不動産売却の確定申告の必要書類:特例ごとの添付書類一覧
不動産を売った後の確定申告で用意する書類は、全員がそろえるものと、使う特例ごとに増えるものの2段に分かれます。全員共通の核は、売買契約書、取得時の契約書や領収書、譲渡費用の領収書、譲渡所得の内訳書です。特例を使うと、登記事項証明書、住民票関係、市区町村の確認書などが加わります。この記事は、それを順にチェックリストと表で整理します。申告全体の順番は不動産売却の確定申告:やり方・期限・必要書類を順番に解説で確かめられます。
全員がそろえる書類のチェックリスト
売った不動産の種類(土地、一戸建て、マンション)にかかわらず、申告書の金額の裏付けになる書類です。内訳書は「契約書や領収書などに基づいて記載する」と国税庁が案内しています。
- □ 売買契約書(売った金額、契約日、手付金・残金の受領日、買主の氏名が分かるもの)
- □ 売ったときの精算書(固定資産税の日割り精算の額が分かるもの)
- □ 取得時の売買契約書・領収書・請負契約書(購入価額と取得日が分かるもの)
- □ 仲介手数料の請求書・領収書、測量・解体の領収書(譲渡費用)
- □ 登記事項証明書、または不動産番号が書かれた書類
- □ マイナンバー(申告書に書く)
- □ 給与や年金などほかの所得の資料(源泉徴収票など。ほかの所得も同じ申告書で申告する)
このうち取得時の書類がないときは、売った金額の5%を取得費にする扱いがあります。探し方は取得費不明の不動産売却の税金:5%の概算と取得費の探し方にあります。取得時の書類が揃うなら、建物は築年数に応じて減らします(不動産売却の税金計算の減価償却:建物の取得費の計算方法)。費用の領収書の仕分けは不動産売却の税金で引ける費用:仲介手数料など譲渡費用に入るもので確かめられます。
特例ごとの添付書類:国税庁の一覧
特例を受けるときは、次の書類を申告書と一緒に提出します。以下は、令和7年分の手引き(参考3)にある主な特例の書類です。2026年に売る人は令和8年分で申告するため、年分が変わると書類の文言が変わる場合があります。最新年分の手引きを国税庁のサイトで確かめてください。
| 特例 | 添付する書類 |
|---|---|
| 居住用財産の3,000万円特別控除(措置法35条1項) | ①譲渡所得の内訳書(土地・建物用)②契約日の前日の住民票の住所と売った家の所在地が違う場合は、戸籍の附票の写しなど |
| 居住用財産の軽減税率(10年超。措置法31条の3) | 上の①②に、③売った家の登記事項証明書を加える |
| 特定の居住用財産の買換え特例(措置法36条の2) | ①内訳書 ②売った家の登記事項証明書 ③住所が違う場合や、売った日前10年内に住所を変えたことがある場合は戸籍の附票の写し ④売買契約書の写しなど(譲渡価額が1億円以下であることを示すもの)⑤買い換えた家の登記事項証明書・契約書の写し ⑥築25年超の中古住宅は耐震基準適合証明書など ⑦(令和7年分の手引きの記載で、令和8年分では変わる場合があります)令和8年中に買換資産を取得する見込みのときは、⑤⑥に代えて「買換(代替)資産の明細書」(取得した日から4か月以内に提出) |
| 居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算・繰越控除(措置法41条の5) | ①譲渡損失の金額の明細書 ②対象となる金額の計算書 ③売った家の登記事項証明書・契約書の写し ④戸籍の附票の写しなど ⑤買い換えた家の登記事項証明書・契約書の写し ⑥住宅ローンの残高証明書 |
| 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除(措置法41条の5の2) | ①損失の金額の明細書 ②計算書 ③登記事項証明書・契約書の写し ④戸籍の附票の写しなど ⑤売った家のローンの残高証明書(契約日の前日のもの) |
| 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除(措置法35条3項) | ①内訳書(5面も必要)②家屋と敷地の登記事項証明書など ③市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」④売買契約書の写しなど(譲渡価額が1億円以下であることを示すもの)⑤家屋を売る場合は耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(売った後に取り壊したときは、取壊しの事実を示す登記事項証明書など) |
| 相続財産を譲渡した場合の取得費加算(措置法39条) | 「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」と、譲渡所得の内訳書 |
特例の要件そのものは、別の記事で確かめてください。自宅は自宅を売った時の譲渡所得税の3000万円控除:要件と期限、相続した空き家は相続した空き家の3000万円控除:特別控除の要件と2027年末の期限、買換えは譲渡所得税の買い替え特例:課税の繰り延べと3,000万円控除の選択が入口です。
相続した不動産で追加になる書類
親から相続した家を売るときは、取得費と取得日が親のものになるため、集める資料が変わります(国税庁の記載例も、被相続人の購入年月日と購入価額を書くとしています)。
- □ 親が買ったときの契約書・領収書・建築時の請負契約書(取得日と取得価額)
- □ 相続登記の登記事項証明書と、相続登記にかかった費用の領収書(取得費に入る登記費用)
- □ 相続税の申告書の控え(取得費加算を使うとき。計算明細書に、相続税額や売った財産の評価額を書く)
- □ 空き家特例を使うときは、市区町村の確認書の申請書類(必要書類は自治体ごとに違うので、家の所在地の市区町村のページで調べる)
相続税の申告書の数字が計算明細書の元になるので、申告を税理士に頼んだ人は、控えと評価の明細を受け取っておきます。計算明細書の書き方は取得費加算の計算明細書の書き方:記載例と添付する書類にあります。
空き家特例の確認書は、取得に時間がかかる
空き家の3,000万円特別控除では、書類の中で時間がかかるのが「被相続人居住用家屋等確認書」です。売った家の所在地の市区町村が発行し、申請様式や必要書類、窓口の課は自治体ごとに違います。世田谷区の案内では、確認書の交付に2週間程度かかるとされています(自治体によって期間は違う例があります)。
売った年の翌年3月15日の申告期限から逆算して、引き渡しの後すぐに申請します。耐震基準適合証明書が要る場合は、さらに別の手配が加わります。売った後に買主が耐震改修や取壊しをする方法を使う場合は、買主の協力が得られず特例を使えなくなるトラブルを防ぐため、国土交通省の資料が特約等を確認書の確認事項としています(特約がなくても確認書は発行されます)。申請の流れと必要書類の例は空き家の3000万円控除の確認書:市区町村への申請と必要書類にあります。
提出の仕方と、書類の保管
作成コーナーから申告書をe-Taxで送る場合の添付書類の出し方は、作成コーナーの画面の案内で確かめます。書面で出す場合は、内訳書に特例の添付書類を添えて、申告書と一緒に出します。書類は、申告後に税務署から問い合わせが来る場合にも見返すので、控えをとって保管してください。
売買の段階ごとの書類(査定、契約、決済)は不動産売却の必要書類:査定・契約・決済の段階別チェックリストで整理しています。内訳書への書き込みは譲渡所得の内訳書の書き方:相続した不動産を売った場合の記載例に進みます。
よくある質問
Q. 登記事項証明書を取り寄せる時間がないときは、どうしますか?
国税庁の一覧は、登記事項証明書の写し、または不動産番号が書かれた書類(不動産番号等の明細書など)の添付で代えられると注記しています。取り寄せる前に、どちらで足りるかを税務署か作成コーナーの案内で確かめてください。
Q. 住民票の住所と売った家の所在地が違うとき、何が必要ですか?
自宅の3,000万円控除などで、契約日の前日の住民票の住所と売った家の所在地が異なるときは、戸籍の附票の写しなどを添付します。引っ越しを重ねていると、つなぎの住所が分かる書類が必要になります。
Q. 特例の書類をそろえ直す前に、まず申告書だけ出してもよいですか?
特例は、添付書類の提出を含めて申告で受けます。期限までに書類がそろわないときは、書類の入手を急ぎつつ、税務署に出し方を聞いてください。後から特例を入れたいときの手続きは、取得費加算の更正の請求の記事で一例を示しています。
出典・参考にした公的な情報
- 令和7年分 特例の適用を受ける場合に申告書に添付する書類(参考3)(国税庁)
- 令和7年分 譲渡所得の内訳書の記載例(事例1・事例2)(国税庁)
- No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(国税庁)
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
- 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除(被相続人居住用家屋等確認書)(国土交通省)
- 被相続人居住用家屋等確認書の交付申請(世田谷区の例)(世田谷区)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。