不動産売却の流れ / 手順

空き家の売却の流れ:古家付き・更地・買取の選び方と注意点

この記事のもくじ
  1. 空き家の売却の流れ:相続登記から翌年の申告まで
  2. 古家付き・更地・買取:3つの売り方を費用と税で比べる
  3. 3,000万円特別控除の要件と、売り方の関係
  4. 空き家を売る前の注意点
  5. 空き家の売却を頼む会社の選び方と、査定の取り方

相続した空き家の売り方は、古家付きのまま売る・解体して更地で売る・不動産会社に買い取ってもらうの3つです。どれを選ぶかは、建物の状態、解体費を先に出せるか、買い手がつくまで待てるか、そして3,000万円特別控除(相続した空き家を売ったときの特例)を使えるかで決まります。売る前に相続登記で名義を相続人に変えておくのが前提で、空き家は管理を続けるほど固定資産税や維持費がかかるため、方針は早めに決めます。この記事では、売却の流れ、3つの売り方の比べ方、税の特例との関係、売る前の注意点を順に説明します。

空き家の売却の流れ:相続登記から翌年の申告まで

全体の順番は、次の7段階です。売る方法が仲介のときの流れで、買取は③〜⑤が短くなります。

  1. 名義を確かめ、相続登記をする:亡くなった人の名義のままでは買主に名義を移せません。相続登記は、相続で取得したと知った日から3年以内に申請する義務があります(相続登記の義務化)。相続人が複数なら、先に誰が取得するか、全員で売るかを決めます。
  2. 家と土地の状態を調べる:登記簿、境界の位置、越境している枝や塀、残された荷物、雨漏りや傾きを見ます。
  3. 相場を調べ、複数社に査定を頼む:成約価格のデータは家を売るといくら?成約価格のデータの調べ方と査定の使い分けで調べます。査定額は売れる値段を約束するものではないので、根拠の説明を比べます。
  4. 売り方を決め、媒介契約を結ぶ:古家付き・更地・買取から選びます。媒介契約(売却を不動産会社に頼む契約)の種類は媒介契約の種類:一般・専任・専属専任の違いと選び方の比較表で比べます。
  5. 売買契約を結ぶ:契約書で、現況のまま引き渡すか、荷物の扱い、契約不適合責任の範囲を決めます。
  6. 決済と引き渡し:残代金を受け取り、所有権移転の登記をして、鍵を渡します。
  7. 翌年の確定申告:売った年の翌年2月16日から3月15日までに申告します。3,000万円特別控除は、申告しないと使えません。
図解:空き家を売る3つの道と、先に決める点
  • 古家付きで売る:解体費は買主/建物の不具合の責任が論点/固定資産税の特例は続く
  • 解体して更地で売る:解体費は売主が先に出す/翌年1月1日から住宅用地特例が外れる/買主が使い道を選びやすい
  • 業者に買い取ってもらう:現況のまま短期間で売れる/価格は仲介より低くなりやすい/契約内容を確かめる

古家付き・更地・買取:3つの売り方を費用と税で比べる

比べる点 古家付き(仲介) 解体して更地(仲介) 業者に買取
解体費 売主は出さない(買主が解体する前提) 売主が先に出す 売主は出さない
固定資産税 家屋があれば住宅用地の特例が続く 解体後、翌年の1月1日から特例が外れる 売れた後は買主が払う
買主 古家を直して住む人、解体して建てる人 家を建てる人、土地を使う人 不動産会社
売れるまで 買主が見つかるまで読めない 同じ。更地は用途を選びやすい 条件が合えば短い
価格 市場で決まる 市場で決まる(解体費は手取りで差し引く) 再販の費用を見込んで低くなりやすい
3,000万円控除 耐震基準を満たすか、買主が期限内に耐震改修・取壊しをすれば使える 売る前に取り壊せば使える 同じ要件で使える

固定資産税は、住宅が建つ土地の課税標準が価格の3分の1(200㎡以下の部分は6分の1)になる特例があり、住宅用地かどうかは毎年1月1日の状態で判定されます(地方税法349条の3の2)。更地にして1月1日を迎えると、この特例の対象外です。年の途中で解体した場合の扱いは、市区町村の税の窓口で確かめてください。解体の費用と税の詳しい比べ方は空き家の解体:費用の決まり方・解体前後の固定資産税・売るなら先か後かで扱い、買取の判断は空き家の買取:仲介で売れない家を業者に売る判断と注意点にまとめています。

仲介手数料は、売買代金が800万円以下なら上限の特例があります。価格が低い空き家では、媒介に手間がかかる分、手数料の上限が33万円まで認められる仕組みで、媒介契約の前に額の説明と合意が必要です(800万円以下の空き家の仲介手数料)。

3,000万円特別控除の要件と、売り方の関係

相続した空き家を売って譲渡益が出たとき、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を引けます(被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除。国税庁 No.3306)。要件の主な点は次のとおりです。個別の判定は、税務署か税理士が行います。

  • 亡くなった人が住んでいた家で、昭和56年5月31日以前に建てられたもの。区分所有登記のあるマンションは対象外です。
  • 相続開始の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいない(老人ホーム等に入所していた場合の例外は、老人ホームに入っていた親の家と空き家の3000万円控除の要件)。
  • 相続から売るまで、貸したり事業に使ったり、自分で住んだりしていない。
  • 売る期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ制度の期限である2027年12月31日までの売却。延長されるかは、毎年12月ごろの税制改正大綱で確かめます。
  • 売却代金が1億円以下。親子・夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外です。
  • 相続人が3人以上で家と敷地を取得したときは、1人あたりの上限が2,000万円。

期限の数え方の例を示します(筆者の計算)。2024年5月10日に相続が始まった場合、3年を経過する日は2027年5月10日で、その属する年の末日は2027年12月31日です。2025年に相続した場合は、3年目の年末が2028年になりますが、制度の期限が2027年12月31日なので、早いほうの2027年12月31日までに売ります。

売り方との関係は、次の3つの形です。

  1. 家屋が耐震基準を満たす場合は、家屋と敷地を一緒に売る。
  2. 売る前に売主が家屋を取り壊し、敷地だけを売る。
  3. 2024年1月1日以後の売却では、売った年の翌年2月15日までに、買主が耐震改修か取壊しをする。買主の協力が要るので、売買契約書にその旨の特約を入れる方法が国土交通省で勧められています。

この控除を使う場合は、家屋のある市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書が要ります。交付には1〜2週間程度かかる例があるため、確定申告の期限から逆算して早めに申請します。相続税を払った人は取得費加算の特例も選べますが、どちらか一方しか使えません。比べ方は取得費加算と空き家特例は併用できない:どちらを選ぶかの比べ方、要件の全体は相続した空き家の3000万円控除で扱います。

空き家を売る前の注意点

1. 売却の契約では、建物の状態を正直に書く。 古い空き家は、雨漏りやシロアリ被害、設備の不具合が見つかる例が多いため、「現況のまま売る」と特約を付けることがあります。ただし、知っていたのに伝えなかった不具合は、特約があっても売主の責任は消えません(民法572条)。詳しくは売主の契約不適合責任:相続した古い家を売る時の免責の考え方で扱います。

2. 荷物と境界を先に整理する。 荷物は実家の売却で残置物はどうする?荷物ごと売る方法と片付けの比べ方で、境界と越境の確認は一戸建ての売却の流れ:境界・建物の状態の確認と売り方の選び方で扱います。

3. 建て替えができない土地かを調べる。 道路に2m以上接していない敷地は、新しい建物を建てる確認が通らないことがあります。買主の選択肢が狭くなるため、再建築不可とは?建て替えできない理由と相続した時の選択肢を読んで、市区町村の建築担当で道路の扱いを確かめます。

4. 管理を続ける。 管理が悪い空き家は、市区町村から指導を受け、勧告まで進むと固定資産税の住宅用地特例が外れます(空家法13条・22条、地方税法349条の3の2)。売れるまでの間の管理は空き家の管理方法:月1回の点検項目と管理サービスの選び方で扱います。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%でした。賃貸・売却用や別荘などを除いた空き家が385万6千戸あり、空き家の売却は相続の場面で身近な悩みです。

空き家の売却を頼む会社の選び方と、査定の取り方

空き家に強い会社を探すときは、次の3点で見ます。

  1. 免許番号:国土交通省の宅地建物取引業者情報検索で、商号と免許番号が登録されているかを確かめる。
  2. 査定の根拠:近くの成約事例のどれを使い、建物の状態をどう見たかを説明するか。
  3. 売り方の提案:古家付き・更地・買取の複数の道を、費用と手取りで並べて示すか。

一括査定のサイトに空き家の情報を1回入力すると、複数の会社へまとめて査定を依頼できます。空き家は、相談先ごとに得意な売り方が違うため、複数社の査定額と根拠、提案の違いを見比べると、売り方を決める材料が増えます。申し込むと、何社かから電話やメールが来ることがあります。査定を頼んだ後に売るかどうかを決めて構いません。

空き家の処分の相談先は、市区町村の空き家担当の窓口も使えます。空き家バンクの仕組みは空き家バンクの使い方:登録の流れ・向いている家・不動産会社との違い、売れないときの見直しは売りに出した空き家が売れない理由と対策:価格・状態・立地・契約の見直し方から読み進めてください。

よくある質問

Q. 空き家は解体して更地にしてから売ったほうがよいですか?

先に解体する決まりはなく、古家付きのまま売る道もあります。解体すると費用が先に出て、翌年からは固定資産税の住宅用地の特例が外れます。3,000万円特別控除を使うなら、家屋が耐震基準を満たすか、売る前に取り壊すか、買主が翌年2月15日までに耐震改修か取壊しをする必要があります。見積もりを取る前に、売り方ごとの手取りを比べてください。

Q. 空き家の売却は、誰に相談すればよいですか?

売る方法の相談は不動産会社と、空き家のある市区町村の窓口です。名義の変更(相続登記)は司法書士か法務局の手続案内、税金は税理士か税務署の電話相談になります。個別の税額や特例が使えるかの判断は、税理士か税務署が担当で、このサイトでは判断しません。窓口の番号は相談窓口の一覧にまとめています。

Q. 売れない空き家は、どうなりますか?

売れないままでも、持ち続ける間は固定資産税と管理の手間が続き、管理が悪くなると市区町村から指導や勧告を受けることがあります。価格・会社・売り方を順に見直し、それでも売れなければ、買取、空き家バンク、相続土地国庫帰属制度(建物がある土地は対象外)などを比べます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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