査定・不動産会社選び・買取 / 比較

空き家の買取:仲介で売れない家を業者に売る判断と注意点

この記事のもくじ
  1. 空き家の買取が向く家・向かない家
  2. 空き家の買取と仲介の違い:手数料・荷物・責任
  3. 買取と3,000万円特別控除:買主の取り壊しと耐震の条件
  4. 空き家の買取業者を選ぶ前に確かめること

空き家の買取は、不動産会社が自分で買主になって、家を現状のまま買い取る売り方です。古い・遠方にある・荷物が残っている・仲介で売りに出しても反応がない、という家に向きます。代わりに、価格は仲介で売れた場合より低くなりやすく、さらに相続した空き家では「3,000万円特別控除」が使えるかどうかが手取りを大きく左右します。決める前に、買取の向き不向き、税の特例との関係、業者の確かめ方の3つを順に見ていきます。

空き家の買取が向く家・向かない家

買取か仲介かは、家の状態と、売る人の事情の両方で決まります。次の表で、自分の家がどちらに寄るかを見てください。

判断表:空き家の売り方を分ける5つの条件
条件 買取に寄る場合 仲介に寄る場合
建物の状態 雨漏りや傾きがあり、直す費用が読めない 手入れがされ、住める状態が保たれている
場所 遠方で、内見の立ち会いや管理に通えない 駅や学校に近く、買い手が付きやすい
荷物 家財が大量に残っていて、片付ける時間がない 片付けを終えているか、自分で進められる
期限 納税や住み替えなど、現金が要る日が近い 売れるまで待つ余裕がある
反応 売り出して数か月たつのに内見が入らない 売り出し直後で、価格を見直す余地がある

表で左の列に多く当てはまる家は、買取の査定を取る価値があります。右の列が多いなら、まず仲介で相場に近い価格を目指し、期限を決めて買取に切り替える手もあります。仲介で売れないときの見直しの順番は不動産売却で売れない場合の見直しに、空き家に特有の原因は空き家が売れない理由と対策にまとめています。買取と仲介の一般的な違いは不動産の買取と仲介の違いを先に読むと分かりやすくなります。

向かないのは、共有名義で全員の同意が取れていない家と、相続登記が済んでいない家です。買主に名義を移すには、相続登記で相続人の名義にしておく必要があります。相続登記の期限と過料は相続登記の義務化:期限3年・過料・相続人申告登記で確かめてください。持分だけを売る場合は共有持分の買取業者に売る前に、建て替えができない家は再建築不可の買取業者の選び方が参考になります。

空き家の買取と仲介の違い:手数料・荷物・責任

実家を売る場面で、買取と仲介の違いが出るのは次の3点です。

  1. 手数料。買取では媒介がないので仲介手数料が生じません。仲介で売る場合の上限は、売買代金が800万円以下の空き家なら33万円(税込)までで、事前に説明を受けて合意する決まりです。計算は800万円以下の空き家の仲介手数料で扱っています。
  2. 荷物と残置物。仲介は片付けて引き渡すのが基本ですが、買取では家財を残したまま買い取る会社があります。その場合、撤去費用をどう扱うか(価格から差し引くのか、会社が負担するのか)を契約書に書いてもらいます。
  3. 不具合の責任。個人が売る仲介では買主が個人なので、責任の範囲を特約で決めます。買取では、売主が契約不適合責任を負わない特約を結べることが多い一方、知っていた不具合を告げなかった場合は特約があっても責任が残ります(民法572条)。考え方は売主の契約不適合責任:相続した古い家を売る時の免責の考え方にあります。

提示額は、会社が再び売るために直す費用や取り壊す費用を見込んで逆算されるのが一般的です。建物の評価がほとんどつかず、土地の価格が中心になる提案もあります。提示額の内訳を聞くと、他社と比べるときに役立ちます。

買取と3,000万円特別控除:買主の取り壊しと耐震の条件

相続した空き家を売ると、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。国税庁の要件のうち、買取で売るときに特に確かめたいのは次の点です。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた家で、区分所有建物の登記がないこと。
  • 相続の開始の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいないこと。
  • 家そのものを売る場合は、相続した時から売るまでの間、事業・貸付け・居住に使っていないこと(貸していた家や、相続後に住んだ家は外れます)。
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下で、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却ではないこと。他の相続人が同じ被相続人の家を売った分も、一定の期間は合算して1億円を判定します。
  • 2027年12月31日までの譲渡であること。相続人が3人以上なら、1人あたりの控除は2,000万円までです。

家そのものを売る場合は、売るときに家が耐震基準を満たしているか、売った後の翌年2月15日までに耐震基準を満たすか取り壊されることが必要です(2024年1月1日以後の譲渡)。取り壊してから土地だけを売る形もあります。築年数の古い家を、買取業者が手を加えずにそのまま転売する場合は、この条件を満たさないことがあります。

だから買取の契約前に、会社に次の3点を聞いて、答えを書面にしてもらいます。

  1. 売った後の翌年2月15日までに、家を取り壊すか耐震基準に適合させる予定があるか。
  2. 取壊しや耐震改修の完了を示す書類を、会社が用意してくれるか。
  3. 売買契約書に、売却代金が1億円以下であることが分かる形で金額が書かれているか。

確定申告には、市区町村長が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」、売買契約書の写し、耐震基準適合証明書または取壊しを証明する書類などを添えます。この特例は、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例と同時には使えません。要件の全体は相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限、耐震と取壊しの扱いは空き家の3000万円控除の耐震基準と取り壊しで確かめてください。

税額の違いを、筆者の計算で示します。買取価格が1,000万円、取得費と譲渡費用の合計が300万円と仮定すると、譲渡所得は700万円です。特例が使えれば控除の3,000万円が上回るので、課税される所得はゼロになります(ただし特例を使う確定申告は必要です)。使えない場合、所有期間が5年を超える長期譲渡所得の税率(所得税15%・住民税5%と復興特別所得税)は合わせて約20.315%なので、700万円×20.315%=約142万円です。買取価格が仲介の見込みより何万円低いかと、この税額の差を並べて見ると、判断の材料になります。個別の税額と特例に当たるかは、税務署や税理士に確かめてください(税務相談は税理士の仕事です)。

空き家の買取業者を選ぶ前に確かめること

買取業者に売るとき、売主にはクーリング・オフがありません。宅建業法のクーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となる取引の買主のための制度です。国民生活センターは、長時間の勧誘で売却契約をしてしまった例を挙げて、自宅を不動産業者に売却した場合はクーリング・オフができないと注意しています。

契約の前に、次を確かめます。

  1. 免許。国土交通省の宅地建物取引業者情報検索で、免許番号と所在地が合っているか。
  2. 取引態様。会社が自分で買うのか、買主を探すだけなのか(宅建業法34条)。
  3. 複数社の提示額。仲介の査定額と、買取の提示額を並べて、差を理由とともに聞く。
  4. 決済の条件。入金の時期、引き渡しまでに必要な書類、残置物の扱い、契約を解約するときの違約金。

業者の選び方の全体は不動産の買取業者の選び方、買取の価格の比べ方は不動産の買取相場、入金までの流れは不動産の買取査定から入金までの流れで扱います。

仲介で売れない空き家や、共有名義・再建築不可などで一般の査定が付きにくい家には、訳あり不動産を専門に買い取る会社もあります。選択肢の一つとして、申し込む前に次の3点を確かめてください。

  • 提示額は仲介の査定額と比べるための材料で、売ると決めた約束ではない
  • 会社が弁護士や司法書士と連携するとうたっていても、法律や登記の手続きを誰が担当するかは、書面で確かめる
  • 契約書に署名する前に、家族にも条件を見せる

相続から売却までの全体の順番は実家の売却の流れ、解体してから売るかどうかは空き家の解体で整理できます。強引な勧誘を受けたら、相続手続きの無料相談窓口一覧から消費者ホットライン188を探してください。

よくある質問

Q. 空き家を買取で売ると、仲介手数料はかかりますか?

不動産会社が自分で買主になる買取では、媒介(仲介)がないため、仲介手数料は生じません。ただし別の会社が間に入って買取業者を紹介する形なら、その会社に仲介手数料を払う場合があります。契約書の当事者欄で、買主が誰か、手数料を請求する会社があるかを確かめてください。

Q. 古くて住めない空き家でも、買い取ってもらえますか?

買い取る会社もあれば、断る会社もあります。会社は直したり取り壊したりして再び売る費用を見込んで価格を出すので、傷みが大きい家は提示額が低くなるか、土地の価格だけの提案になります。1社の返事で決めず、古家付きの土地として扱う会社を含め、2〜3社の考え方を聞き比べます。

Q. 買取で売った後、家の不具合を責められることはありますか?

契約で売主が契約不適合責任を負わない特約を結んでいれば、原則として修補や代金減額を求められません。ただし知っていながら告げなかった不具合は、特約があっても責任が残ります(民法572条)。雨漏りやシロアリなど知っていることは、契約前に書面で伝えておきます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

不動産の買取と仲介の違い:査定から売り方を選ぶ判断材料と流れ

不動産売却で売れない場合は?反響の数で見る価格・会社・売り方の見直し順

相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限

不動産の買取業者の選び方:免許・契約条件・強引な勧誘の見分け方