土地の売却の一括査定:更地・古家付き・農地で変わる査定先
この記事のもくじ
土地の一括査定は、土地の種類で査定先が変わります。住宅地の更地や古家付きの土地は、一括査定で査定を受けやすい種類です。農地は、売る相手にも農地法の許可が要るため、農業委員会との相談が先になります。山林は、買主に森林法の届出が出るなど、手続きの流れが変わります。ここでは、種類ごとの査定先の考え方、測量や境界の情報の伝え方、複数社の査定を比べるときに見る点を整理します。
土地の種類で変わる査定先:更地・古家付き・農地・山林の早見表
一括査定サイトは、最初の画面で「土地」を選んで進める形が一般的です。ただし、土地と言っても、売る手続きと相談先は種類によってまったく違います。
| 土地の種類 | まず相談する先 | 売るときの特有の手続き | 一括査定 |
|---|---|---|---|
| 更地(宅地) | 地元の不動産会社、一括査定 | 境界・接道の確認 | 申し込みやすい |
| 古家付き土地 | 地元の不動産会社、一括査定 | 古い家を残すか解体するかの選択 | 申し込みやすい(備考欄に建物の有無を書く) |
| 農地 | 農業委員会 | 買主に農地法3条の許可、転用なら5条の許可または届出 | サイトの対象物件で確かめる |
| 山林・原野 | 市町村の担当課、地元の不動産会社 | 買主の森林法の届出(地域森林計画の対象の森林) | サイトの対象物件で確かめる |
| 道に2m接していない土地 | 地元の不動産会社 | 建築できるかどうかの確認 | 備考欄で状況を伝える |
一括査定サイトには、受け付ける物件の種類をあらかじめ決めているものがあります。農地、山林、工場、倉庫などを受け付けない、と案内するサイトもあるので、申し込む前に「対象物件」の説明を読みます。対象外の土地で申し込むと、連絡が来ても査定が出ないことがあります。
一括査定の全体の使い方は不動産一括査定とは:しくみ・使い方・申し込む前に確かめることで確かめられます。土地の売却全体の流れは土地の売却の流れ:測量・境界確定から決済までの手順と費用にあります。
更地・古家付きの土地を査定に出す:建物の扱いと接道の確かめ方
相続した土地は、古い家が建ったままのことが多くなります。査定を出す前に、建物をどうするかの方針を決めておくと、会社から返ってくる査定が比べやすくなります。
- 古家付きで売る:建物を残したまま売り出します。買主が自分で解体するか、そのまま使う前提です。解体の費用は、売主が先に出さずに済みます。
- 更地にして売る:解体してから売り出します。土地として見えやすくなる一方、解体の費用は先に出ます。
- 方針を決めずに査定を出す:古家付きと更地の両方の見方で査定を依頼します。判断材料を増やすなら、この形が向いています。
昭和56年5月31日以前に建築された被相続人の居住用の家を相続し、家を取り壊してから敷地を売る場合などは、要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。売却代金が1億円以下であることなどの要件もあり、期限は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、かつ2027年12月31日までです(国税庁 No.3306)。取り壊す前に、特例の要件を確かめておきます。要件は相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限にまとめています。古い家の売り方の全体は空き家の売却の流れ:古家付き・更地・買取の選び方と注意点で比べられます。
接道も確かめます。建築基準法は、建物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定めています(建築基準法43条1項。自動車専用道路などは道路に数えません)。道路に接する幅が足りない土地は、建物を建て替えられないことがあり、査定や売りやすさに影響します。申込みの備考欄には、「前の道は私道」「間口が狭い」など、分かる範囲の情報を書きます。
農地・山林を売るとき:許可や届出と、査定を頼む順番
農地は買主に農地法の許可が要る
農地を農地のまま売るときは、売主と買主が農業委員会の許可を受けなければなりません(農地法3条1項)。許可を受けるのは当事者で、買主が農業を行う人かどうかなどが審査されます。許可を出せない場合として、取得する人が農地の全部を効率的に利用して耕作するとは認められないとき、農作業に常時従事すると認められないとき、周辺の農地利用に支障が出るおそれがあるときなどが条文に挙げられています(農地法3条2項)。以前あった下限面積の要件は2023年4月1日に廃止され、現在の条文にはありません。
農地を住宅や駐車場に変えるために売るときは、農地法5条の転用の許可が要ります。許可権者は都道府県知事等です。市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出ることで足りる場合があります(農地法5条1項6号)。農地を手放す方法には、国に引き取ってもらう制度もあります。条件と負担金は農地は相続土地国庫帰属制度で手放せる?農地法の制限と選択肢で比べられます。
農地は、一括査定の前に農業委員会へ相談するのが近道です。売れる相手の条件と、転用の見込みが分かると、どの会社に何を頼むかが決まります。
山林は買主に森林法の届出が出る
山林など、都道府県の地域森林計画の対象になっている森林の土地を売買や相続で新たに取得し、所有者となった人は、所有者となった日から90日以内に、市町村長へ届出をしなければなりません(森林法10条の7の2。90日は林野庁の案内によります。面積に関係なく届出が必要です)。国土利用計画法に基づく届出を出している場合は、この届出は不要です。買主がこの届出をするため、売るときに、買主へ土地の位置や権利関係の資料を渡せるようにしておきます。
山林を売るときは、近隣の境界が分かりにくいことが多く、国に引き取ってもらう制度との比較も必要になります。負担金や境界の問題は山林は相続土地国庫帰属制度で手放せる?負担金と境界の問題に、売れない土地を手放す方法の全体は田舎の土地が売れない相続:手放す5つの方法と費用の比べ方にあります。
測量図・境界の情報を申込みでどう伝えるか
土地の査定では、面積と境界が価格の前提になります。測量の有無は、あるものとないものを区別して伝えることが大切です。
- 登記簿の面積(地積):登記事項証明書に載っている面積です。実際に測った面積とずれていることがあります。
- 地積測量図:登記所に備わっていれば、手数料を納付して写しを請求できます(不動産登記法121条1項)。
- 確定測量図・境界確認書:隣の土地の所有者や道路管理者と境界を確認した書類です。残っていれば、会社に見せます。
- 境界標(杭など):現地で見える境界の印です。あるかないかを伝えます。
文例(備考欄):「土地の面積は登記簿のとおりです。測量図は見つかっていません。境界の杭は、道路側に1か所確認できます。隣地との境界確認書はありません。」
測量が必要になるのか、費用はどのくらいか、誰が負担するのかは、売る段階で決めていきます。判断の材料は土地の売却に測量は必要?境界確定の費用・期間と隣人の立ち会いに載せています。
複数社の土地の査定を比べる:見る点
土地の査定では、複数社に見積もりを頼む相見積もりが役に立ちます。会社によって、同じ土地を住宅用地として見るか、事業用地として見るかが変わり、価格の考え方が違ってくるからです。査定書を受け取ったら、次の3点を比べます。
- 価格の根拠:業者は、価額に意見を述べるとき、根拠を明らかにしなければなりません(宅地建物取引業法34条の2第2項)。近くの取引事例が何件挙がっているか、古家や接道をどう評価したかを見ます。
- 想定する買主:住宅を建てる個人を想定するのか、建売の業者や事業者を想定するのか。想定が違うと、売り方も期間も変わります。
- 売れ残ったときの案:値下げの目安、期間、古家の解体や測量をいつ提案するか。
相場の見方は土地の売却相場の調べ方:公示価格・路線価・成約価格の違いで確かめられます。
住宅向けの更地や古家付きの土地なら、一括査定で複数社の査定を比べる方法があります。申し込む前に、サイトの対象物件の説明を読み、備考欄に建物と測量図の状況を書いておきます。実家の土地の売却で、相続人の合意や登記を先に整えたいときは、実家の売却で一括査定を使う:登記前に申し込める?準備と注意点を先に読みます。次に、マンションの一括査定を扱うマンション売却の一括査定:比べる項目と依頼する会社の数があります。
よくある質問
Q. 古い家が建ったままの土地は、一括査定でそのまま申し込めますか?
申し込めます。申込み画面で「土地」を選び、備考欄に古い家が建っていることを書きます。更地として査定してもらうのか、古家付きとして査定してもらうのかで金額が変わるので、両方の考え方で見てほしいと添えておくと、比べやすくなります。解体するかどうかは、査定を見てから決めて構いません。
Q. 農地を相続しましたが、一括査定で査定してもらえますか?
農地の売却には、買う人にも農地法3条の許可が要り、農業委員会が窓口になります。一括査定サイトは、住宅用の土地を中心に受け付けているものがあり、農地や山林を対象外とする場合もあります。まず農業委員会に、売る相手の条件や転用の可否を聞いてから、査定を頼む先を考えます。
Q. 測量図がないと、査定は受けられませんか?
受けられます。机上査定は、登記簿の面積や公図、地図をもとに出します。測量図の有無は、査定額の根拠や売り方の相談に関わるので、あるかないかを正直に伝えます。測量の要否や費用の考え方は、売る段階で会社と相談して決めます。
出典・参考にした公的な情報
- 農地法 第3条・第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 森林の土地の所有者届出制度(林野庁)(林野庁)
- 森林法 第10条の7の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 建築基準法 第43条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 不動産登記法 第121条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(タックスアンサー No.3306)(国税庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。