マンション売却の税金:減価償却・3000万円控除・住宅ローン控除の関係
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マンションを売るときの税金は、買った値段より安くても利益が出ることがあるのが特徴です。建物は年数がたつほど取得費が減る(減価償却)ため、買ったときの建物価格がそのまま取得費にならないからです。自宅として住んでいたなら、利益から最高3,000万円を引く特別控除が使えるので、税金が0になることもあります。ただし、控除を使うには確定申告が必要で、住み替えで新居の住宅ローン控除を使う場合は、控除どうしの関係に注意が要ります。ここでは、マンションと一戸建てに共通する計算の違いを示します。
マンションと一戸建てで違うのは「建物の取得費」
土地と建物を一緒に売る点は、マンションも一戸建てもほとんど同じです。違うのは、建物の構造によって償却率が変わる点と、マンションは敷地を共有持分として持つ点です。
| 項目 | マンション(区分所有) | 一戸建て |
|---|---|---|
| 土地の扱い | 敷地権(敷地の持分)。減価償却しない | 敷地。減価償却しない |
| 建物の償却率(自宅の場合) | 鉄筋コンクリート造は0.015 | 木造は0.031、木骨モルタル造は0.034、軽量鉄骨造は0.036または0.025 |
| 取得費の出し方 | 購入代金の建物部分−減価償却費相当額+土地部分 | 同じ |
償却率は、国税庁のタックスアンサー(No.3261)に載っている非業務用の値です。構造の分類は登記簿や設計図書で確かめます。賃貸などの事業に使っていた期間がある場合は、毎年の減価償却費の合計で計算するので別扱いです。
マンションは鉄筋コンクリート造が多く、償却率が小さい(0.015)ため、一戸建て(木造0.031)ほど取得費は急には減りません。同じ購入額・同じ年数なら、木造の一戸建てのほうが、取得費が小さくなりやすく、利益が大きくなりやすい計算です。
減価償却で取得費がどれだけ減るか:筆者の計算例
非業務用の建物の減価償却費相当額は、次の式で求めます。
建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数=減価償却費相当額
経過年数は、6か月以上の端数は1年に切り上げ、6か月未満は切り捨てます。減価償却費相当額は、取得価額の95%が上限です。
次は筆者が仮の数字で組んだ例です。2005年4月に3,000万円で買った鉄筋コンクリート造のマンション(土地分1,200万円・建物分1,800万円)を、2026年6月に4,500万円で売ります。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 売った金額 | 4,500万円 | 契約書の代金 |
| 経過年数 | 21年 | 21年2か月、2か月は切り捨て |
| 減価償却費相当額 | 510.3万円 | 1,800万円×0.9×0.015×21年 |
| 建物の取得費 | 1,289.7万円 | 1,800−510.3 |
| 土地の取得費 | 1,200万円 | そのまま |
| 取得費の合計 | 2,489.7万円 | 1,289.7+1,200 |
| 譲渡費用 | 156.1万円 | 仲介手数料155.1万+印紙税1万 |
| 譲渡所得の金額 | 1,854.2万円 | 4,500−2,489.7−156.1 |
仲介手数料の155.1万円は、「(4,500万円×3%+6万円)×1.1」で出した上限の目安です。売主が印紙税を負担したとして1万円を足しました。検算は、1,800×0.9=1,620、1,620×0.015=24.3、24.3×21=510.3、1,200+1,289.7=2,489.7、4,500−2,489.7−156.1=1,854.2です。
この利益に、売った年の1月1日で5年超の長期税率(約20.315%)をかけると、特例を使わない場合の税額は約376.7万円です(1,854.2×0.20315=376.68)。
減価償却を考えずに「購入額3,000万円がそのまま取得費」と思い込むと、利益は1,343.9万円(4,500−3,000−156.1)に見え、税額の見込みが約103.7万円も小さくなります。申告で減価償却を反映していないと、税額が足りない申告になるので、建物の取得費は計算式で出してください。計算の全体手順は譲渡所得税の計算方法:売却額−取得費−譲渡費用−控除の手順に、減価償却の詳しい説明は不動産売却の税金計算の減価償却:建物の取得費の計算方法にあります。
購入代金の内訳(土地と建物)が契約書に書かれていない場合は、国税庁が示す「建物の標準的な建築価額表」を使う方法があります。申告書等作成コーナーで建築年月日を入れると自動で計算されます。
自宅なら3,000万円特別控除で税額が0になることがある
上の例で、自宅として住んでいたマンションなら、利益1,854.2万円は3,000万円未満なので、特別控除で全額が引かれ、課税される利益は0円、税額も0円になります。
居住用財産の3,000万円特別控除の主な条件は次のとおりです(国税庁No.3302)。
- 現に住んでいる家屋、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る家屋と、その敷地。
- 所有期間は問わない(短期でも使える)。
- 前年・前々年に、この特例や譲渡損失の特例を受けていない。売った年とその前2年に、買換え・交換の特例を受けていない。
- 親子・夫婦など、特別の関係がある人への売却ではない。
- 特例のためだけに入居した家、仮住まい、別荘は対象外。
条件の細部は自宅を売った時の譲渡所得税の3000万円控除:要件と期限で扱います。ここで押さえたいのは、税額が0になっても確定申告が必要という点です。国税庁の手引きは「確定申告をすることにより」特例を受けられると書いています。申告せずに控除だけが適用されることはありません。マンション売却の確定申告の手順は不動産売却の確定申告:やり方・期限・必要書類を順番に解説にあります。
住宅ローン控除との関係:新居に住宅ローン控除を使うとき
住み替えで新居を買い、住宅ローン控除を使う予定がある人は、旧居の3,000万円控除との関係を確かめます。国税庁No.3302は次のように説明しています。
- 新居に入居した年、その前年、前々年に、3,000万円控除を受けた場合は、新居の住宅ローン控除は受けられない。
- 入居した年の翌年から3年目までの年中に、住宅ローン控除の対象ではない資産を売って3,000万円控除を受けた場合も、住宅ローン控除は受けられない。
つまり、上の時期に当たる形で旧居の売却に3,000万円控除を使うと、新居の住宅ローン控除は使えなくなります。どちらを選ぶと手元に残る金額が多いかは、売却益の大きさ、ローンの残高、控除の見込み額で変わるため、一律には決まりません。比べるときは、売却の税額が3,000万円控除でどれだけ減るかと、住宅ローン控除で何年間にいくら戻る見込みかを、それぞれ試算します。
一方、売却で赤字が出た場合の「マイホームの買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除」の特例(No.3370)は、住宅ローン控除と併用できます。旧居を売って赤字になり、新居を買う人はこちらを検討します。また、買換え特例は、3,000万円控除とは併用できません。住み替えの特例の選び方は譲渡所得税の買い替え特例:課税の繰り延べと3,000万円控除の選択で整理しています。
相続したマンションは、空き家の特例が使えない
親が住んでいたマンションを相続して売る場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円特別控除」は、マンションなど区分所有登記がされた建物は対象外です。さらに、昭和56年6月1日以後に建てられた家屋も対象外になります。
| 状況 | 自宅の特例 | 空き家の特例 |
|---|---|---|
| 自分が住んでいたマンションを売る | 使える可能性がある | 対象外(自分の居住用) |
| 相続したが、住んでいなかったマンションを売る | 対象外(住んでいない) | 対象外(区分所有登記) |
| 相続した一戸建て(昭和56年5月31日以前の建築) | 住んでいなければ対象外 | 要件を満たせば対象 |
相続したマンションを売るときに検討するのは、相続税を払った人が使える取得費加算の特例です。払った相続税の一部を取得費に足せます。区分所有の要件はマンションは空き家の3000万円控除の対象外?区分所有の要件で、取得費加算は取得費加算の特例:相続税を払った人が売却益の税金を減らすしくみで確かめてください。
売却の流れと、税理士に頼むかの目安
マンションの売却自体の流れ(管理組合への確認、引渡しまで)はマンション売却の流れ:管理組合への確認から引き渡しまでの手順にあります。税金の面では、売った年の翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をします。
次のような場合は、税理士に頼む選択肢があります。個別の税額計算や申告書の作成は、税理士の業務です。
- 住み替えで、3,000万円控除と住宅ローン控除、買換え特例のどれを使うかで迷っている。
- 購入時の書類がなく、建物と土地の内訳が分からない。
- 一部の期間を貸していた、または事業に使っていた。
よくある質問
Q. マンションを売ると、買ったときより安くても税金がかかることはありますか?
あります。建物の取得費は年数に応じて減価償却費相当額を引くため、買った値段より安く売っても、計算上は利益が出る場合があります。利益が出たかどうかは、減価償却を引いた取得費で判断します。
Q. 3,000万円控除を使えば、確定申告は要りませんか?
要ります。この特例は確定申告をすることで受けられる仕組みで、控除で税額が0になる場合も申告書の提出が必要です。譲渡所得の内訳書を添えます。
Q. 3,000万円控除と住宅ローン控除は、両方使えますか?
住み替えの場合、旧居で3,000万円控除を使うと、新居の住宅ローン控除は受けられなくなることがあります。新居に入居した年とその前年・前々年に、この特例を受けた場合が当てはまります。入居した年の翌年から3年目までに、住宅ローン控除の対象でない別の資産を売って受けた場合も同じです。どちらが得かは、売却益とローン残高で変わるため、両方を試算して比べます。
出典・参考にした公的な情報
- No.3261 建物の取得費の計算(国税庁)
- No.3302 マイホームを売ったときの特例(3,000万円の特別控除)(国税庁)
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
- No.3370 マイホームの買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(国税庁)
- 令和7年分 土地や建物の譲渡所得のあらまし(手引き)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。