空き家の3000万円控除は延長される?改正の経緯と最新の確かめ方
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空き家の3000万円控除(正式には、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除)の期限は、2026年10月24日時点で2027年(令和9年)12月31日までです。延長されるかどうかは、まだ決まっていません。決まるのは、2026年12月ごろに公表される税制改正大綱と、その後の国会での法律の成立です。それまでは、延長を前提にせず、2027年12月31日までに売る計画で動くのが安全です。この記事では、これまでの延長と要件の変化、2027年末から逆算した動き方、延長の有無の確かめ方をまとめます。
結論:延長は未定。2027年12月31日までに売る前提で動く
国税庁のNo.3306は、この特例を「平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って」要件を満たす場合に使えると案内しています。国土交通省のページも、適用期間を2027年12月31日までとしています。
筆者が財務省の令和8年度税制改正の大綱のうち、資産課税のページと、特別措置の見直しのページを開いて確かめた範囲では、この期限を変える記載は見つかりませんでした。過去の延長がどの時期に決まったかは、次の節で示します。
つまり、現在わかっているのは「2027年末まで」という事実だけです。延長の見込みで売る時期をずらすと、延長されなかった場合に、控除が使えなくなります。使えなくなると、譲渡益に対する税金が大きく変わることがあります(筆者の仮の計算例では、次の記事で約562万円の差が出ます)。比べ方は取得費加算と空き家特例は併用できない:どちらを選ぶかの比べ方で示します。
これまでの延長と要件の変化
国税庁と国土交通省のページで確かめた経緯を、年の順に並べます。
| 時期 | 変わったこと |
|---|---|
| 2016年(平成28年)4月1日 | 売った日がこの日以後の譲渡から、空き家の3,000万円特別控除が使える |
| 2019年度(平成31年度)の改正 | 被相続人が老人ホームなどに入所していた場合も、一定の要件を満たせば対象に加わった |
| 2023年度(令和5年度)の改正 | 2023年12月31日までとされていた適用期間を、2027年12月31日までに延長した。あわせて、売った後に耐震改修や取壊しをした場合も対象にした(2024年1月1日以後の譲渡) |
| 2024年(令和6年)1月1日以後の譲渡 | 売った年の翌年2月15日までに、買主側で耐震改修または取壊しがされた場合も使える。相続人が3人以上のときは、1人あたりの控除の上限が2,000万円 |
2023年12月31日までとされていた期限は、2023年度の改正で2027年12月31日まで延ばされました。過去に延長されたからといって、今回も延長されるとは限りません。
要件の中身は変わってきました。老人ホームの要件と、売った後の耐震・取壊しの要件が加わった一方で、相続人が3人以上のときの上限が下がっています。それぞれの要件は、相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限と、老人ホームに入っていた親の家と空き家の3000万円控除の要件で確かめられます。
2027年末から逆算する:期限は3つある
空き家の3000万円控除には、売る期限が複数あります。いちばん早く来るものが、あなたの実質的な期限です。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 制度の期限 | 2027年12月31日までに売る(延長されなければ) |
| 相続からの期限 | 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 買主側の工事 | 売った後の耐震改修・取壊しは、売った年の翌年2月15日まで(2024年以後の譲渡) |
相続開始の日ごとに、どちらが先に来るかを、筆者の例で示します。
- 2024年5月10日に相続が開始した場合:3年を経過する日は2027年5月10日で、その年の12月31日が2027年12月31日。制度の期限と同じ日です。
- 2025年5月10日に相続が開始した場合:3年を経過する日は2028年5月10日で、その年の12月31日は2028年12月31日。ただし制度の期限が2027年12月31日なので、先に来るのは制度の期限です。
売った日は、原則として物件を引き渡した日で、売買契約の効力が生じた日を選ぶこともできます(国税庁のNo.3102)。年末に近い引渡しは、日付の数え方と、年をまたぐ場合の申告の年を、先に確かめてください。
逆算の流れは、次のとおりです。
- 2027年12月31日から逆算して、引渡し日の目標を決める。
- 売買契約から引渡しまでの期間を見て、契約の目標日を決める。
- 売り出しから契約までの期間を見て、媒介契約を結ぶ時期を決める(専任媒介の期間は3か月以内)。
- 査定を取って売り出し価格を決める。
- 市区町村への確認書の申請を、確定申告までに間に合うように済ませる。世田谷区の案内では、交付に2週間程度かかります。確認書の手順は空き家の3000万円控除の確認書:市区町村への申請と必要書類にあります。
売り出してから買主が見つかるまでの期間は、物件の状態や立地で大きく違います。2027年末に近づくほど、余裕がなくなります。売るかどうかを決めている場合は、2026年から2027年の前半に、査定を取って売り出し時期を決めておくと、日程を組みやすくなります。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 今(2026年秋〜) | 要件の確認(昭和56年5月31日以前の建築、区分所有でない、など)、査定の依頼 |
| 2027年前半 | 媒介契約、売り出し、必要なら耐震基準の確認や取壊しの方針決め |
| 2027年中ごろまで | 確認書の申請の準備、売買契約の日程の調整 |
| 2027年12月31日まで | 引渡しまで終える |
| 2028年2月16日〜3月15日 | 2027年に売った分の確定申告(確認書などを添付。申告期間は国税庁の案内で毎年確かめる) |
延長されるかを確かめる手順
延長の有無は、噂や民間の解説ではなく、次の順で確かめます。
- 2026年12月ごろ:令和9年度の税制改正大綱が公表される。財務省のサイトの「税制改正」のページに載る。大綱のうち、資産課税と、居住用財産・空き家に関する項目を探す。
- 2027年3月ごろ:大綱を反映した法律が成立する(毎年、大綱の内容は春までに法律になる)。成立するまでは、大綱の内容は確定ではない。
- 成立後:国税庁のNo.3306の適用期間と、国土交通省のページが書き換えられる。「令和○年4月1日現在法令等」の表示で、いつの時点の情報かも見る。
大綱に「延長」と書かれても、国会で成立するまでは決まりではない点にも注意してください。大綱で見るべき言葉は、「被相続人の居住用財産」「空き家」「譲渡所得の特別控除」「令和9年12月31日」などです。
延長を待たずに、売るかどうかの判断材料を集める
期限が近づいているなら、売る決断を急がなくても、材料集めだけは早く始められます。特に、相続した空き家は、売る値段の見通しがつかないと、税金の比較もできません。
- 売れる値段の目安は、複数の会社の査定で比べる。査定額は売れる値段ではなく、売り出し価格を決める材料にすぎない。
- 売り方は、そのまま売る、取り壊して更地で売る、買取で売るなどがある。売り方で、耐震基準や取壊しの要件の使い方が変わる。
- 共有名義のときは、相続人の数で控除の上限が変わる。
査定の使い方は不動産一括査定とは:しくみ・使い方・申し込む前に確かめることに書いています。空き家を売る流れは空き家の売却の流れ:古家付き・更地・買取の選び方と注意点が詳しく、共有名義の控除額は空き家の3000万円控除を共有名義で使う:相続人ごとの控除額で確かめられます。相続後の期限の全体は、相続不動産の売却期限:3年以内に売ると使える税の特例の早見表に早見表があります。
期限が過ぎてしまったときの次の手
2027年12月31日までに売れなかった場合、延長されなければ、空き家の3000万円控除は使えません。その場合に検討できる制度は、状況で変わります。
- 相続税を払っていて、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売る場合は、取得費加算の特例。
- 住んでいた家(相続人が住んでいた家)なら、自宅の3,000万円特別控除や買換え特例。譲渡所得税の買換え特例は、譲渡所得税の買い替え特例:課税の繰り延べと3,000万円控除の選択で確かめられます。
- 手放すこと自体が目的なら、相続した土地を国に引き渡す制度などもありますが、建物がある土地は対象外です。
どの制度でも、個別の税額の判断は、税務署か税理士の仕事です。この記事の内容は、制度の経緯と確かめ方を示すものです。
よくある質問
Q. 空き家の3000万円控除は、2028年以降も使えますか?
2026年10月時点で、国税庁と国土交通省が示す適用期間は2027年(令和9年)12月31日までです。延長するかどうかは、2026年12月ごろに公表される令和9年度の税制改正大綱と、翌年3月ごろに成立する法律で決まります。
Q. 空き家の3000万円控除はいつから始まった制度ですか?
国税庁の案内では、平成28年(2016年)4月1日以後の譲渡から使える制度です。その後、老人ホームに入所していた場合の追加、期限の延長、相続人が3人以上のときの上限の変更などが重ねられてきました。
Q. 延長されなかったら、空き家を売ったときの税金を抑える方法はありませんか?
同じ相続財産には、相続税を払った人が使える取得費加算の特例があり、売る期限が空き家の控除と異なります。どちらが合うかは、取得費加算と空き家特例の比べ方の記事で、計算例を使って示しています。
出典・参考にした公的な情報
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
- 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)(国土交通省)
- No.3102 譲渡所得の申告のしかた(譲渡の日・申告期限)(国税庁)
- 令和8年度税制改正の大綱(財務省)
- 令和8年度税制改正の大綱(特別措置等の見直し)(財務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。