不動産の査定に費用はかかる?無料の理由と有料の鑑定が要る場面
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不動産会社の査定は、ふつう無料です。会社は査定で収入を得るのではなく、売却を任されて売買が成立したときに、仲介手数料を受け取る仕組みだからです。一方、国家資格者の不動産鑑定士が基準に従って価額を示す「鑑定評価」は有料です。相続人どうしで家の価額が決まらないときなど、話し合いの資料が必要な場面で使います。「査定に費用がかかるか」の答えは、頼む相手が不動産会社なら無料、鑑定士なら有料と分けて覚えておけば足ります。
不動産会社の査定が無料な理由:会社の収入は成約時の仲介手数料
売却を頼まれた不動産会社が受け取れる報酬は、宅建業法46条に基づく国土交通大臣の告示で、上限が決まっています。売買の媒介の場合、依頼者の一方につき、代金(税抜)を区分した割合の合計が上限です(課税事業者の場合)。
| 代金(税抜)の区分 | 上限の割合 |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円超の部分 | 3.3% |
この報酬を受け取れるのは、売買契約が成立し、契約書に当たる書面(37条書面)を交付した後です(標準媒介契約約款)。つまり、査定を受けただけ、媒介契約を結んだだけでは、手数料は発生しません。会社にとって査定は、媒介契約を取るための営業の入口で、その費用は成約した取引の手数料でまかなう形です。
告示は、上の報酬のほかに会社が受け取れるものを、原則として認めていません。例外は、依頼者が特別に頼んだ広告の料金と遠隔地への出張旅費などで、これらは実費として負担します(標準媒介契約約款)。**媒介の報酬とは別に「査定料」を受け取る定めは、告示にも標準約款にもありません。**計算の例や、800万円以下の空き家の特例は仲介手数料の上限と計算式:800万円以下の空き家の特例も解説にまとめています。
なお、査定が無料でも、売却全体では査定とは別の費用がかかります。測量、解体、建物状況調査、残置物の撤去、売った後の税金などです。全体の見通しは不動産売却にかかる費用一覧:手数料・税金・登記・解体の早見表で確かめられます。
査定で費用を請求されたときの確かめ方
「無料」とうたっていても、あとから請求されないよう、頼む前に次の点を確かめます。
- 査定そのものは無料か:電話やメールで「査定の費用はかかりますか」と聞き、答えを書面かメールで残す。
- 机上査定と訪問査定で扱いが違わないか:違いは不動産の机上査定と訪問査定の違い:使い分けと訪問で見られる点で確かめる。
- 請求の名目と金額が書面にあるか:口頭だけの請求には応じない。
- 媒介契約とは別の契約か:国土交通省の解釈・運用の考え方(令和6年7月改正)では、空き家の管理や助言などの媒介以外の関連業務について、媒介契約と区分し、書面などで別に結んだ契約に基づく報酬は、媒介の報酬規制の対象にならないと整理されています。査定の名目の請求がこの関連業務に当たるとは限りませんが、内容と金額に納得できる別契約なら、そのこと自体は問題ではありません。納得できなければ結びません。
- 広告費や調査費の名目の上乗せではないか:依頼者が特別に頼んだ広告以外の名目の請求は、何に対する費用かを説明してもらう。
確認の例:「査定にお金はかかりますか。かかる場合は、金額と内容を書面でください。」
請求の内容に疑問が残るときは、不動産適正取引推進機構などの窓口に相談できます。窓口の番号と受付時間は相続・不動産売却の相談窓口一覧に集めています。悩みごとの相談先の使い分けは不動産売却の相談先:不動産会社・税理士・司法書士・公的窓口にあります。
有料の鑑定評価が要る場面:不動産会社の査定との違い
不動産鑑定士が行う鑑定評価は、不動産の経済価値を判定して、その結果を価額で示すものです(不動産の鑑定評価に関する法律2条1項)。他人の求めに応じて報酬を得て業として行う場合は、同法24条の登録を受けた不動産鑑定業者が担います(同2条2項・3項)。不動産会社の査定は売るための見立て、鑑定評価は第三者として価額を説明するための書面という違いがあります。
鑑定評価は、不動産の売買や賃貸契約、相続などの場面で使われます。
家の売却や相続に引き寄せると、次のような場面が考えられます。
- 相続人どうしで家の価額が分かれたとき:兄弟の一人が「会社の査定は高すぎる」と言い、別の一人が「低すぎる」と言うような場面。全員が納得する第三者の評価書を取ると、話し合いが進めやすくなります。
- 家を相続人の一人が取り、他の相続人にお金を払う分け方をするとき:渡すお金の根拠になる価額が要ります。分け方の種類は遺産分割の方法4つ:現物・代償・換価・共有の違いと家の分け方で比べられます。
- 離婚で家を財産として分けるとき:夫婦で家の価額の見立てが食い違う場面でも、同じ形で使えます。
- 不動産会社の提示価格が適正か不安なとき:会社の査定とは別の立場から価額を見てもらいたい場合に、鑑定士へ相談する選択があります。
鑑定評価を取らなくても済む場面のほうが多いことは、頭に置いておきます。家を売ると決めていて、相続人の間で価額に争いがなければ、不動産会社の査定を複数集めて根拠を比べる方法で足ります。比べ方は不動産の査定とは:査定額の決まり方と鑑定評価・売れる値段の違いに書きました。
鑑定評価の費用の調べ方:見積もりを取るときの手順
鑑定評価の費用は、物件の種類や評価の目的、調べる手間によって変わります。金額を自分で決めつけず、次の順番で調べます。
- 使い道を決める:遺産分割の話し合い、売買の参考、など。使い道で評価書の書き方が変わります。
- 複数の鑑定業者に見積もりを頼む:物件の所在地、種類、面積、使い道を伝えて、費用と日数を書面でもらう。
- 見積もりの内訳を比べる:評価の範囲(土地だけか建物も含むか)、現地調査の有無、追加費用の条件を見る。
- 相続人全員で依頼先を決める:相続の話し合い用なら、誰が頼んだ鑑定かで争いにならないよう、全員の同意で頼むのが安全です。
鑑定の費用は、評価書という書面の対価で、家が売れるかどうかとは関係なくかかります。売るための査定は無料で足り、売らない場面で価額の証明が要るときだけ有料の鑑定を使う、と覚えておくと無駄がありません。
査定の無料の枠で比べたいときは、売る方向が固まってから使える選択肢に、不動産一括査定があります。税額や鑑定の費用を比べる話とは別に、売却を頼む会社を選ぶための入口として使います。申し込むと複数の会社から連絡が来ることがある点と、査定を受けても売る義務は生じない点を確かめてから使ってください。
査定額に大きな開きが出たときの考え方は、次の記事で扱います。不動産の査定が高すぎる会社に注意:根拠の聞き方と売り出し価格を読むと、どの数字を信じるかの判断材料が分かります。
よくある質問
Q. 査定だけ受けて売らなくても、あとで費用を請求されませんか?
一般的な不動産会社の査定は、売却を頼む契約を結ぶ前の段階で無料で受けられます。ただし、依頼する前に「査定そのものは無料か」と聞き、有料のときは金額と内容を書面でもらうのが安全です。査定を受けたあと、媒介契約を結ばなければ、仲介手数料は発生しません。
Q. 鑑定評価は、不動産会社の査定の代わりになりますか?
目的が違うので、代わりにはなりません。鑑定評価は不動産鑑定士が基準に従って価額を示すもので、評価書は話し合いや手続きの資料として使います。売り出し価格を決めて買主を探すには、不動産会社の査定と、実際の売却活動が要ります。
Q. 鑑定評価の費用は、いくらぐらいですか?
金額は物件の種類、評価の使い道、調べる範囲で変わるため、見積もりで確かめます。物件の種類と使い道を伝えて、複数の鑑定業者から見積もりを取って比べます。
出典・参考にした公的な情報
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(告示)(国土交通省)
- 標準媒介契約約款(国土交通省)
- 宅地建物取引業法 第34条の2・第46条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(媒介以外の関連業務の報酬、令和6年7月1日施行)(国土交通省)
- 不動産の鑑定評価に関する法律 第2条・第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。