相続した土地の税金4種類:相続税・登録免許税・固定資産税・売却時
この記事のもくじ
親から土地を相続すると、税金は**「もらう時」「名義を変える時」「持っている間」「売る時」の4つの場面で、別々にかかります**。場面ごとに税の名前も、納める先も、期限も違います。大きな金額になりやすいのは相続税と売却益への税ですが、相続税がかかる人は死亡した人のうち約1割です。ここでは、4つの場面の税を1枚の表にそろえ、場面ごとに「いつ・どこへ・何を基に」を示して、詳しい記事へ渡します。個人の税額は、ここでは出しません。
相続した土地の税金4種類の早見表
最初に全体の表です。国税庁と地方税法、登録免許税法などの原文で確かめた内容を並べています。
| 場面 | 税 | 納める先 | 期限・時期 | 税額の基 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|---|---|
| もらう時 | 相続税 | 被相続人の住所地を管轄する税務署 | 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内 | 土地の評価額+ほかの財産−債務−基礎控除 | 相続する土地の評価額の調べ方:路線価図の読み方と計算の手順 |
| 名義を変える時 | 登録免許税 | 国(登記の申請と合わせて納める) | 相続登記は、取得を知った日から3年以内 | 固定資産税評価額×0.4% | 相続登記の登録免許税:計算方法と100万円以下の土地の免税 |
| 持っている間 | 固定資産税(市街化区域などは都市計画税も) | 土地のある市区町村 | 毎年1月1日の所有者に、納期ごとに | 課税標準×1.4%(標準税率) | 空き家の固定資産税:6倍になると言われる理由と住宅用地特例 |
| 売る時 | 譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税) | 税務署と市区町村 | 売った年の翌年2月16日から3月15日 | 売った金額−(取得費+譲渡費用) | 相続不動産の売却益の税金:親の取得費と取得日を引き継ぐしくみ |
この4つのほかに、不動産取得税を心配する人がいます。相続で取得した場合はかかりません(地方税法73条の7)。表に入れなかったのはそのためです。売買契約書にかかる印紙税や、遺産分割で土地を取らなかった兄弟との間の贈与の扱いは、4つの税とは別の話です。
もらう時の相続税:かかる人は一部で、土地の評価額が基になる
相続税には、まず基礎控除があります。**基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」**で、国税庁のタックスアンサー(No.4152)に書かれた式です。法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円になります(筆者の計算)。土地を含む遺産の合計が基礎控除の内側なら、相続税はかかりません。国税庁の統計では、2024年(令和6年分)に亡くなった人のうち、相続税の申告書で税額が出た人の割合は10.4%でした。
遺産が基礎控除を超えそうな場合の流れです。
- 土地の評価額を出す(路線価方式などで、固定資産税評価額とは別の数字)
- 現金・預貯金・ほかの不動産などと合計し、債務や葬式費用を引く
- 基礎控除を引き、残りがあれば税率の表で税額を出す
- 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署へ申告し、納める(相続人の住所地ではありません。No.4205)
自宅の敷地などには、一定の要件を満たすと評価額を減らす小規模宅地等の特例があります。特定居住用宅地等なら330㎡までの部分が80%減です(No.4124)。取得する人の続柄や住んでいたかどうかで要件が分かれます。使えるかどうかの判断が相続税額を大きく変えるため、評価の手順は相続する土地の評価額の調べ方:路線価図の読み方と計算の手順で、かかるかどうかの目安は相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定する方法で確かめられます。申告の段取りは相続税の申告の流れ:10か月の期限までにやることのスケジュールにあります。
基礎控除を超えそうなら、税理士に頼むという選択肢があります。税理士に頼むときは、土地の評価の経験があるか、報酬の内訳が見積書に書かれているかを確かめます。基礎控除以下であることが明らかな場合は、頼む必要はありません。
名義を変える時の登録免許税:相続登記で、評価額の0.4%
土地の名義を亡くなった親から相続人に変えるのが、相続登記です。このとき納めるのが登録免許税で、**税率は課税標準の0.4%**です(登録免許税法 別表第一 第一号(二)イ)。課税標準は、登記の時の不動産の価額で、当分の間は固定資産課税台帳の価格(固定資産税評価額)を基にします(附則第7条)。市区町村で取れる評価証明書の価格です。
筆者の計算例です。固定資産税評価額が800万円の土地を単独で相続した場合は、800万円×0.4%=3.2万円になります。持分を取得するときは、評価額に持分割合をかけた額が基になります。
免税の制度もあります。土地の評価額が100万円以下なら、2027年3月31日までの登記で登録免許税がかかりません(租税特別措置法84条の2の2)。免税は土地だけで、建物は対象外です。申請書に根拠の条文を書かないと受けられません。期限の延長は決まっていないため、期限内に登記する場合の話として読みます。
登記の期限は税とは別にあり、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。期限の数え方と過料は相続登記の義務化:期限3年・過料10万円以下・相続人申告登記に、司法書士報酬を含めた総額は相続登記の費用:自分でする場合と司法書士に頼む場合の内訳にあります。
持っている間の固定資産税と都市計画税:毎年1月1日の所有者に
固定資産税は、毎年1月1日に土地を所有している人に、市区町村がかけます。標準税率は1.4%です(地方税法350条)。市街化区域などでは、上限0.3%の都市計画税が加わります(702条の4)。納期は市区町村の条例で決まり、毎年の納税通知書に書かれています。
相続したときの注意点を3つ挙げます。
- 名義が親のままでも、納税義務は動く:登記簿上の所有者が1月1日より前に亡くなっている場合は、その日に現に所有している人が対象になります(343条2項)。通知書が届いたら、相続人の間で誰が納めるかを決めます。
- 亡くなった年の税は相続人が引き継ぐ:被相続人に課されるはずだった地方税は、相続人が納める決まりです(9条)。
- 土地の評価額が小さいと課税されない場合がある:同じ市区町村内の土地の課税標準の合計が30万円に満たなければ、固定資産税はかかりません(351条)。
家が建っている土地は、住宅用地として課税標準が下がります。ただし、家を解体して更地にすると特例が外れることがあります。仕組みと数字は空き家の固定資産税:6倍になると言われる理由と住宅用地特例で確かめられます。
売る時の譲渡所得税:親の取得日と取得費を引き継ぐ
土地を売って利益が出ると、売った金額から取得費と譲渡費用を引いた利益に、所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。相続した土地では、取得費と取得した日を親のものから引き継ぎます(国税庁No.3270)。親が長く持っていた土地なら、相続の直後に売っても長期の税率になり、合計で約20.315%です(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税は所得税額の2.1%)。計算例は相続不動産の売却益の税金:親の取得費と取得日を引き継ぐしくみにあります。土地だけの注意点は土地を売却したときの税金:譲渡所得の計算と土地だけの注意点5つに整理しています。
土地の売却そのものに消費税はかかりません。国税庁の手引き(O11)に、土地の売却による収入は消費税の非課税取引の収入とされる、とあります。売買契約書には印紙税がかかり、売主が負担する分は譲渡費用に入ります。
場面の順番どおりに確認するチェックリスト
税の期限は、相続の開始から順に来ます。
| 順番 | 確認すること | 見る記事 |
|---|---|---|
| 1 | 相続税がかかるか(基礎控除と土地の評価額) | 相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×人数で一次判定する方法 |
| 2 | 10か月以内に、相続税の申告と納付が要るか | 相続税の申告の流れ:10か月の期限までにやることのスケジュール |
| 3 | 相続登記と登録免許税(取得を知った日から3年以内) | 相続登記の登録免許税:計算方法と100万円以下の土地の免税 |
| 4 | 毎年の固定資産税の通知書と、誰が納めるか | 空き家の固定資産税:6倍になると言われる理由と住宅用地特例 |
| 5 | 売るなら、取得費の資料と特例の期限 | 相続不動産の売却益の税金:親の取得費と取得日を引き継ぐしくみ |
売ると決めた後の全体の流れは不動産売却の税金:譲渡所得の計算・税率・特例の全体と確定申告に続きます。国税の一般的な相談は税務署の窓口で受けられます。固定資産税や不動産取得税などの地方税は、市区町村や都道府県の窓口の担当です。
よくある質問
Q. 相続した土地は、使わなくても固定資産税を払い続けますか?
払い続けます。固定資産税は毎年1月1日に土地を所有している人にかかる税で、使っているかどうかは関係しません(地方税法343条)。登記が亡くなった親の名義のままでも、1月1日に現に所有している相続人が対象になります。手放す方法を決めるまでの負担は、毎年の納税通知書で確かめられます。
Q. 相続した土地に不動産取得税はかかりますか?
相続で取得した場合はかかりません。都道府県は、相続による不動産の取得に不動産取得税を課すことができないと、地方税法73条の7に定められています。相続人に対する遺贈も同じ扱いです。相続人以外への遺贈や、生前の贈与は、この規定の範囲に入りません。
Q. 相続税がかからない人も、相続登記の登録免許税は払いますか?
払います。相続税と登録免許税は別の税で、相続登記をするたびに課税標準(固定資産税評価額)の0.4%がかかります。ただし、土地の評価額が100万円以下なら、2027年3月31日までの登記で免税です。
出典・参考にした公的な情報
- No.4152 相続税の計算(国税庁)
- No.4205 相続税の申告と納税(国税庁)
- No.4124 小規模宅地等の特例(国税庁)
- 令和6年分 相続税の申告事績の概要(国税庁)
- 登録免許税法 別表第一・第10条・第19条・附則第7条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 租税特別措置法 第84条の2の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 相続登記の申請義務化について(法務省)
- 相続登記の登録免許税の免税措置(法務局)
- 地方税法 第9条・第73条の7・第343条・第350条・第351条・第702条の4(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期(国税庁)
- No.3208 長期譲渡所得の税額の計算(国税庁)
- 土地や建物を売却したときの税額の計算方法早見表(令和7年分手引き)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。