贈与税が非課税になるもの一覧:生活費・教育費・特例の早見表
この記事のもくじ
贈与税が非課税になるのは、大きく分けてもともと課税しない財産(家族からの生活費・教育費、社会通念上相当な香典や祝い金など)と、申告することで非課税になる特例(住宅取得等資金、贈与税の配偶者控除、結婚・子育て資金の一括贈与)の2種類です。前者は申告が要らず、後者は税額がゼロでも申告しないと使えません。教育資金の一括贈与の非課税は2026年3月31日で新規の受付が終わっています。年110万円の基礎控除は「非課税」とは別の仕組みなので、最後の見出しで分けて説明します。
贈与税が非課税になるものの早見表
国税庁「贈与税がかからない場合」(No.4405)と各特例のページをもとに、2026年10月23日時点の扱いをまとめました。
| 非課税になるもの | 非課税の条件 | 申告 | 期限・上限 |
|---|---|---|---|
| 扶養義務者からの生活費・教育費 | 通常必要と認められ、必要な都度、直接その費用に充てる | 不要 | 期限なし。金額の上限はなく「通常必要」かで判断 |
| 香典・花輪代・年末年始の贈答・祝物・見舞い | 社会通念上相当と認められる範囲 | 不要 | 期限なし |
| 法人からもらった財産 | 贈与税ではなく所得税の対象 | 所得税の扱いに従う | — |
| 相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった年に被相続人からもらった財産 | 相続税の計算に入れる | 贈与税の申告は不要(相続税で扱う) | — |
| 直系尊属からの住宅取得等資金 | 受贈者の年齢・所得、住宅の床面積などの要件 | 必要 | 2026年12月31日までの贈与。省エネ等住宅1,000万円、それ以外500万円 |
| 贈与税の配偶者控除 | 婚姻期間20年以上、居住用不動産か購入資金 | 必要 | 同じ配偶者から一生に一度。最高2,000万円 |
| 結婚・子育て資金の一括贈与 | 契約締結日に受贈者18歳以上50歳未満など | 金融機関等を通じた手続き | 2027年3月31日までの拠出。1,000万円まで |
| 教育資金の一括贈与 | 2026年3月31日までに適用を受けたものだけ続く | — | 新規の利用は終了 |
| 特定障害者扶養信託の受益権 | 信託の設定時に障害者非課税信託申告書を出す | 必要 | 特別障害者6,000万円、それ以外の特定障害者3,000万円 |
| 公益事業用財産、心身障害者共済の給付を受ける権利、選挙の候補者が受けた金品(報告されたもの) | それぞれの法律の要件 | 不要 | — |
表の上4行は「もともと課税しない」もの、住宅取得等資金から下は「特例」です。特例の行は、期限と上限の数字が年度ごとの税制改正で動きます。住宅取得等資金の非課税は2026年12月31日が適用期限で、2027年以後どうなるかは2026年12月に公表される見込みの税制改正大綱で決まります。
生活費・教育費が非課税になる条件
一番よく使われるのが、扶養義務者からの生活費・教育費です。相続税法は扶養義務者を「配偶者と、民法877条に規定する親族」と定めていて、民法877条は直系血族と兄弟姉妹に互いの扶養義務を置いています。夫婦、親子、祖父母と孫、兄弟姉妹の間の仕送りや学費の負担は、ここに入ります。
国税庁は、生活費を通常の日常生活に必要な費用(治療費や子育ての費用を含む)、教育費を学費・教材費・文具費などと説明しています。そのうえで、非課税になるのは必要な都度、直接充てるものに限るとしています。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 親が大学の授業料を学校の口座へ振り込む | 非課税の対象 |
| 親が下宿の子に毎月の家賃・食費分を仕送りし、子がその月の生活に使う | 非課税の対象 |
| 祖父母が孫の入院費を病院に払う | 非課税の対象 |
| 4年分の学費をまとめて子の口座へ入れ、子が定期預金にした | 預金に回した部分は贈与税の対象 |
| 仕送りの余りを子が株や投資信託の購入に充てた | 購入に充てた部分は贈与税の対象 |
| 夫の給料から妻が家計を預かり、余りを妻名義の預金にためた | ためた部分は贈与と見られうる |
判断の分かれ目は金額ではなく「使い道」と「渡し方」です。非課税として扱われるか不安なときは、次の4点を記録に残しておくと、後から説明しやすくなります。
- 何の費用か(請求書・領収書・学校の納付書)
- 誰がどこへ払ったか(振込の控え。可能なら支払先へ直接)
- その時点で必要だった額か(まとめ払いをしていないか)
- もらった側に余りが積み上がっていないか
夫婦の間の生活費とその余りの扱いは、夫婦間の贈与税はいくらから?生活費は非課税・名義を移すと課税でくわしく扱います。教育費を一括で渡す方法と、終了した一括贈与の特例の残額の扱いは、教育資金の生前贈与:一括贈与の非課税の上限と期限・残額の扱いを読んでください。親の判断能力が落ちてきたときに生活費や贈与をどう扱うかは、親が認知症になったら暦年贈与はできないのかで説明しています。
香典・祝い金・見舞いは「社会通念上相当」の範囲
個人からもらう香典、花輪代、年末年始の贈答、結婚や出産の祝い、病気見舞いは、社会通念上相当と認められる範囲なら贈与税はかかりません。金額の線は法律に書かれておらず、贈った人と受けた人の関係や地域の慣習に照らして判断されます。
相続の場面では、葬式費用として相続税の計算で差し引けるものの範囲が決まっていて、香典返しの費用はその中に入りません(国税庁 No.4129)。祝い金の名目でも、住宅購入の頭金に充てる数百万円のような額は、祝物というより財産の移転として扱われる可能性が高くなります。その場合は、住宅取得等資金の非課税の要件に当てはまるかを先に確かめるのが筋です。
- 法人からか → 所得税の対象(贈与税ではない)
- 亡くなった人から、その人が亡くなった年にもらい、自分も相続や遺贈で財産を取得したか → 相続税で扱う
- 家族からの生活費・教育費で、必要な都度、直接使ったか → 非課税
- 香典・祝い・見舞いで、社会通念上相当の額か → 非課税
- 住宅取得等資金・配偶者控除・結婚子育て資金の要件に当てはまるか → 申告して非課税
- どれにも当たらない → 年110万円の基礎控除を超えた部分に贈与税
特例で非課税になるもの:申告と期限が条件
特例は「要件を満たし、決められた手続きをした」場合に限って非課税になります。3つの特例の違いを、使う前に確かめておく点に絞って並べます。
| 特例 | 誰から誰へ | 使う前に確かめる点 |
|---|---|---|
| 住宅取得等資金の非課税 | 父母・祖父母などの直系尊属から、贈与の年の1月1日に18歳以上の子・孫へ | 合計所得金額2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満は1,000万円以下)、翌年3月15日までに取得して住む、床面積40㎡以上240㎡以下 |
| 贈与税の配偶者控除 | 婚姻期間20年以上の配偶者へ | 居住用不動産か、その購入資金であること。翌年3月15日までに住む。登録免許税と不動産取得税はかかる |
| 結婚・子育て資金の一括贈与 | 直系尊属から、契約時18歳以上50歳未満の子・孫へ | 金融機関等との契約を通じて拠出する形をとる。前年の合計所得金額1,000万円超は使えない |
住宅取得等資金と配偶者控除は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までの贈与税の申告で、特例を使うことを書いて添付書類を出すのが条件です。「非課税だから申告しなくてよい」と考えて期限を過ぎると、特例を使えなくなるおそれがあります。申告の進め方は贈与税の申告のやり方:2月1日〜3月15日の手続きと必要書類、夫婦の間の特例の要件と注意点は贈与税の配偶者控除(おしどり贈与):2,000万円の要件と注意、家の購入資金は住宅取得等資金の贈与の非課税:上限額・期限・申告の要件で扱います。
これらの特例で非課税になった額は、贈与した人が亡くなったときに相続税の計算へ足し戻す対象からも外れます(国税庁 No.4161)。ただし、教育資金・結婚子育て資金の一括贈与は、贈与した人が亡くなった時点の管理残額が別の決まりで相続税の対象になることがあります。
年110万円の基礎控除は「非課税」とは別の仕組み
「生前贈与はいくらまで非課税か」と聞かれて110万円と答えることが多いのですが、110万円は非課税財産ではなく、暦年課税の基礎控除です。1月1日から12月31日までにもらった財産の合計から110万円を差し引き、残りがなければ贈与税はかからず、申告も要りません。110万円はもらう人ごとに1年に1回で、贈ってくれた人が何人いても増えません。
非課税財産との違いは、相続のときに出てきます。
| 項目 | 非課税財産(生活費・教育費など) | 基礎控除の範囲内の贈与(年110万円以下) |
|---|---|---|
| 贈与税 | かからない | かからない |
| 贈与税の申告 | 不要 | 不要 |
| 贈与した人が亡くなったとき | 相続税の計算に足し戻さない | 相続や遺贈で財産を取得した人がもらっていて、加算対象期間内なら足し戻す |
足し戻す期間は、2026年12月31日までに相続が始まれば相続開始前3年以内で、2027年以後は段階的に延びて最長7年になります。何年分が対象になるかは生前贈与の加算期間:3年から7年へ、相続開始日ごとの早見表にまとめています。110万円の数え方と、年をまたぐ贈与の注意は贈与税はいくらからかかる?110万円の数え方と年をまたぐ注意へ進んでください。相続時精算課税を選んだ場合の年110万円は、また別の基礎控除で、相続時精算課税とは:2,500万円の特別控除と110万円の基礎控除で説明しています。
よくある質問
Q. 祖父母が孫の学費を払っても贈与税はかかりませんか?
相続税法の扶養義務者には民法877条の直系血族が入るので、祖父母と孫もこれに当たります。学費をその都度、学校に直接払う形なら、通常必要と認められる教育費として非課税の対象です。まとめて孫の口座に入れて貯めておく形にすると、非課税の扱いから外れます。
Q. 年110万円までの贈与は「非課税」ですか?
正確には非課税財産ではなく、暦年課税の基礎控除です。1年間にもらった合計が110万円以下なら贈与税はかからず申告も要りませんが、贈与した人が亡くなったときに相続税の計算へ足し戻される期間に入っていれば、相続財産に加えられます。非課税財産とは扱いが違います。
Q. 非課税の特例を使うと、税額がゼロでも申告が要りますか?
住宅取得等資金の非課税と贈与税の配偶者控除は、税額がゼロになる場合でも、翌年2月1日から3月15日までに申告書と添付書類を出すことが適用の条件です。生活費・教育費や香典のような非課税財産は、もともと課税されないので申告は要りません。
出典・参考にした公的な情報
- No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)
- No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁)
- No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
- No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除(国税庁)
- No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
- No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
- No.4129 相続財産から控除できる葬式費用(国税庁)
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)(国税庁)
- 相続税法 第1条の2・第21条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第877条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。