段を分けて足すと見積もれます。土地は近所の成約価格から、建物は築年数と状態から考えます。ただし、築20〜25年たつと建物の値段をほぼゼロとみなす査定が一般的なので、築古の一戸建てでは相場の中身がほとんど土地の値段になります。東日本レインズの資料では、首都圏の中古戸建ての平均成約価格は築5年までが5,372万円、築31年以上が2,822万円でした(2026年7〜9月期)。この記事では、築年数の影響の考え方と、自分の家の相場を調べる手順を示します。

一戸建ての売却相場は「土地+建物」で考える

不動産会社が一戸建てを査定するときは、土地と建物で別の見方をします。土地は、近くで最近取引された土地の価格と比べて決めます。建物は、同じ建物をいま建て直すといくらかかるか(再調達原価)から、築年数に応じた分を引いて決めます。この建物の見方を原価法と呼びます。

国土交通省は2014年3月に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を公表し、中古戸建ての評価では築年数だけを基準に、築後20〜25年で建物の価値をゼロとみなす減価修正が一般的だと整理しました。指針は、これを住宅が実際に使える価値(使用価値)に近づける方向を示しています。屋根・外壁・設備などの部位ごとに耐用年数を考え、基礎や柱などの躯体の機能が保たれていれば、補修やリフォームで価値が回復するという考え方です。成果は宅建業者向けの「戸建て住宅価格査定マニュアル」などに反映することとされました。

実際の査定書を見るときの要点は、土地の値段と建物の値段の内訳が書かれているかです。内訳を見ると、築古の家で相場の大半が土地だと分かり、更地にするかどうかの判断にもつながります。なお、築年数で値が下がる仕組みは売却の査定のほかにも2つあり、混同しやすいので分けておきます。

比較表:築年数で値が下がる3つの仕組みと、売れる値段との関係
どの場面の価格か 築年数の扱い 売れる値段との関係
売却の査定(原価法) 築20〜25年で建物をゼロとみなす慣行がある。2014年の指針は使用価値で評価する方向を示した 相場の出発点。築古では土地の値段が中心になる
固定資産税の家屋の評価 再建築価格に、建築後の年数に応じた経年減点補正率を掛けて出す(総務省) 課税のための価格で、売れる値段とは別
売却益の税金の取得費 非事業用の木造は、取得価額×0.9×0.031×経過年数を、取得費から引く(国税庁 No.3261) 税額の計算用で、売る値段には影響しない

税の計算の例を1つ示します(筆者の計算。数字は説明用の仮のものです)。木造の一戸建てを2,000万円で取得し、30年後に売る場合、建物の取得価額から引く減価償却費相当額は、2,000万円×0.9×0.031×30年=1,674万円です。税の計算上の建物の取得費は、2,000万円−1,674万円=326万円になります。これは売却益の計算の話で、買主が払う建物の値段とは関係がありません。売却益にかかる税金は不動産売却の税金:譲渡所得の計算・税率・特例の全体で扱います。

築年数で建物の値段が下がる仕組み:首都圏の築年帯別の成約価格

築年数が成約価格にどう表れているかを、東日本レインズが2026年10月19日に公表した築年帯別の成約状況で見ます。首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の中古戸建てについて、2026年7〜9月期の平均値は次のとおりです。

築年数 成約件数 平均成約価格 平均土地面積 平均建物面積
築5年まで 396件 5,372万円 124.4㎡ 97.4㎡
築6〜10年 626件 5,206万円 126.9㎡ 98.2㎡
築11〜15年 548件 4,797万円 141.6㎡ 102.1㎡
築16〜20年 467件 4,688万円 132.8㎡ 103.2㎡
築21〜25年 588件 4,266万円 139.6㎡ 107.0㎡
築26〜30年 578件 3,950万円 141.8㎡ 109.2㎡
築31年以上 1,813件 2,822万円 169.9㎡ 103.5㎡

この表から読み取れることは3つあります(以下の割合は筆者の計算)。

  1. 築31年以上の平均成約価格は、築5年までの約53%(2,822万円÷5,372万円)です。築年数が進むと価格は下がりますが、建物の値段がゼロになったからといって価格が全部なくなるわけではありません。残りは主に土地の値段です。
  2. 築が古い物件ほど土地が広い傾向があります。築31年以上の平均土地面積は169.9㎡で、築5年までの124.4㎡の約1.4倍です。価格の差は建物の古さだけでなく、土地の広さや立地の違いも含んだ数字です。
  3. 築31年以上が全体の約36%(1,813件÷5,016件)を占めます。古い一戸建てが売れないわけではありません。

地域の差は築年数の差より大きく出ることがあります。同じ築31年以上でも、東京都区部の平均成約価格は6,308万円、埼玉県は1,433万円で、東京都区部の築31年以上のほうが、首都圏全体の築5年までの平均5,372万円より高くなっています。

この数字は、首都圏の1都3県で、ある四半期に成約した別々の物件の平均です。同じ家が年をとると値段がこう下がる、という意味ではありません。他の地域や他の時期の動きは別なので、自分の家の相場は、近所の成約事例で確かめます。

一戸建ての売却相場の調べ方:土地・建物・成約事例を並べる手順

自分の家の相場は、次の順番で見積もります。

  1. 土地の㎡単価を調べる:国土交通省の不動産情報ライブラリで、近くの土地の成約価格や、地価公示の標準地の価格を見ます。公示価格・路線価・成約価格の違いと調べ方は土地の売却相場の調べ方:公示価格・路線価・成約価格の違いにまとめています。
  2. 建物の築年数・構造・床面積を確かめる:登記事項証明書の建物の表題部に、構造、床面積、新築した年月日が載っています。
  3. 土地と建物つきの成約事例を並べる:築年数、土地面積、建物面積が近い事例を5件ほど選びます。不動産情報ライブラリでの検索手順は家を売るといくら?成約価格のデータの調べ方と査定の使い分けで扱っています。
  4. 土地の価格に建物の評価を足して幅を出す:築古の家は、建物の評価がゼロに近いか、小さな額になります。
  5. 査定書の内訳と照らす:自分の見積もりと大きく離れた査定額には、理由を聞きます。

数字で流れを確かめます(筆者の計算。数字は説明用の仮のものです)。近所の土地の成約単価が1㎡あたり20万円、土地が150㎡なら、土地の値段は20万円×150㎡=3,000万円です。建物が築30年の木造で、査定書の建物の欄がほぼゼロなら、売り出し価格の中心は土地の3,000万円になります。この家を更地で売る場合、解体費を売主と買主のどちらが払う前提かで手取りが変わります。解体費の目安と、売る前に壊すか後に壊すかの考え方は空き家の解体:費用の目安・解体前後の固定資産税・売るなら先か後かで確かめられます。

相場を調べるときは、売り出し価格と成約価格を分けます。東日本レインズの季報では、首都圏の中古戸建ての2026年7〜9月期の平均は、新規に登録された物件が4,846万円、成約が4,002万円でした。差は844万円です(筆者の計算)。別々の物件の平均なので値引き額を表すものではありませんが、ポータルサイトの広告価格を相場として受け取ると、高めに見積もりやすくなります。

築年数のほかに一戸建ての価格を動かす点

築年数以外にも、同じ地域の一戸建てで価格に差がつく理由があります。

査定書を受け取ったら確かめる内訳のチェックリスト

不動産会社は、媒介契約書に記載する価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません(宅建業法34条の2第2項)。査定書を受け取ったら、次の項目を聞きます。根拠の聞き方の詳細は不動産の査定が高すぎる会社に注意:根拠の聞き方と売り出し価格にあります。

  • 土地の㎡単価と、使った成約事例の所在地・時期・面積
  • 建物の評価額と、築年数・構造・面積の前提(ゼロの場合はその理由)
  • 古家付きで売る場合と、更地で売る場合の両方の想定価格
  • 解体費を売主が払う前提か、買主が払う前提か
  • 売り出し価格と、成約までの想定期間、値下げの見込み
  • 前提にしている接道・境界・越境の状況

内訳をそろえて比べるには、複数の会社に同じ条件で査定を頼むのが近道です。一括査定を使う場合は、依頼の欄に築年数・土地面積・古家付きと更地の両方を希望することを書き、返ってくる査定書で土地と建物の内訳を比べます。査定額は各社の見込みで、その価格での売却を保証するものではありません。申し込むと複数の会社から連絡が来ることがあり、売るかどうかは結果を見てから決めて構いません。

土地を売る場合の手順は土地の売却の流れ:測量・境界確定から決済までの手順と費用に続きます。

よくある質問

Q. 築30年を超えた一戸建てでも、買い手はつきますか?

買い手がつく例は多くあります。東日本レインズの資料では、首都圏の2026年7〜9月期に成約した中古戸建て5,016件のうち、築31年以上が1,813件で約36%でした(筆者の計算)。ただし建物の値段はほとんど付かず、土地の広さ・立地・道路との接し方で価格が決まります。

Q. 売り出し価格と成約価格に差があるのはなぜですか?

売り出し価格は売主の希望を載せた価格で、成約価格は実際に契約が成立した価格です。2026年7〜9月期の首都圏の中古戸建ては、新しく売りに出た物件の平均が4,846万円、成約の平均が4,002万円でした。別々の物件の平均なので値引きの幅そのものではありませんが、広告の価格をそのまま相場とみないほうが安全です。

Q. 建物を壊して更地にしてから売ると高くなりますか?

更地は土地の値段で売る形になるため、建物に値段がつかない古い家では、解体費の分だけ手取りが減ることがあります。一方、新築用地を探す買主が多い地域では更地のほうが売れやすいこともあります。壊すと戻せないので、古家付きと更地の両方の前提で査定を頼んでから決めます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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