不動産売却の確定申告:やり方・期限・必要書類を順番に解説
家や土地を売った場合は、売った年の翌年2月16日から3月15日までに、所轄の税務署へ確定申告をします(国税庁No.3102)。売って利益が出たときと、3,000万円特別控除などの特例を受けるときは、申告の対象です。この記事は、申告が必要かどうかの分かれ道、申告する年の決め方、申告書の作り方から納付までの7つの手順、令和8年分の用紙の注意を順に示します。自分で作る場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えます。
確定申告が必要な人:利益が出たとき・特例を使うとき
国税庁は、土地や建物を売った場合に、売却額から取得費と譲渡費用を引いた計算の結果が譲渡益になるときは、申告が必要と案内しています。申告が必要な場面を、表に整理します。
| 場面 | 申告 | 補足 |
|---|---|---|
| 売って利益(譲渡益)が出た | 必要 | 取得費と譲渡費用を引いた後の金額で判定 |
| 利益が出たが、3,000万円特別控除で税額が0になる | 必要 | 特例は確定申告をして初めて受けられる |
| 譲渡損失が出て、住宅ローン関連の特例(損益通算・繰越控除)を使う | 必要 | 還付になる場合は2月15日以前でも申告できる |
| 譲渡損失が出て、特例を使わない | 損益通算ができない | 他の所得と通算できない(一定の居住用財産を除く) |
| 売った人が売った年に亡くなった | 相続人が、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告 | 被相続人の分の申告 |
利益が出ない売却や、特例で税額が0になる売却の考え方は譲渡所得税がかからない場合:利益なし・特例適用でも申告は要る?で確かめられます。赤字のときの特例は不動産売却が赤字のとき:損益通算できる特例と確定申告の要否にあります。
申告する年と期限:譲渡日をどの日にするか
申告する年は、売った(譲渡した)年の翌年です。譲渡の日は、原則として買主に引き渡した日です。売買契約の効力が生じた日(一般に契約を結んだ日)を譲渡日として申告することもできます(国税庁No.3102)。
年をまたいで売るときは、この選び方で申告の年が変わります。筆者の仮の日付で示します。
| 契約日 | 引き渡し日 | 引き渡し日で申告する場合 | 契約日で申告する場合 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月5日 | 2027年1月20日 | 2027年分(2028年2月16日〜3月15日) | 2026年分(2027年2月16日〜3月15日) |
| 2026年8月10日 | 2026年9月25日 | 2026年分(2027年2月16日〜3月15日) | 同じ |
2026年に売ったときの申告期間は、2027年2月16日(火)から3月15日(月)です。納付の期限も原則として3月15日で、税務署から納付書は送られてこないので、自分で納める手段を用意します(国税庁No.2020)。譲渡日の選び方で所有期間の判定や税率の区分が変わる場合があるので、年末に近い売却は、先に譲渡所得税の税率:長期20.315%・短期39.63%と所有期間の数え方で所有期間を確かめます。
申告までの7つの手順
- 譲渡日と申告する年を決める。 契約書の日付と、引き渡し・最終代金の受領の日を並べて確かめます。
- 書類を集める。 売買契約書、取得時の契約書や領収書、譲渡費用の領収書、特例ごとの添付書類です。一覧は不動産売却の確定申告の必要書類:特例ごとの添付書類一覧にあります。
- 金額を整理する。 売った金額、取得費(建物は減価償却後の額)、譲渡費用を出します。計算の順番は譲渡所得税の計算方法:売却額−取得費−譲渡費用−控除の手順にあります。
- 特例の要件を確かめる。 自宅なら自宅を売った時の譲渡所得税の3000万円控除:要件と期限、相続した空き家なら相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限が入口です。
- 申告書を作る。 国税庁の確定申告書等作成コーナーで、年分と所得税を選び、画面の案内に沿って金額を入力します。内訳書と確定申告書が作れます。
- 提出する。 作成コーナーからe-Taxで送信できます。書面で出すときの提出先は、所轄の税務署です。e-Taxで送る場合の添付書類の出し方は、作成コーナーの画面の案内で確かめます。
- 納付する。 期限は原則3月15日です。申告書を出したあとに、税務署から納付書は送られません(国税庁No.2020)。口座から納める振替納税やe-Taxのダイレクト納付などを使う場合は、事前の手続きが要るので、早めに国税庁の案内で手続きの期限を確かめます。
手書きで作るときの記入の順番
書面で作る人のために、国税庁の手引きの順番を示します。申告書は、第一表・第二表と、第三表(分離課税用)の3種類を使います。
| 順番 | 書くもの | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 譲渡所得の内訳書(土地・建物用) | 売買契約ごとに1枚。ここで譲渡所得の金額を出す |
| 2 | 第一表の「収入金額等」「所得金額等」 | 給与や年金など、ほかの所得も書く |
| 3 | 第二表 | 第一表の記入と合わせて作る |
| 4 | 第一表の「所得から差し引かれる金額」 | 合計所得金額が増えるため、控除が使えなくなることがある |
| 5 | 第三表の「収入金額」「所得金額」 | 内訳書の金額を転記する |
| 6 | 第三表の「税金の計算」 | |
| 7 | 第一表の「税金の計算」「その他」 | 復興特別所得税の欄の記入を忘れない |
黒のボールペンで書き、マイナンバーの記入も必要です。各欄の書き方は譲渡所得の内訳書の書き方:相続した不動産を売った場合の記載例で、記載例に沿って見られます。
2026年に売った分は、令和8年分として2027年に申告します。国税庁の令和7年分の記載手順には、令和8年分から控用(複写式)の申告書が廃止されると書かれています。書面で作る人は、令和8年分の用紙の案内を確かめてください。この記事で挙げた手引きと記載例は令和7年分のものなので、令和8年分の手引きや様式が公表されたら、国税庁のページで最新の年分を確かめてから書き始めてください。譲渡所得の内訳書の手引きも、令和8年分は公表を待つことになります。
税理士に頼むか、自分で作るか
売った金額と取得費、譲渡費用が書類で追え、特例も1つだけなら、作成コーナーで自分で作れます。次の場面では、税理士に頼むほうが手戻りが少なくなります。
- 購入時の書類がなく、取得費の出し方で迷っている。
- 共有名義や、同じ年に複数の物件を売った。
- 取得費加算と空き家特例のどちらを使うかを比べたい。
- 買換え特例や損益通算など、要件が細かい特例を使う。
費用の目安と頼む場面は不動産売却の確定申告の税理士費用と、税理士に頼むべきケースで整理しています。申告を忘れたとき、売った後に税務署から文書が届いたときは、それぞれ不動産売却の確定申告を忘れたら:期限後申告と加算税の扱い、不動産売却の後に届くお尋ね:回答の書き方と申告が要るかの判断が入口です。税務署への電話相談は譲渡所得税の相談窓口:税務署の電話相談と確定申告会場の使い方にあります。
使う前に確かめたい点は相続で税理士紹介サービスを使う前に:仕組みと確かめる4つの点にまとめています。
よくある質問
Q. 会社員で年末調整を受けていても、家を売った年は確定申告が必要ですか?
譲渡所得の申告は、給与の年末調整とは別に行います。国税庁の記載例も、給与のある人が土地を売った場合を取り上げ、譲渡所得は申告書第三表(分離課税用)で申告しています。利益が出たときや特例を受けるときは、会社員でも申告の対象です。
Q. 住民税の申告は、別にしなくてよいのですか?
所得税と復興特別所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は別に要りません。住民税の額は、申告後に市区町村から通知されます。翌年の住民税と国民健康保険料の上がり方は、別の記事でまとめています。
Q. 同じ年に2つの不動産を売ったときは、書類を1枚にまとめられますか?
譲渡所得の内訳書は、売買契約ごとに1枚ずつ作ります。長期と短期のそれぞれで契約が2つ以上あるときは、譲渡所得金額の合計を、いずれか1枚の計算欄に二段書きで書きます。
出典・参考にした公的な情報
- No.3102 譲渡所得の申告と納税(国税庁)
- No.2020 確定申告(国税庁)
- 不動産等を売却した方へ(確定申告特集)(国税庁)
- 令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(記載例)(国税庁)
- 令和7年分 申告書等作成コーナーの利用・記載手順(手引き)(国税庁)
- 令和7年分 土地や建物の譲渡所得のあらまし(特例)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。