遺品整理と実家の片付け / 基本ガイド

遺品整理のやり方と進め方:始める時期・自分でやる手順・業者に頼む判断

この記事のもくじ
  1. 遺品整理とは:全体の流れを6段階でつかむ
  2. 始める時期:相続放棄・賃貸・持ち家で変わる
  3. 自分でやる手順:探す・分ける・出すの3つの山と、業者に頼むかの判断
  4. 業者に頼むなら:許可と見積もりで確かめること
  5. 家族で進めるときに決めておくこと
  6. 続きの記事:親が元気なうち・売る・供養する・デジタル・業者トラブル

遺品整理は、亡くなった人(被相続人)の持ち物を「探す・分ける・手放す」順に片付ける作業です。進め方の要点は3つあります。最初に、相続の手続きに要る書類と貴重品を探し出すこと。次に、相続放棄を考えているうちは物を売ったり捨てたりしないこと。最後に、量・距離・時間・気持ちの負担から、自分でやるか業者に頼むかを決めることです。法律で「いつまでに遺品整理をせよ」という期限はなく、急ぐ理由があるのは賃貸住宅の明け渡しなど一部の場合に限られます。

遺品整理とは:全体の流れを6段階でつかむ

亡くなった人の物は、原則としてすべて相続財産になり、相続人が引き継ぎます(民法896条)。遺品整理は、その引き継いだ物を、残す物と手放す物に分けていく作業です。片付けの作業でもありますが、同時に相続の手続きの材料集めでもあります。通帳、保険証券、借金の書類、遺言書は、たいてい家の中から見つかるからです。

全体は次の6段階で進めます。

  1. 方針を決める:相続放棄の可能性、賃貸か持ち家か、誰が中心になって進めるかを家族で確かめる。
  2. 書類と貴重品を探す:処分を始める前に、通帳・カード・権利証・保険証券・年金の書類・借金の書類・遺言書を探して1か所に集める。
  3. 仕分ける:残す・譲る・売る・捨てるの4つに分ける。迷う物は「保留」の箱へ。
  4. 形見分けをする:家族や親族で、受け取りたい物を話し合って分ける。
  5. 手放す:売る物は買取へ、捨てる物は市区町村のごみの出し方に沿って出す。
  6. 家を引き渡す・管理する:賃貸なら明け渡し、持ち家なら清掃して空き家の管理や売却の準備に移る。
早見表:遺品整理の6段階と、各段階で決めること
段階 決めること・やること 関わる人
1 方針 放棄の可能性、賃貸か持ち家か、中心になる人 相続人全員
2 探す 通帳・権利証・保険・年金・借金・遺言の書類を集める 中心になる人
3 仕分け 残す・譲る・売る・捨てる・保留 作業する人
4 形見分け 受け取る人と物の一覧 相続人・親族
5 手放す 買取、粗大ごみ、家電4品目の引き取り 作業する人・業者
6 引き渡し 明け渡し日、空き家の管理、売却の相談 相続人全員

始める時期:相続放棄・賃貸・持ち家で変わる

遺品整理を始める時期は、法律の期限ではなく、次の3つの事情で決まります。

事情 始め方の目安 理由
相続放棄を考えている 書類探しはすぐ、処分は放棄するか決めてから 財産を処分すると単純承認とみなされうる(民法921条1号)
賃貸住宅に住んでいた 解約日・明け渡し日から逆算して早めに 解約するまで家賃がかかり続ける
持ち家で急ぐ理由がない 四十九日などの区切りや、気持ちが落ち着いてから 期限がないので、家族の予定に合わせられる

いちばん注意が要るのは相続放棄との関係です。相続するか放棄するかは、相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)に決めます(民法915条1項)。その間に、値のつく物を売る・捨てる・持ち帰ると、相続を認めたとみなされ、放棄ができなくなるおそれがあります。一方、腐る食品の始末や戸締まりのように、家や財産の状態を保つための行為(保存行為)は、921条1号のただし書きで処分から外されています。借金があるかどうか分からないうちは、探すのはよいが、手放すのは待つと覚えておきます。どこまでが処分に当たるかは、相続放棄と遺品整理:形見分けや部屋の片付けはどこまでしてよいかで詳しく扱っています。

時期の決め方を状況ごとにもっと詳しく知りたい場合は、遺品整理はいつから始める?四十九日・相続放棄・賃貸の期限で決めるを見てください。

自分でやる手順:探す・分ける・出すの3つの山と、業者に頼むかの判断

自分たちで進める場合の山場は、書類探し、仕分け、ごみの出し方の3つです。

書類探し。 最初の1日は、捨てる作業をせずに探すことだけに使います。机の引き出し、たんす、仏壇の引き出し、金庫、手提げかばん、冷蔵庫の上などをひと通り見て、見つかった物を1つの箱に集めます。郵便物は特に大事で、銀行や証券会社、保険会社、カード会社からの通知が、財産や借金の手がかりになります。探す物の一覧と置き場所の目安は遺品整理で探すべき貴重品と書類:相続手続きに必要な物のリストにまとめています。

仕分け。 部屋ごと、または押し入れ1つごとに区切り、残す・譲る・売る・捨てるの4つに分けます。迷った物は無理に決めず、保留の箱に入れて最後にもう一度見ます。写真や手紙は量が多くなりがちなので、残す枚数の上限を家族で先に決めておくと止まりにくくなります。

ごみの出し方。 家庭から出るごみは市区町村のルールで出します。大きな家具は粗大ごみの申し込みが要り、テレビ・エアコン・冷蔵庫と冷凍庫・洗濯機と衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法により家電の小売店などに引き取りを頼み、リサイクル料金と収集運搬料金を払います(環境省)。仕分けのコツと出し方の手順は遺品整理を自分でやる手順:残す・譲る・売る・捨てるの仕分け方で順に説明しています。

自分でやるか業者に頼むかの判断

自分でやるか、業者に頼むかは、次の4つで考えると決めやすくなります。

判断の材料 自分でやりやすい 業者に頼む理由になる
物の量 1〜2部屋で、家具が少ない 一軒家まるごと、物置や庭にも物がある
距離 実家が近く、何度も通える 遠方で、通うたびに交通費と休みがかかる
時間 賃貸の明け渡しまで余裕がある 明け渡し日が迫っている
体力・気持ち 手伝える家族が複数いる 一人で抱えている、気持ちの負担が大きい

全部を業者に任せるか、全部を自分でやるかの二択ではありません。書類探しと形見分けは家族で行い、大きな家具の運び出しと残りの処分だけを業者に頼む、という分け方もよく選ばれます。こうすると、大事な物を見落とすおそれを減らしながら、重い作業を任せられます。気持ちがついていかず手がつかない場合の進め方は、遺品整理がつらい・うつのような気分が続く時:急がない進め方と相談先で扱っています。

業者に頼むなら:許可と見積もりで確かめること

業者に頼むときに最初に見るのは許可です。家庭から出た不用品を廃棄物として運ぶには、その家がある市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可(または市区町村からの委託)が要ります(廃棄物処理法7条1項)。許可は市区町村ごとなので、別の市の許可では足りません。遺品を買い取る業者には、都道府県公安委員会の古物商許可が要ります(古物営業法3条)。環境省は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では家庭ごみは回収できないと案内しています。

許可の確かめ方は、作業する家のある市区町村のウェブサイトで許可業者の一覧を見るか、清掃担当の課に電話で尋ねるのが確かです。業者が自分で許可を持たず、許可業者と組んで運ぶ形もあるので、その場合は「どの許可業者が運ぶのか」を見積もりの段階で聞きます。

見積もりでは、国民生活センターの助言(2025年10月)に沿って、次を書面で確かめます。

  • 作業日、作業の内容と範囲、料金、支払い方法
  • 追加料金がかかる条件と、キャンセル料(解約料)
  • 残す物と処分する物の分け方、作業への立ち会い

国民生活センターには、作業の後に見積額の2倍の料金を求められた、処分しないよう頼んだ物まで捨てられた、といった相談が寄せられています(2018年7月公表。相談件数は2013〜2017年度に年73〜114件)。費用が何で決まるかは遺品整理の費用は何で決まる?間取りから目安をつける方法と見積書の内訳、実家が遠くて立ち会えない場合は遠方の実家の遺品整理:立ち会いなしで頼む時の確認と鍵の預け方、親が借りていた部屋なら賃貸の部屋の遺品整理:明け渡し期限と相続人の原状回復の範囲が続きの記事です。7つの確認点と見積書の読み方は、遺品整理業者の選び方:許可・見積もり・立ち会いで確かめる7点にまとめています。許可、見積書、立ち会いの確認点がひと通り載っています。

家族で進めるときに決めておくこと

相続人が複数いる場合、遺品整理のもめごとは「勝手に捨てた」「勝手に持ち帰った」から起きやすくなります。作業の前に、次の4点を相続人どうしで決めておきます。

  1. 中心になる人と、連絡の方法:誰が業者とやり取りし、決めたことをどう共有するか(家族のグループで写真を送るなど)。
  2. 形見分けの順番:受け取りたい物を各自が書き出し、重なった物だけ話し合う。値のつく物は、遺産分割の対象として扱うかも決める。
  3. 費用の負担:処分費や業者の費用を誰がいったん払い、どう分けるか。領収書は残しておく。
  4. 仏壇・位牌・お墓:これらは祭祀財産と呼ばれ、ほかの遺品とは別に、慣習や亡くなった人の指定に従って祭祀を主宰する人が引き継ぎます(民法897条)。誰が引き継ぐかを先に決めてから扱う。

家族への連絡の例:「父の家の片付けを〇月〇日から始めます。最初の日は通帳や保険の書類を探すだけにして、何も捨てません。欲しい物があれば〇日までにリストで教えてください。値段がつきそうな物は写真を送るので、一緒に決めましょう。」

形見分けの進め方は、順番を決めると揉めにくくなります。まず、残っている物を一覧にして相続人全員に見せます(写真つきが分かりやすい)。次に、各自が受け取りたい物を書き出し、重なった物だけ話し合います。受け取った物は「誰が・何を・いつ」受け取ったかを記録に残します。値のつく物は、受け取った分を遺産分割の話し合いで扱うかどうかも、このときに決めておきます。

作業を進めた記録として、部屋ごとの作業前後の写真、捨てた物と売った物の一覧、売った金額の控えを残しておくと、後で遺産分割や相続税の申告をするときの説明に使えます。

続きの記事:親が元気なうち・売る・供養する・デジタル・業者トラブル

状況ごとに、次の記事に進めます。

実家をその後どうするか(売る・貸す・管理する)は、相続した空き家はどうする?売る・貸す・管理・手放すの判断と手順で整理しています。相続の手続き全体の流れと期限は、相続手続きの流れと期限:亡くなった日から10か月までにやること一覧で確かめられます。

よくある質問

Q. 遺品整理は誰がやるものですか?

亡くなった人の物は相続財産なので、片付けや処分を決めるのは相続人です。相続人が複数いれば、誰が何を受け取り、何を手放すかを相続人どうしで決めます。実際の作業は一人が代表して進めてもかまいませんが、値のつく物や思い出の品を動かす前には、ほかの相続人に一覧を見せて了解を取っておくと後でもめにくくなります。

Q. 遺品整理にかかる日数はどれくらいですか?

物の量、部屋の数、手伝える人数、ごみの収集日で大きく変わるため、一律の目安はありません。自分たちでやる場合は、最初の1日で書類と貴重品を探し、次の週末から部屋ごとに仕分けるなど、ごみの収集日に合わせて日程を組むと進めやすくなります。業者に頼む場合は、見積もりの時に作業日数と人数を見積書に書いてもらいます。

Q. 親が生きているうちに片付けておくのとどちらがよいですか?

親が元気なうちの片付け(生前整理)は、本人が要る物と要らない物を決められ、通帳や保険の置き場所も聞いておけるのが利点です。ただし親の物を勝手に捨てることはできないので、本人の気持ちを優先して少しずつ進めます。進め方は[生前整理の進め方:物・お金・書類・デジタルの4分野で整理する](/seizen-seiri/)と[実家の片付けの進め方:親が元気なうち・亡くなった後の手順と費用](/jikka-katazuke/)にまとめています。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

遺品整理はいつから始める?四十九日・相続放棄・賃貸の期限で決める

遺品整理を自分でやる手順:残す・譲る・売る・捨てるの仕分け方

遺品整理で探すべき貴重品と書類:相続手続きに必要な物のリスト

遺品整理業者の選び方:許可・見積もり・立ち会いで確かめる7点