遺言書 / 文例

遺言書の書き方の例文集:家族構成別に使える文例12パターン

この記事のもくじ
  1. 遺言書の書き方の基本形と、例文を使う前の注意
  2. 配偶者・子に残す例文(パターン1〜5)
  3. 孫・子の配偶者・甥姪に残す例文(パターン6〜8)
  4. 予備の定め・執行者・祭祀・撤回の例文(パターン9〜12)

遺言書の書き方は、例文の型さえ分かれば、骨組みは「誰に」「どの財産を」「どうする(相続させる・遺贈する)」の3つです。下に家族構成別の例文を12パターン並べました。自筆で書く場合は、全文・日付・氏名を手書きし、押印します(民法968条1項)。例文の「〇〇」は、戸籍や登記事項証明書、通帳のとおりに書き換えてください。財産の特定のしかた(地番・家屋番号・口座番号の書き方)は自筆証書遺言の書き方と例文で詳しく扱っています。

遺言書の書き方の基本形と、例文を使う前の注意

どの例文も、次の形の中に入れて使います。

遺言書 遺言者〇〇〇〇は、次のとおり遺言する。 第1条(ここに下の例文を入れる) 第2条(必要なら続ける) 令和〇年〇月〇日 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 遺言者 〇〇〇〇 ㊞

例文を写す前に、次のことを確かめます。

  1. 日付は年月日が特定できる書き方にする:日付は自書が要件です(民法968条1項)。「〇月吉日」のように日が決まらない書き方は避けます。
  2. 相続人には「相続させる」、相続人でない人には「遺贈する」:孫・子の配偶者・甥姪(相続人でない場合)・団体などは「遺贈する」と書きます。
  3. 夫婦で1枚に書かない:同じ証書での共同遺言は禁じられています(民法975条)。
  4. 遺留分に気を配る:子や配偶者、親には遺留分があります(民法1042条)。下回る内容でも遺言は書けますが、後でお金で調整を求められることがあります。考え方は遺言書があっても遺留分は請求される?にまとめました。
  5. 15歳以上なら遺言できる:遺言できる年齢は15歳からです(民法961条)。
  6. 書き間違えたら書き直す:自筆証書の加除訂正は、場所を示して変更したことを付記し、そこに署名して、変更した場所に押印しなければ効力が生じません(民法968条3項)。手順が多く間違いやすいので、例文を写して誤りが出たら、新しい紙に最初から書き直すのが確実です。

配偶者・子に残す例文(パターン1〜5)

パターン1:配偶者に全財産を残す

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

子がいない夫婦では、兄弟姉妹が相続人になる場面があります。その場合の書き方と注意は子どものいない夫婦の遺言書で扱います。

パターン2:自宅は配偶者に、預金は子に

第1条 遺言者は、次の不動産を妻〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。  所在 〇〇市〇〇町〇丁目 地番 〇番〇 地目 宅地 地積 〇〇.〇〇平方メートル 第2条 遺言者は、〇〇銀行〇〇支店の遺言者名義の預金の全部を、長女〇〇〇〇(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。

パターン3:子に平等に(割合で指定する)

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長男〇〇〇〇及び二男〇〇〇〇に各2分の1の割合で相続させる。

割合だけの指定だと、具体的にどの財産を誰が取るかは子どうしの話し合いに残ります。不動産を共有にしたくない場合は、パターン4のように財産ごとに分けて書く方法があります。

パターン4:家は長男に、そのかわり長男が二男にお金を払う

第1条 遺言者は、次の土地及び建物を長男〇〇〇〇に相続させる。(不動産の表示は省略しないで書く) 第2条 長男〇〇〇〇は、前条の財産を取得する負担として、二男〇〇〇〇に金〇〇〇万円を支払うものとする。

払う側の手元にお金があるかを先に考えておきます。払えない金額を書くと、相続人どうしの争いのもとになります。

パターン5:預金を分けて、残りはすべて配偶者に

第1条 遺言者は、〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇の預金を、長女〇〇〇〇に相続させる。 第2条 遺言者は、前条に記載した財産を除く遺言者の有する一切の財産を、妻〇〇〇〇に相続させる。

「前条を除く一切の財産」と書いておくと、書き漏れた財産や後から増えた財産の行き先も決まり、相続人全員の話し合いが要る場面を減らせます。

孫・子の配偶者・甥姪に残す例文(パターン6〜8)

パターン6:孫に遺贈する

第1条 遺言者は、孫〇〇〇〇(平成〇年〇月〇日生)に、〇〇銀行〇〇支店の遺言者名義の定期預金のうち金〇〇〇万円を遺贈する。

孫は、子が先に亡くなって代襲相続人になる場合を除き相続人ではないので、「遺贈する」と書きます。孫は相続税の2割加算の対象になる場合があり、扱いは相続税の2割加算とはで確かめます。

パターン7:介護をしてくれた長男の妻に遺贈する

第1条 遺言者は、長男〇〇〇〇の妻〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に、金〇〇〇万円を遺贈する。

子の配偶者は相続人ではありません。感謝を形にしたい場合は、遺言で遺贈しておくのが分かりやすい方法です。

パターン8:子がいないので甥に残す

第1条 遺言者は、甥〇〇〇〇(平成〇年〇月〇日生)に、次の不動産を遺贈する。  (不動産の表示は、パターン2と同じく登記事項証明書のとおりに書く)

甥が相続人に当たるかどうかで「相続させる」か「遺贈する」かが変わります。見分け方と税金は遺言書で甥に相続させる書き方で扱います。

予備の定め・執行者・祭祀・撤回の例文(パターン9〜12)

パターン9:受け取る人が先に亡くなったときの予備の定め

第3条 妻〇〇〇〇が遺言者の死亡以前に死亡したときは、第1条により妻に相続させるとした財産を、長女〇〇〇〇に相続させる。

遺贈を受ける人が遺言者より先に亡くなると、その遺贈は効力を生じないと定められています(民法994条1項)。「相続させる」と書いた財産でも、受け取る人が先に亡くなった場合の行き先を遺言に書いておかないと、行き先が空白になるおそれがあります。予備の定めを書いておくと、それを防げます。

パターン10:遺言執行者を決める

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、長女〇〇〇〇(住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇番〇号、昭和〇年〇月〇日生)を指定する。

遺言執行者は遺言で指定できます(民法1006条)。役割は遺言執行者とは?指定された人の役割にまとめています。

パターン11:お墓や仏壇を守る人を決める

第5条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男〇〇〇〇を指定する。

お墓・仏壇などは、被相続人の指定があればその人が受け継ぎます(民法897条)。

パターン12:前の遺言を取り消して書き直す

第1条 遺言者は、令和〇年〇月〇日付けで作成した自筆証書遺言の全部を撤回する。

遺言はいつでも、遺言の方式に従って撤回できます(民法1022条)。前の遺言と後の遺言の内容がぶつかる部分は、後の遺言で撤回したものとみなされます(民法1023条)。

最後に、分け方の理由や家族への思いを「付言」として書き添えることもできます。

付言 長男には同居して介護をしてもらったので、自宅を残すことにしました。二人で仲よく話し合ってください。

付言には財産を分ける法的な効力はありませんが、分け方の理由が分かることで、受け取る側の納得につながることがあります。

早見表:例文を選ぶときの見分け方
残したい相手 書き方 先に確かめること
配偶者・子(相続人) 相続させる 他の子や配偶者の遺留分
孫・子の配偶者 遺贈する 相続税の2割加算
甥・姪 相続人なら相続させる、相続人でなければ遺贈する 甥姪が相続人かどうか
団体への寄付 遺贈する 受け取り先が受け入れるか
受け取る人が先に亡くなる心配 予備の定めを加える 次に誰へ回すか

例文は形の見本で、書いた遺言が有効かどうか、家族の事情に合っているかを判断するものではありません。財産が多い、家族関係が複雑、団体に寄付したいといった場合は、公証人に相談して公正証書遺言にする選択肢も検討してください。公正証書遺言の作り方は公正証書遺言の作り方にまとめています。自筆で書いて家に保管するのが不安なら、法務局の遺言書の法務局保管制度を使う方法もあります。

よくある質問

Q. 例文をパソコンで打って印刷し、署名だけ手書きにしてもよいですか?

自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印する方式です(民法968条1項)。本文を印刷したものは、この方式に当たりません。手書きでなくてよいのは、遺言書に添付する財産目録だけで、その場合も目録の各ページに署名と押印が要ります。

Q. 2026年の法改正で、例文の最後の押印は要らなくなりましたか?

2026年6月に成立した改正法で自筆証書遺言の押印は任意になりますが、施行日は政令で決まる予定で、2026年10月時点ではまだ施行されていません。今書く遺言は、これまでどおり押印をしてください。改正の中身と時期は法務省のページで確かめられます。

Q. 夫婦で1枚の紙に一緒に遺言を書いてもよいですか?

2人以上の人が同じ証書で遺言することはできないと定められています(民法975条)。夫婦それぞれが別の紙に、自分の遺言として書きます。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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